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2011.03.31
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 食堂の中をのぞきこんでみると、一番隅のテーブルの下で、隠れるようにしゃがみこんですすり泣いているのは、調理場の下働きの、小さなドードーだった。
 また、何か失敗をして、あの短気な料理長に叱られたのだろうか。
 足音を忍ばせて、エリダヌスはそっとドードーに声をかけた。
 「ドードー? どうしたんですか? またグリーディさんに叱られちゃいました?」
 はっとしたように顔を上げたドードーが、その、涙でぐしゃぐしゃに汚れた顔を、エリダヌスに向けた。

 と、エリダヌスの顔を見るなり、ドードーは激しく泣きじゃくり始めた。
 「エリダヌスさま、俺もう死んじゃいたい! こんなところ、大嫌い!」

 エリダヌスは、床にしゃがみこんでいるドードーに近づき、その隣に腰を下ろして、取り出したハンカチで顔を拭いてやりながら優しく言った。
 「おやおや、死んじゃいたい、とは聞き捨てなりませんね。 いったい何があったんです? 私に話して聞かせてくださいな。 なにかお力になれることはないでしょうか?」


 「ないよ。 俺を助けることなんて、誰にもできない。 神さまだって無理だ。 エリダヌスさま、あなたにだって、俺のこのぶきっちょな手を、器用な手に取り換えるようなこと、できないでしょ?」

 エリダヌスは少し困って、ドードーの肩を優しく撫でた。
 「確かに、それは誰にもできないことですね。 神さまにもできないことかもしれません。 でも、ドードー、あなたにだって、できることはたくさんあるでしょう? 人は誰だって、自分にできることを精いっぱいやればそれでいいんです。 できないことを、人よりうまくやりたいなんて、望まなくていいんですよ」

 ドードーがまた、激しく頭を振った。
 「俺、別に高望みをしてるわけじゃないよ。 悲しいのは、俺にはその『できること』がひとつもないってことなんだ」
 「そんなことありませんよ! たとえばあなたは、まだそんなにお若いのに、もうあの調理場で、大人のかたたちとご一緒に、ちゃんと働いていらっしゃる。 ジャムルビー族だったらまだ、ひとりで外を出歩くことも難しい年頃ですよ」

 「パピトとジャムルビーは違うよ」
 悲しげに首を振って、ドードーが、鼻水をすすり上げた。
 「あの調理場には、俺と同じくらいの年頃の見習いが、シェルヴォと、ファーと、俺と、全部で3人いるんだけど、俺はこの3人のうちで、一番不器用で物覚えが悪いんだ。 今度グリーディさんは、俺たち3人に、雑用ばかりでなく新しい仕事を教えることにしたんだけど、俺たち3人のうち、シェルヴォは一番器用で覚えが早いから、板場のガビアルさんが真っ先に、俺が包丁を教えてやる、って自分の弟子にした。 そうしたら、焼き物専門のエオスさんがあわてて、火の扱いは気が張るから、真面目でよく気が回るファーに火の番をさせたい、って言った。 そうしたら、ふたりに出遅れたスープ係のゴズリングさん、いやーな顔で俺を見てからグリーディさんにこう言った。 『スープ係はアタシ一人で十分です。 スープ専門の見習いは、また次の機会に、新しい下働きを採用した時にでも考えましょうや』って! 誰も、俺なんかいらない、って言うんだ! グリーディさんも苦い顔で俺を睨んで、『ドードー、おまえはいまだにりんごの皮むきひとつ満足にできねえんだから、今までどおり皿洗いとゴミ捨てでいいよな』って。 そしたらシェルヴォのやつげらげら笑って、『心配するなドードー、俺が一人前になったらおまえにちゃんとりんごの皮向きを教えてやるから』って! そしたらファーまで一緒に笑い出して、『そんなに待ったらシェルヴォもドードーもじいさんになっちゃうぞ』って・・・・!」

 ここまで一気に言うと、ドードーは涙でのどを詰まらせ、わっと声を上げて泣き出した。





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最終更新日  2011.03.31 20:03:03
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ドードー...!!  
風とケーナ  さん
ドードー、そんなことがあったなんて、
どんなに傷ついてしまったことでしょう…!!
今までだって、うんと踏ん張って、
グリーディさんの仕打ちにも耐えて、懸命に頑張ってきたのに、
こんな思いをさせられるなんて居た堪れません。

ですが、そんなドードーのお傍に、
光の天使のようなエリダヌスちゃんがいてくださることが、
本当に、大きな救いと感じます!
今は、彼女自身だって、とてもお辛い時と思いますのに、
ドードーの心に温かくしっかりと寄り添おうとされるエリダヌスちゃんの御姿に、
胸が熱く込み上げています.:*・☆

(2011.04.01 00:31:08)

ケーナさま☆.: *:・  
ありがとうございます!
小さなドードーにまで
このようなあたたかいお言葉をかけてくださる
ケーナさんの優しさに
こちらのほうが心揺さぶられる思いです!
ほんとうにありがとうございます。
嬉しくて、胸がいっぱい!

つらいとき、
立場は違っても
同じ悩みを抱えるふたりが苦しみを分け合うのは、
きっと、双方ともに立ち直るための
大きな力になることと思います。

ケーナさんからもこうしてパワーをいただき、
エリダヌスも、復調目前!・・・かな?…σ(-''-;)

(2011.04.01 21:03:50)

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