私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2015年01月26日
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カテゴリ: 千の朝
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 上からの革命でもなく、下からの反抗でもなかつた。

 かれら自身はおおむね中産階級の出で、實社會から離れた生活をしていた。
(極端ないい方をするなら、これもこの三十年来いまもつづいている、社會の不正に對する若い世代の反撥の一齣だつた)。

 檄文にも見るように、かれらはみずから革命の前衛をもつて任じていて、後から国民大衆がつづいてかれらのはじめた仕事を完成することを期待していた。

 かれらの動機は自分の階級の利益のためではなくて、観念の情熱からだつた。

 階級は一つの權力の主體であるが、階級のみがそれなのではない。

 階級の悪を否定しようとする情熱もそれとなりうる。

 軍縮時代に軍人が肩身がせまかつたから、それへの怨恨が軍隊の中にあつた。



 しかし、このように主観的動機を重視することは、はたして歴史の開明になるだろうか.? 

 歴史をうごかすのは、もつと「根本的な」要素なのであり、證明は権力ないし経済ないし階級によって裏づけられなけれはならないのではないだろうか? 

 青年將校の連動は、獨占資本にあやつられたか、農民の反抗であつたか、あるいは苦しんでいる小市民のあがきであつたか、とにかくそのような観點に基礎づけられなくてはならないのではないだろうか? 

 観念の情熱--? 

 そんな頼りのない話ではなくて、もつと實質的な要素に還元して、そこの上からの演繹をするのでなければ、すべては非科學な「むなしい唯心論」なのではないだろうか?

「昭和の精神史」 竹山道雄 新潮叢書





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最終更新日  2015年01月26日 06時10分07秒
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