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2011.03.18
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 リュキアの休日は、お祭りという言葉から連想されるような大賑わいとはほど遠い、のんびりとした静かなものだった。 エリダヌスの生まれ育った国の賑々しい祭礼とはだいぶ様子が違う。
 ハザディル神殿のお祭りは、目が回るほどにぎやかで、熱っぽかった。 勢いよく燃えるかがり火。 むせ返るほどの香の煙。 一歩足を踏み出すたびに必ず誰かとぶつかり合うほど人の集まる境内。 前に進むのが困難なほど人で埋まった参道。 高窓からこぼれ落ちるのではないかと心配になるほど、信者がつめかけた宿泊所。 その人出めあてに、ずらりと軒を並べた色鮮やかな露店の数々。 お祈りなんかそっちのけで、はしゃいで駆け回る子どもたち。 賭け事や酒宴に興じる不信心者たち。 毒々しい色の駄菓子。 それとわかっても買わずにはいられない、かわいらしいつくりの怪しげなお守り。 珍しい見世物小屋。 陽気な音楽。 派手な衣装の踊り子。 威勢のいい爆竹。 ハザディルなら、祭りといえばつきもののそういうものが、ここでは何一つ見当たらない。 道行く人の表情も、通りに沿って並んだ商店の、がらんとした退屈そうな様子も、普段の日とどこも変わるところはないと思われた。

 なるほど、祭礼というものは、本来こういうものなのかもしれない、と、エリダヌスは、あたりをきょろきょろ見回しながら思った。
 祭礼というのはそもそも、神さまに特別の感謝をしたり願い事をしたり、という日。 普段よりも特に心をこめて祈りを捧げれば、それでいいのかもしれない。 ハザディルより神の国に近いと思われるこの国では、祭りといって、特に浮かれはしゃぐこともなく、皆、いつもと同じように、その日の暮らしを心静かに送っているだけなのだろう。

 マルシリオの店へと入った、ちょうどそのとき、店の奥のほうから、荒々しい怒声が響いてきて、エリダヌスは思わず身をすくめた。
 何事だろう、と、奥の様子をうかがい見ると、エリダヌスと同じように、他の客たちも皆、物陰から顔だけ出してこわごわ店の奥を覗き込んでいる。
 人々の視線の先には、平身低頭して震えるマルシリオの姿。 
 さらに、そのマルシリオの真向かいには、今にも剣を抜かんばかりに激怒する、ひとりのバルドーラ客の姿があった。 
 その客の顔に視線を移して、エリダヌスの心臓が、どきん、と大きく跳ね上がった。



 あまりにもだしぬけの邂逅に、エリダヌスの頭の中はほとんど真っ白になり、理由もないのにただ慌てふためいて店の商品棚の後ろに逃げ込むことだけしかできなかった。

 高鳴り波立つ胸を押さえながら、商品棚の影から顔だけ出して、その姿を盗み見る。

 激しい感情をあらわにしたレグルスは、おそろしく、そして美しかった。
 むき出しの怒りに髪は炎のように逆立ち、今にも燃え上がらんばかり。
 猛々しい光を宿す琥珀色の瞳。
 張りつめた気を放つ、強靭な筋肉。
 このように激昂してなお人を魅了してやまない、その高貴な風貌は、初めてその姿を見た夜と同じように、いや、それ以上に、まぶしく、神々しく、今にも建物の屋根を突き破って、神の憤怒のいかずちの矢が飛んでくるのではないか、と、思われるほどだった。 

 奇跡の現場を目撃したような心地して、エリダヌスが恍惚と立ち尽くす間にも、レグルスの怒りはほどなくおさまり、穏やかな口調に戻って、マルシリオと何か話しこみ始めた。
 それを見るとエリダヌスは、後ろめたさを感じながらも、こっそり彼らの後ろに忍び寄って、どんな会話を始めたのか、耳をそばだてずにはいられなくなった。





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最終更新日  2011.03.18 20:56:16
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えーっっ!!  
風とケーナ  さん
もしやあの時、あの場所に、エリダヌスちゃんもいたのですか?!☆:゜*
しかも、棚の後ろに逃げ込む姿が、とっても愛らしいです♪d(´▽`)b♪

>むき出しの怒りに髪は炎のように逆立ち、今にも燃え上がらんばかり。
>猛々しい光を宿す琥珀色の瞳。
>張りつめた気を放つ、強靭な筋肉。

まさに天界の神々しき獅子王の威厳と麗しさ!!
もう、ほんと、吐息しか出ません.:*・☆

まさかの運命的な再会を果たしたエリダヌスちゃん、
二人のご縁の強さの顕れですね!!

(2011.03.18 21:31:08)

ケーナさま、コメントありがとうございます!  
はいー♪
エリダヌスちゃんしっかり目撃者してますー!

愛らしい、なんて言っていただけて、うれしいです!
エリダヌスちゃんもきっと、大喜びしてます+。:.゚(人^0^〃)♪.:。+゚

これこれエリダヌス、浮かれている場合ではないぞよ。
そなたにはこれから、大いなる試練が待ち構えているのじゃムフフ
↑だれ!? (2011.03.19 01:21:14)

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