(1)よりつづく

「ミクロコスモス(2)」
中沢新一 2007/04 四季社 単行本 195p
★★★★☆
短い、細切れの文集だが、断片的に興味深いところがいくつもある。
日本ばかりがそうなのかと思っていたら、じつはキリスト教文化圏でも事態は同じだったということが、この本(ロジェ=ボル・ドロワ『娘と話す 宗教ってなに?』現代企画室)を読むとよくわかる。たとえばフランスでも、70年代からの教育改革によって、子供たちが知っておかなければならない「キリスト教の知識」や、キリスト教的な思想家たちの書いたテキストなどは、どんどん教育課程からはずれていったために、この本の著者のように、ある日自分の娘がキリスト教はおろか、ユダヤ教についても、イスラム教についても、ほとんどなにも知らされていないことに気がついて愕然とすることになる。それにこの本の著者の世代の人間は、多かれ少なかれカウンターカルチャーの時代を体験しているので、人一倍神秘的なものや宗教的なものへの関心が深いのである。そこで、「こいつはまずい」と感じた父親は、その手のことが大好きな友人たちの力を借りて、娘に宗教を語るということになったのである。
p175「宗教はほんとうはもっと面白い」
ロジェ=ボル・ドロワの著書はシリーズになっていて、以前この ブログでは、「
「娘と話す 哲学ってなに?」
を読んでいた。そ
の中の一節にやたらと感動したのだった。
とにかく大事な点は、うんざりせずに、好きな著者の本も嫌いな著者の本も読んで、喜んだり怒ったりすることだね。それが、自分の考えが生まれるきっかけになると思うよ。
「娘と話す 哲学ってなに?」p119
わがブログのモットーにしよう、なんてことまで思いたったことはすっかり忘れてしまっていたが、その後のわが行動をみると、まさにこの精神で突撃してきたのだった。「宗教」編は、どうなっているのだろう、機会があったら読んでみよう。
巻頭にある「369(小説)」も面白い。「インディオのシャーマンが調合してくれるあの奇妙な液体」p16を飲む体験は、確かに想像ばかりで書かれているとも思えないが、「小説」という形をとらないと、なかなか表現しきれないとことかも知れない。
「マルクスその人」の思想をかたちづくる三位一体」p105などもなかなか興味深い。「市民社会の構造 象徴的なもの」、「宗教・国家・法 幻想的なもの」、「(自然)哲学 現実的なもの」を三つの輪で表現している。これらのカテゴリ分けは、にわかには釈然としないものを感じるが、三位一体としたところがなにやら意味深げ。中沢 の近刊
「三位一体モデル」
とどのように
連なっていくのか、注目しておこう。
「芸術とプライバシー」p127~p143も面白い。長文になるので、一切引用しないが、「私」はどこにあるのか、など、人びとが瞑想体験の中で、味わっていく何かが、著者なりの理解で著者の表現の枠組みの中で語られている。
この本、(1)がレコードのA面で、(2)がそのB面である、という編者の印象が語られているが、私はあまりそういう感じはしなかった。むしろ、これは(3)以降にシリーズ化していくのではないか、と思ったのだった。
<異説>親鸞・浄土真宗ノート 2009.03.15
意識は科学で解き明かせるか 2009.03.14
感じる脳 2007.09.10
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