突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 困惑したようにアルクトゥールスを見下ろしていたアンタレスが、やがて、静かな声で言った。
 「アルクトゥールス、どういう目論見があるのかしらないが、おまえ、弟に強引に剣術を習わせようとしたんだろう? おまえにそのつもりがなかったとしても、弟はそう感じたかもしれないぞ。 だから、本当のことが言えなくなってしまったんだろう。 そんなに弟を責めてはかわいそうだ。 むしろ、喜んでやるべきじゃないのか? おまえの弟は、自分で、自分の進むべき道を見出したんだ。 もう子どもじゃない」

 そんなふうに言われると、ますます情けなく、腹立たしくなった。
 「喜んでやれ、だと?! 冗談じゃねえよ! アルデバランは、まだまだ、意気地なしの、赤ん坊だ! もっともっと強くならなきゃいけねえんだ! でねえと、人に馬鹿にされるだけで一生を終わっちまうんだよ! アンタレス、おまえのような、生まれつき強くて誰にも負けたことのないような幸運なやつに、アルデバランの何がわかるってんだ! もうほっといてくれ!」
 叫んで、アルクトゥールスは、自分の腕をつかんでいるアンタレスの手に思い切り噛みついた。
 痛てっ!と、アンタレスが悲鳴をあげて飛び上がった隙に、アルクトゥールスはその手を振りほどき、一目散に酒場から逃げ出した。

 泣きながら走った。

 人けのない大通りから、明かりの消えた真っ暗な広小路へ。 
 迷路のような街並みを、走って、走って、何度もつまづき、何度も転びながら、ただがむしゃらに走った。

 やがて涙も枯れ、あたたかい明かりの灯った家にたどり着くころには、もう、疲れ果てて、アルデバランを怒鳴りつけるどころか、ただいまの声も出なかった。

 家に駆け込むなり、服のままベッドに倒れこんだアルクトゥールスに、アルデバランが青くなって駆けつけてきた。
 「兄ちゃん! どうしたの?! 今日は仕事じゃないと言ってたのに、迷宮に行ったの?! また、どこかに怪我をしたの? しっかりして、兄ちゃん! 死んじゃいやだ!」

 やっとの思いで目を開けると、アルクトゥールスの腕にひしとしがみついたアルデバランの、子どものような泣きべそが、そこにあった。
 赤ん坊の時のままの、泣き顔だった。

 深いため息をひとつついて、アルクトゥールスは、アルデバランの髪の毛を引っつかみ、歯をむき出して見せた。
 「・・・アルデバラン、おまえに、話がある」

 それだけ言うのがやっとだった。
 目を閉じると同時にアルクトゥールスは眠りに落ち、グーグー大いびきをかき始めた。





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最終更新日  2011.02.02 18:38:39
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二人なら、きっと!!  
風とケーナ  さん
アルクトゥールスの嵐のような感情が胸に迫りますが、
でも、アンタレスが言ってくれているように、
自分の道に羽ばたいていこうとしているアルデバランの姿は、
立派に成長した証しでもあるのですね。

ついに現実や互いの本心に真っ直ぐ向き合う時が来た二人、
どんなに心の火花を散らすことになろうとも、
アルデバランとアルクトゥールスならば、
きっと、乗り越えていかれることと信じています!!

(2011.02.01 20:46:20)

ケーナさま☆.: *:・  
アルクトゥールスとアルデバランの二人に
温情あふれるお言葉、ありがとうございます!

もう子どもじゃないアルデバラン。
いつまでも手もとにおいて可愛がり続けるなんて不可能、と
本当はよくわかっているのに、
それをどうしても認めたくないアルクトゥールス。
とても複雑な心情だろうと思います。

アルクトゥールスの内なる迷路に入り込んでしまって、
ちょっと苦戦しているふろぷしーです。

(2011.02.01 21:49:34)

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