突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 目を覚ましたのは、夜明け前、東の空がうっすらと青く染まり始めるころだった。
 つけっぱなしで眠ってしまった枕もとのランプが、ちりちりとかすかな音を立てて燃えている。
 その明かりの向こうの、テーブルの上には、すっかり冷たくなった夕食が、まだ並んだままだ。
 アルクトゥールスはのろのろと起き上がり、テーブルの上に手を伸ばして、コップの水を一気に飲み干した。
 向こうのベッドでは、アルデバランが穏やかな寝息をたてている。

 枕もとの煙草に手を伸ばし、火をつけた。
 いがらっぽさに少し咳き込んでから、今度は大きく煙を吸い込み、また、ベッドにごろりとひっくり返る。
 ふーっと大きく煙を吐き出して、天井のしみをぼんやりと見ていると、そのしみに、アルデバランの泣きべそが重なって浮かび上がってきた。

 ―――『兄ちゃん、しっかりして! 死んじゃいやだ!』


 ゆらゆらとゆれて、消えかけたランプの向こう、アルデバランのベッドの上で、大きな毛布のかたまりが、規則正しい寝息に合わせて、かすかに上下している。

 「・・・アルデバラン、俺は、間違っていたのかな」
 声に出して、そうつぶやいてみた。
 「おまえが、俺をだますはず、ないよな。 アンタレスの言うとおり、俺があんまり強引に話を進めようとしたから、おまえは本当のことが言えなくなってしまったんだよな。 俺を悲しませたくなかった、それだけだったんだよな」

 可愛いアルデバラン、だとしたらおまえはそのことで、一人でどんなにか悩んだことだろう。 俺があの短刀を武器だと思い込んではしゃぐのを見て、どんなにか心を痛めたことだろう。 優しすぎるほど心の優しいおまえが、平気でそれを見ていられたはずはないんだから。

 ごろりと寝返りを打って、アルクトゥールスは煙草の火をもみ消した。

 もうアルデバランに、剣術を習えなんて言うのはやめよう。
 何も剣術なんかできなくたって盗賊はできるんだから。
 実際この俺は剣術のけの字も知らないし、アルデバランよりはるかに虚弱な体だが、あの迷宮の盗掘稼業で稼ぎまくっている。 剣を振り回すのなんか、できるやつに任せておいたほうがいいのだ。 たとえばアンタレスのような凄腕の剣士に。

 そう考えて、アルクトゥールスは、不意に大きく目を見開いた。
 ――― だったら、そのアンタレスを、俺とアルデバランの盗賊団に入るように誘えばいいんじゃないか!


 そうすれば俺たちは、小ずるくて逃げ回るのばかりがうまいパピト族の盗賊団ばかりでなく、荒っぽくて規模の大きいバルドーラ族の盗賊団までも次々と手中に収めて、限りなく強大に膨れ上がり、バルドーラの軍隊だって蹴散らして爆走する、それこそ世界一の大盗賊団になれる!

  この新しい思いつきに、アルクトゥールスの胸はまた、大きく高鳴り始めた。





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最終更新日  2011.02.02 18:37:47
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