「クール・ジャパン 世界が買いたがる日本」 杉山 知之著 2006/02 祥伝社
最近は、若い世代の人たちの本を読むことが多くなって、どこかついていけない部分も感じなくはないが、本著の著者は、私とまったく同じ世代の人間だ。時代体験はまったく同時である。いわゆるデジタルハリウッド学院のリーダーだ。学校、大学、大学院、とはいうものの、文部科学省のいうところの学校法人ではないだろうが、その心意気には共感する部分も多い。
日本発のオリジナル・コンテンツ、という時に、その基礎は、漫画、アニメ、オタク、アキバ、萌え、あたりにありそうだ、という視点は私に目新しいが、また、ちょっと恥ずかしい感じもする。しかし、かつて三流文化に思われていた、江戸時代の浮世絵文化が、西洋の印象派のアーティスト達に大きな影響を与えたことを考えると、漫画文化を軽視するのは、どうかな、と反省させられる。
日本にいながら、日本の「クール」な部分に意外と気がつかない、ということはあるだろう。そのような部分に視線を向け、それをオリジナルなコンテンツをさらに創造する人材を発掘・要請しようとする著者の視点には一目おくべきだ。
さて、それでは、クール・ジャパンは、そこだけか、というテーマは残る。P156 では作家の島田雅彦が日本文化の「三点セット」は「わび・さび・萌え」と表現したことを紹介している。Web2.0とインフラ整備の進む中、日本発のオリジナル・コンテンツの今後の活躍やいかに。なかなか興味深い視点をもらった感じがする。
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