突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.03.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 プラターマの表情もすっかり不安げに曇っていた。
 プラターマはもう一度、エリダヌスに丁寧に呪文を教え、もう一度、と促した。

 だが、何度やっても結果は同じだった。 エリダヌスは、プラターマに励まされ、叱りつけられながら、繰り返し、繰り返し、呪文を唱えたが、そのたびに、プラターマの錫杖に突き転ばされるばかり。 他には何事も起こらなかった。
 しまいには、錫杖をふるい続けるプラターマのほうがすっかりへたばって、荒い息をつきながらこう言った。
 「エリダヌス、大丈夫ですか? もしや、お体がまだ快癒されていないのでは? 確かにダルシャーナ大司教さまの御許可が出たのですか?」

 つまり、健康な者であればこんなにできないはずはない、ということだ。
 目の前が真っ暗になるような気がして、エリダヌスは立ち上がるのも忘れ、プラターマ導師の顔を見つめた。
 「私は、もうすっかり健康のはずです。 もちろんお許しもいただきました。 なのに、こんなにできない、ということは、神さまが私に法力を与えてくださらない、ということでしょうか? ならばこの胸の中の、このあたたかみはいったい何なのでしょう!」 

 プラターマも、すっかり困惑した表情になって、しきりに首をひねりながら答えた。


 エリダヌスは力なくうなずき、立ち上がってプラターマ導師に礼を述べると、すごすごと道場を退出するしかなかった。

 導師の言葉は、どれも気休めにすぎないと思った。
 導師が、初めから何のためらいもなくいきなり錫杖で突きかかってくるところから考えても、普通は必ず一度で成功するはずのものに違いないのだ。 しかも、あれはたくさんの呪法のうちでも初歩の初歩、最も簡単なものだという。 このハザディル神殿では、ほんの小さな子どもを除いて、あの『保護』の呪法ができない神官なんて、一人もいないのだ。 
 それを思うと、悔しさのあまり涙が浮かんできた。
 自分が人より優れているとは思わない。 でも、特別劣っていると思ったことも一度もなかった。 なのに、なぜ、自分だけができないのか。

 自分の部屋に戻ってくると、エリダヌスは、誰はばかることなく、祭壇にすがりついてすすり泣いた。 
 胸の中に灯ったやさしいあたたかみが、かすかに揺れて、エリダヌスの傷ついた心を優しく慰めるかのように、再び、あの心地よい、優しいあたたかさをじわじわと放ち始めた。
 エリダヌスは涙をぬぐい、そのあたたかみを確かめるように、胸に手を当てた。
 神が与え給うた聖なる力の泉は、確かに、そこにある。

 エリダヌスはゆっくりと立ち上がり、顔をきれいに拭って、再び、祭壇の前にひざまずいた。
 数珠を取り出し、一心に祈り始めた。

 そして、明日もまた、道場へ行って、プラターマ導師に教えを受ける力を与えていただくために。

 長い長い祈りを、繰り返し、繰り返し、続けているうちに、エリダヌスの心から、次第に霧が晴れるように、迷いが消えていった。

 たった一度の失敗が、何だというのだろう。
 私たちは、遠いハザディルの国から数々の試練を乗り越えてここまでやってきたのだ。 今日できなければ明日、明日できなければ明後日という日があるではないか。 今日できなかったからといって嘆き悲しむことは少しもない。 プラターマ導師が授けてくれた神の力の源は、この胸の中に、こんなに確かに息づき、燃えているのだから。





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最終更新日  2011.03.26 20:58:47
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祈り、応援しています.:*・☆  
風とケーナ  さん
エリダヌスちゃんの一途なひたむきさ、
どんな困難の中でも前に向かって進もうとする勇気、
神様を一点の曇りなく一心に信じる心、
全てに強く心打たれます。

そんなエリダヌスちゃんにだからこそ、
神様が特別に与えてくださった尊く崇高な試練なのだと
思えてなりません。
レグルス様に対する気持ちとも関連があるのでしょうか…?
ドキドキしながら、展開を待ちたいと思います(*^-^*)

そして、前回のお返事も大変嬉しく拝読させて頂きました!
本当に、時を同じくして、二人の修行がスタートしていますね。
カノープスの修行――
まさに始ろうとする『12』まで読ませて頂いたところでした。
張り詰めた緊張感、冴え渡る筆致に、心を鷲掴みにされています!!

(2011.03.26 21:49:02)

ケーナさま、ありがとうございます!  
エリダヌスへの力強い応援、ありがとうございます!
エリダヌスもどんなにか励まされていることでしょうか!
ケーナさんに大きな力をいただいて
深く感謝していることと思います。
ふろぷしーも、大きな力をいただきました!

  ☆.:゚+d(感´∀`謝)b.: *:・☆

エリダヌスちゃんの修行がうまくいかないのは、
エリダヌスちゃんのせいではないのです。
じつは、この神殿の中に、
こっそりエリダヌスちゃんの邪魔をしてる
いやーなやつがいるからなんですねー ψ(`∀´)ψ

。.:+*:・' ☆。.: *:・+'゜★。、: *:。.:・'。.: *:・'゜☆。、:+*:.

『風樹の森』のほうも、
読んでくださってありがとうございます。
とても嬉しいです。
こちらのほうは今、
美しい回想シーンと、陰惨な獄房シーン
両極端を激しく行ったり来たり。
じたばたあたふたすったもんだの最中です。(+。+)´´

いつもほんとうにありがとうございます!
(2011.03.27 19:57:14)

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