突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.08.31
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 長い物語を罪の告解のように静かに語りながら、ゴルギアスは、その表情を、万華鏡のようにくるくると変化させる。


 「・・・セルヴィウスもまた、この世に2度とあらわれてくれませんでした。 私の子として生きることを、拒否したのです。 そのとき初めて私は気がつきました。 お后さまが、どんなにセルヴィウスをいつくしんで育ててくださったかということに。 お后さまには御自分のお子さまがたも大勢いらしたのに、後継者として王さまが選んだのは妾妃の子。 どれほど私を憎んだかわからないのに、その不満を少しも外に表すことなく、私の子も御自分のお子たちと同じ、広いお心で愛し、未来の王として教育してくださったのに違いありません。 だからこそセルヴィウスも、お后さまを本当の母と固く信じ、そのお后さまを殺した私を、深く恨んだのです。 セルヴィウスから幸せを奪い、苦難の道を歩ませてしまったのは、ほかのだれでもない、私自身だった。 セルヴィウスも、もう一度生まれ変わるなら、やはりお后さまの子として、そう望んだのでしょう。 それに気がついた時、私はようやく、千年の憎しみから解放されました」

 長いまつげの影を落として、ゴルギアスが悲しげに目を伏せる。
 「私には、長い間どうしても解けなかった謎が、ひとつ、ありました。 ミラとして成長しながら、私は、なぜリシャーナたちは一日数粒の苺だけで、元気に生きていけるのか、いつも不思議でなりませんでした。 いいえ、リシャーナの子どもに限らず、苺という食物に限らず、この、ゴルギアスホローの子どもたちは皆、飢えに苦しむこともなく、流行り病に侵されることもなく、大人になって自らここを出てゆくまでの間、総じて伸び伸びと健康に育っていきます。 栄養価の高い、バランスの取れた食物、質のいい衣類、よく効く薬、そういったものが、なぜ、形を変え手段を変え、過不足なく、やすやすと、私たちの手に入るのか。 考えて、ようやくその答えに行き当たりました。 それらはひとつ残らずすべて、母たちの、涙だったのです。 リュキアに残された母たちが、底なしの沼に呼ばれて姿を消したわが子の身を案じ、どうか無事で生きていてくれますようにと泣きながら祈る涙の、飢えることなく病に苦しむことなく暮らしていてくれますようにと日々捧げる供物の、その悲痛な母の願いが、形となってちゃんとここまで届いていたからなのです。 千年もの長きにわたって累々と、母たちは、消えた子どもたちのために涙を流し続け、ここの子どもたちはその涙によって育てられ、守られていたのです。 それに思い至ったとき私は、いまさらながら、自分の罪の深さに慄然としました。 私は、なんという愚かな、罪深い母だったことでしょう!」

 神殿はまだ燃え続けていたが、大通りには、焼け出された人や怪我人を保護する兵士たちのきびきびとした動きが目立つようになり、その指示の下で、人々も次第に落ち着きを取り戻していくように見えた。

 深いため息とともにその光景を見渡してから、ゴルギアスが、再びアルデバランに視線を戻した。
 「子どもたちは大人になるときが近づくと、恋をして、二人手に手を取ってこの国を出て行きます。 けれどアルデバラン、あなたは、この国の中で、初めて、プロキオンとの愛を成就させました。 それによって私の邪悪な呪いはなかば解け、リュキアの子どもたちがゴルギアスホローに落ちてくることは2度となくなりました。 本当は、私が、今生で、ミラとして、アンタレスと2人、それをしたかったのかもしれない。 でも、アンタレスはそれを望みませんでした。 前世にあっては、彼の保護者であり支配者であったに違いない私の、遠い記憶が、彼の中に残っていたのかもしれませんね。 ・・・いずれにせよ、あとは、ゴルギアスホローというこの檻を、世界から孤立した砂漠から、緑なす懐かしいリュキアの地に戻せば、呪いは完全に消えてなくなります。 あの、開かずの大城門を開くと、その道はリュキアにつながります。 さあ、アルデバラン、今こそ、あなたに預けた鍵で、大城門を開けて、子どもたちを、ゴルギアスホローの檻から解き放って、母たちの、父たちの、手に返してやってください」





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最終更新日  2011.08.31 19:01:58
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