突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.08.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 窓がなければ時の移ろいさえわからない、永劫の幽暗地獄。

 その薄闇の中、ひっそり横たわったフォーマルハウトの死に顔は、とても美しかった。
 どんな法力も魔法もその効力を現さない、この不思議な塔の内部では、ゴルギアス千年の呪いさえも、効力を失うのだろうか。
 それとも、この国の神官たちは、死んだときやっと、ゴルギアスの呪いから解放されて、生きている時にはついに一度も見ることのできなかった、本来の自分の顔を取り戻すということなのだろうか。
 いずれにしても、なんというむごい呪いだろう。

 フォーマルハウトの、砂に汚れた顔をきれいにぬぐい、乱れた髪をといてやりながら、エリダヌスは、不思議な思いで、今初めて見るフォーマルハウトの、美しい顔に話しかけた。
 「・・・フォーマルハウト、あなたは、こんなにきれいな顔をしていたのね」

 フォーマルハウトが、エリダヌスの声に静かに耳を傾けていてくれるような気がした。



 耳の奥に、フォーマルハウトの、無邪気な笑い声が蘇る。
 2人で過ごした時間の、楽しいことばかりが思い出された。

 「フォーマルハウト、思い出してください。 レグルスさまが私にお心を開いてくださったのも、決して私の容姿なんかのせいではなかったでしょう? 毎日毎晩、落ち込んで顔も上げられないボロ雑巾みたいな私といっしょに、悩んで苦しんであれこれ方策をひねり出して私を強力に後押ししてくださった、あなたの奮励が実を結んだからではありませんか。 半分以上、あなたのご功績ですよ。 いっしょに喜んでくれるとばかり思っていたのに、それは私の思い上がりだったのですか? ならばその苦しみ、なぜ私にも分けてくださらなかったのですか? あなたにとって私は、そんなに頼りにならない姉でしたか?」

 その心の闇を知ってしまった今も、また、別人のように変容しても、なお、フォーマルハウトはやっぱり、エリダヌスのよく見知った、慎み深く、柔和で、敬虔な、可愛い弟の一人、あのフォーマルハウト以外の何者にも見えなかった。

 その遺体に取りすがって嗚咽を洩らす、エリダヌスの耳に、そのとき、階段を一足飛びに駆け上がってくる音が、聞こえてきた。

 はっと顔を上げたエリダヌスの目の前で、石室の戸が、ばん、と、勢いよく開いて、全身から金色のオーラを発する太陽のように、輝ける若きレグルスが飛び込んできた。
 「エリダヌス、無事かっ!」





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最終更新日  2011.08.21 19:07:23 コメントを書く


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