突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.09.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ゴルギアスが、アルデバランの胸のあざに手を伸ばした。


 それをアルデバランの手に握らせながら、ゴルギアスが、別れを告げる。
 「この鍵で大城門を開けて、私の呪いを完全に打ち破ったら、あなたは、呪いを解いた者の定めとして、一人でリシャーナの森に帰らなければなりません。 森ではプロキオンが、猫目石のかんざしを持って、あなたの帰りを待っています。 プロキオンのおなかの中で、もうひとつの新しい命も、あなたを待っています」

 鍵を受け取りながら、アルデバランはゴルギアスを見上げ、たずねた。
 「ゴルギアスさま、あなたはこれからどこへ・・・?」

 ゴルギアスは、遠くを見るような表情に、穏やかな微笑を浮かべて答えた。
 「私は、もうこの世に生きている意味がなくなりました。 いつかデネブに聞いた、海というところへ行こうと思います。 デネブが話してくれた、クジラという、大きな穏やかな生き物になって、遠く深い海の底で、永遠に悔恨の涙を流し続けながら、私が奪った子どもたちの涙、母たちの涙で、たくさんの新たな命を、永遠に育み続けようと思います」



 神殿を包んでいた炎の勢いもだいぶおさまって、あたりはしだいに夜の闇が戻りつつある。
 その薄闇の中、小さな頼りないゴルギアスの後姿が人ごみの中に消えていくのを見送ると、アルデバランは、自分の手に残された鍵を見下ろし、それから、城門に近づいて、鍵を差し込んだ。 
 その真新しい鍵は、真っ赤に錆びついた大城門の古い錠前に、ぴたりと吸い付くようにおさまった。
 かちり、と確かな音を立てて、錠前が外れる。 
 ごろごろと音を立ててかんぬきを抜き去り、力を込めて扉を押す。 
 ぎ、ぎぎぃ、と、重い音を立てて、千年の呪いの扉が、今、開く。


 ――― 門の外には、果てしなく広い夜の砂漠が広がっていた。

 かつてアルクトゥールスが、馬を駆って縦横無尽に走ることを夢見た砂漠。
 アードウルフが、盗賊団を率いて神出鬼没、風のように走り抜けた砂漠。
 ミューズが、天馬の背に乗って旅立っていった砂漠。
 ヤップが、希望の国を目指して、アルデバランと2人で越えたいと願った砂漠。


 おそるおそる、白い砂の上に、足を踏み出した。
 乾いた風が、アルデバランの髪をなぶって吹き抜けていく。
 うつろな風の響き ――― 
 はっとして振り返れば、そこもまた、一面の砂の海だった。

 城門も、城壁も、塔も、燃え落ちた神殿も、何もなかった。





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最終更新日  2011.09.01 20:16:31
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