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2011.06.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類

lotus flower

 リシャーナの小径を、アルデバランが、矢のような勢いで疾走する。
 それは、いつもの優しいアルデバランとはまるで別人のよう。
 激しい怒りの炎が、全身から燃え上がっているのが、目に見えるようだ。
 いつもならアルデバランを楽々振り切るプロキオンも、今日は、疾駆するアルデバランを見失わないように、追いかけていくのがやっとだ。

 やっぱりアルデバランは、特別な人、パピト族ともバルドーラ族とも違う、ヴェガの言ったように、この森を守るためにリシャーナの戦士となる運命に、生まれついたひとなのだ、必死で追いかけながら、そう実感した。

 リシャーナの泉まで来ると、アルデバランはちょっと足をとめ、あたりを見回してから、泉から少し離れた茂みの中に入りこんで行った。

 そういえばアルデバランは、泉の近くに自分の家を作ってあるんだと言っていたっけ。
 そこで一緒に暮らそうと、プロキオンも何度も誘われた。



 おそるおそる、小屋の中をのぞくと、中でアルデバランは、奇妙な形をした木の枝を取り出して、それに取り付けられた細い糸を、引っ張ったり、叩いたりしなから、調整しているように見えた。

 それが、武器だということはすぐに気がついた。
 小屋の中には、動物の血の匂いが、強くこもっていたからだ。
 傍らに立てられた細長い入れ物に何本も突っ込んであるのが、動物たちを殺す、矢だということも、すぐにわかった。
 アルデバランがその矢を手にとって、注意深く何か塗りつけようとしている、それが、一瞬にして生き物の命を奪う猛毒だということもわかった。

 アルデバランは、狩人なのだ。

 今まで、考えたこともなかったけれど、この泉でアルデバランと出会ったあの瞬間から、わかっていたような気もした。
 リシャーナの戦士は、森の守護神。
 深い叡智で、動物たちを守ると同時に、荒々しい狩りをすることも、森から許されているのだ。

 プロキオンの後ろで、茂みをかき分ける柔らかな音がして、振り返ると、ヴェガが、ふたりの後を追って、やってきたところだった。

 ヴェガが、プロキオンの頭を優しく一回なでてから、小屋の中に入り、アルデバランに近づいていく。


 何本もの矢に、丁寧に毒を塗りつけながら、アルデバランが黙ってうなずいた。

 引き締まったその横顔に、迷いの色はなかった。





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最終更新日  2011.06.13 21:08:51 コメントを書く


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