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2011.02.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 変だなあ、と、アルクトゥールスは、また首をかしげた。
 アンタレスはいつも、リュキア軍なんてふぬけの集まりだと吐き捨てるように言っていたのではなかったか。 しかも、迷宮ではどんなお宝にも金にも目もくれなかったアンタレスが、軍の給料なんか欲しがるだろうか。
 アンタレスが軍人になりたがるなんて、どうも腑に落ちない。 
 その軍人たちと喧嘩していたというならむしろ、スカウトされたのを突っぱねて喧嘩になったとか、そのほうがアンタレスらしい気がする。

 考え込んだアルクトゥールスの顔色をうかがって、ヴェガがおかしそうに笑った。
 「おや、アルクトゥールス、ずいぶん心配そうな顔になっちゃったね。 アンタレスのやつ、親友のおまえにも、本当に何も言わず行っちまったのか。 まあ、親友だからこそ言いにくい、のかもしれないけど、仕事仲間としては事情の説明くらいはしてもらいたいよな。 どれ、じゃ、俺がちょっとひとっ走り行って、あいつの様子を見てきてやろうか? アンタレスの家、どこだい?」
 口ではそう言いながら、ヴェガの顔はなんだか嬉しそう。 どう見ても、自分とそりの合わないアンタレスが来なくなればもっけの幸い、と言いたげな顔つきだ。

 アルクトゥールスは不機嫌にそっぽを向いて答えた。
 「俺が知ってるわけねえだろ。 アンタレスとは、この仕事以外の付き合いはまったくねえんだから。 おまえだって、そんなこと百も承知のはずなのに、よくそんな、本当はやる気もない掛け声ばかりを口にできるな」

 考えてみればアンタレスとは、つきあいこそ短いものの、互いに命を張って仕事をするという、固い絆で結ばれていたと思う。 だから、戦闘するアンタレスのことならアルクトゥールスには何でもわかる。 得意技、苦手な敵、体調の良し悪し、強引に攻撃を仕掛けるときの激しい気合、退却を決意したときの無念の表情、それはもう手に取るようで、いちいち相談する必要もないくらいだ。 
 それなのに、それ以外のことになると、アルクトゥールスは、アンタレスのことをなんにも知らないのだ。 住まいはもちろん、これまでどんな人生を歩んできたのか、迷宮で得た金は何に使うのか、仕事のない日は何をしているのか、どんな友達がいて、どんなつきあいをしているのか、そういう日常的なことについては、本当に、何一つ知らない。 ありていに言って、迷宮の中の、あの得体の知れない怪物どもと、ほとんど変わらないレベルのつきあいでしかないのだ。
 あらためてそのことに気づくと、アルクトゥールスはちょっと驚き、そして、俺はもう少しあいつのことを知らなければ、と思った。 もしかしたらこの先、ともにリュキアを出て生涯の友となるのかもしれないのだから、と。

 砂漠の盗賊団として、と考えて、アルクトゥールスは不意に、アルデバランのことを思い出した。
 そうだ、仕事が中止になったのなら、俺は早く家に帰って、今度こそ、アルデバランとまっすぐ向かい合って話をしなければ。 あんなふうに強引に俺の夢を押し付けるのではなく、もっと穏やかに、ゆっくり時間をかけて説得しなければいけなかったんだ。 話によっては、アルデバランの希望する料理人の修行というのも、当座認めてやらなければならないかもしれない。 実際に砂漠に出る準備が整うのは、まだ先のことなのだから。

 思い立つと、アルクトゥールスはすぐに席を立った。
 「さて、中止ということになればいつまでもここでおまえと遊んでいてもしょうがねえ、俺は家に帰るぞ。 それじゃヴェガ、また来週、同じ日の同じ時間、例の場所でな」

 そそくさと立ち去るアルクトゥールスの背中に、ヴェガが、何か腹に一物ありそうな、含みのある声を掛けた。
 「・・・来週、ねえ。 たぶんアンタレスはもう来ないと思うけど、アンタレスに代わる兵隊のことなら、心配しないで俺にまかせておきなよ。 ちょっと心当たりがあるんだ」 





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最終更新日  2011.02.11 19:52:13
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