突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 暗い宮殿通りの先に自分の家が見えてきたとき、アルクトゥールスはふと立ち止まって首をかしげた。 いつも明々とランプを灯して、はるか遠くからアルクトゥールスを迎えてくれる、その窓が真っ暗なのだ。

 なにか嫌な予感に襲われて、アルクトゥールスは、だっ、と駆け出した。

 家の中に駆け込んで、おおいそぎでランプを灯す。
 「アルデバラン!」
 返事はなかった。
 家中探し回ったが、どこにもアルデバランはいなかった。

 アルデバランの毛布がきちんと折りたたまれて、ベッドの隅の方に片付けられている。 それを目にするとアルクトゥールスは、はっとして、家中の戸棚や引き出しを手当たり次第、片っ端から開けて中を調べ始めた。

 アルデバランの服や身の回りのもの、それに、この間買ってやったばかりの短刀などがなくなっていた。 

 顔から、ざーっと音を立てて血の気がひいていくような気がして、アルクトゥールスはへなへなと床に座り込んだ。

 アルデバラン、出て行っちまったのか?!
 俺が、料理人になることは許さないと言ったから?
 それとも、盗賊団になることがどうしてもいやだったから?
 俺は、アルデバランに、そんな無理なことを言ったのか?
 これ以上の話し合いは無駄だと思えるほど、俺はアルデバランを追いつめていたのか?

 頭はすっかり混乱して何も考えることができず、アルクトゥールスはしばらくそのままぼうっと座り込んでいたが、やがて、はっと我に帰って立ち上がり、もう一度、アルデバランの身の回りの品を調べはじめた。
 ここを出て、アルデバランはいったいどこへ行ったんだろう。 どこか行くあてがあったのか。 それとも、数え切れないほどたくさんいる友達のうちの誰かの家にでも転がりこんだのか。

 あれほど頻繁に、入れ替わり立ち代りこの家にも顔を見せていたアルデバランの友達の名前や顔を、アルクトゥールスは一生懸命思い出そうとした。 が、一人も思い出すことはできなかった。 
 アルデバランが毎晩楽しそうに話してくれた、友達の音沙汰、住所、勤め先、たわいもないあれやこれや、それもほとんど思い出すことはできなかった。 
 皆、アルデバランの小遣いを巻き上げようと集まってくるろくでなしばかりと、歯牙にもかけていなかったからだ。


 アルデバランが一銭の金も持たずに出て行ったことを思い出すと、やもたてもたまらなくなって、アルクトゥールスは夜の街へと飛び出した。

 アルデバランの大馬鹿野郎! こういうときにはせめて、金ぐらいたっぷり持って出るもんだ! 『あれは兄ちゃんの金だ』俺がそう言ったことに腹を立てて、意地を張ったのか? まったく、あいつには何にもわかっちゃいねえ。 これまで自分がガキ大将でいられたのは、兄ちゃんの金の力だということに、まだ気づかないのか。 金がなくなったら誰も相手にしてくれねえ、ってことが、わからないのか。 つい昨日までぺこぺこしてたやつだって、金がなくなったとたん、手の平を返したようにぷいとそっぽを向いて鼻もひっかけてくれなくなるんだ。 世の中そういうものなんだぞ。

 今までさんざん親身になって世話してやった友達を頼ってたずねて行ったアルデバランが、その友達に冷たく門前払いを食わされて途方にくれている、そんな様子がふと目に浮かんだ。

 にじんできた涙をぬぐって、アルクトゥールスはまっすぐにパピトの居住区目指して突っ走った。 





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最終更新日  2011.02.12 19:55:11
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