突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 『鏡の間』の向こうをのぞきこんだヴェガが、うひひひ、と意地汚い笑い声を上げた。
 「ほーら、やっぱり、俺の思ったとおりだ! アルクトゥールス、早く来て見ろって! 早く早く! 大鏡の向こうにうっすら透けて見えるだろ! ほらっ、お宝の山! どうやって運び出す? ・・・っひっひっひ!!」
 よだれをぬぐったヴェガの後から、鏡の間を覗き込んだ二人のニンゲン族も目を丸くして顔を見合わせ、部屋の中を指差し、興奮した様子で顔を紅潮させて言葉を交し合っている。

 ヴェガが、アルクトゥールスの手をぐいぐい引っぱりながら上ずった声で叫んだ。
 「ほらほら! 鏡の向こう! なっ? 見上げるようなお宝の山! ・・・しかし、鏡の向こう、って、どうやったら行けるんだろうな。 鏡を割ったら行けるのか? いや、鏡を割っちまったら、その向こうはただの壁だよなあ。 鏡と一緒に、お宝も消えちまうかも。・・・なんか、あの鏡を割らずに割って向こう側に行けるような、特別なハンマーみたいなものとか、ねえのかなあ! 秘宝、鏡割りハンマーっ! とかさ」 

 ヴェガに引っぱられて、アルクトゥールスも、しぶしぶ『鏡の間』に足を踏み入れた。
 「お宝の山? そんなはずはねえよ。 この前俺が見たときは、鏡の向こうにうっすら、大きな水たまりのようなものが透けて見えて、俺はてっきり蒼竜とやらのプールかと・・・」
 いぶかしみながら、『鏡の間』の奥、壁一面に広がる巨大な鏡を見上げて、アルクトゥールスは、はっと息を飲んだ。

 ――― アルクトゥールスの目の前、大鏡の向こうに広がる世界は、遠い昔、どこかで見たことがあるような気がする、薄暗い不気味な沼地だった。


 ふらふらとその沼に向かって足を踏み出したとき、沼の向こうの黒い大きな倒木の陰で何かが動いた。
 赤ん坊のアルデバランを拾った、まさにその場所、と思えた。
 ごしごしと目をこすって、目を凝らして、アルクトゥールスの胸が、どきんと大きく跳ね上がった。

 「・・・アルデバラン?!」
 それは確かにアルデバランだった。
 漆黒の色の髪を風になびかせ、腕組みをして、何か決意を秘めたように固く唇を引き結んだ、そのすっかりりっぱに成長した姿は、今やアンタレスと見まごうばかり、黒豹のように強靭でしなやかだ。

 沼の対岸のアルデバランの視線がゆっくりと動いて、こちら岸の兄の姿を捕える。
 と、その鋭い眼光が、ふっとやわらいだ。
 見慣れた、ルビー色の瞳に優しい光を浮かべて、アルデバランの唇が動く。 
 『兄ちゃん!』と。
 小さな、子どものころのままに。


 我知らず金切り声を上げて、アルクトゥールスは、アルデバランに向かって駆け出した。
 ふたりの間には、底知れぬ黒い沼が横たわっていることも、人の心の隙間に忍び込む魔の鏡が立ちはだかっていることも、きれいさっぱり忘れていた。

 アルクトゥールスの後ろで、ヴェガの叫び声が急速に遠ざかっていく。
 「おい待て、アルクトゥールス、そんなに勢いよく走ったら、鏡にぶつかっちまう・・・あっ、あーっ! アルクトゥールスが、鏡の中に入っていっちまった! 鏡の向こう側の世界に! ・・・な、なんで?!」





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最終更新日  2011.02.26 20:33:31
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※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


アルデバランの姿が目に焼きついて...!!  
風とケーナ  さん
とても幻想的で、それでいて求心力のある光景で、
私も鏡の向こうの世界に吸い込まれてしまいそうになりました…!

漆黒の髪を風になびかせながら、一人、決然と立つ、
美しくも強靭なアルデバランの姿が、あまりに鮮烈です!!

ああ…でも、アルクトゥールスのことが心配です。
頼みの綱のアンタレスも今はいないですし、
カストールとポルックスの力はまだ未知数ですし、
もう、ヴェガの魔法に縋る思いです!(≧人≦。)


し、しかも、、、ハンマーって、言えば?!!w(*゚o゚*)w

(2011.02.26 21:26:23)

おおっ、ケーナさま!  
うれしいコメントありがとうございます!!

>私も鏡の向こうの世界に吸い込まれてしまいそうになりました…!

  あはは、吸い込まれないでくださいねー(*´艸`*)♪
  この幻は、迷宮最強の魔獣、蒼竜が仕掛けた罠。
  人の心の弱みを攻撃して、
  生きる意欲を根こそぎ奪ってしまうのですぞ~~


>漆黒の髪を風になびかせながら、一人、決然と立つ、
>美しくも強靭なアルデバランの姿が、あまりに鮮烈です!!

  おお、ケーナさんにそう言っていただけると
  まさに天にも昇る心持!
  実はこの、夢とも現実ともつかない幽玄な立ち姿は、
  忘れもしないケーナさまの『コンドルの系譜』冒頭、
  痛いほど鮮烈に目に焼きつくあの美しい夕暮れに、
  すっくと浮かび上がったトゥパク・アマルさまの神秘荘厳のお姿をば、
  ちょっと盗んでみたかったふろぷしーなのですっ♪
  こいゆる怒ってるかなあ?!


>し、しかも、、、ハンマーって、言えば?!!w(*゚o゚*)w

  おおっ、気づいてくださって、ありがとうございます!
  そうなんです、このハンマー、
  あの輝けるお方がすでに手に入れてるんです。
  が、
  あのお方はこの使い道をまだ御存じない。
  早くもそれに気づいて教えようとしたアンタレスも、
  今は神殿の地下で深い眠りの中。


たどりつけそうで、なかなかたどりつけない最終章です・・・(+。+)

(2011.02.27 14:07:48)

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