地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.08.31
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「万物の歴史」
ケン・ウィルバー /大野純一 1996/12 春秋社 519p 単行本 原書 A Brief History of Everything  1996
★★★★☆


 ケン・ウィルバーを読んでいると、パソコンのマニュアル類などを最初のページから読んでいるかのような錯覚を覚える。通常は、あれほど分厚いマニュアル類の全文を読むユーザーもいないだろうし、読む必要もない。また、マニュアルを読まずとも、直感的に使えているものに関しては、あえて文章で確認する必要もない、というのが当たり前の感覚だ

 もちろん、どこかでつまづいたら、索引から探し出して、自らの不明な点を読み込み、操作しなおしてみるという作業には、マニュアルは不可欠だ。全部を読む必要はないけど、きっとすべてのことについて書いてあるに違いない、という信頼感、それに似たようなものがケン・ウィルバーの著書にはある。

 あるいは、保険証券の細かい箇条書きにも匹敵するかもしれない。どこに重点があるというわけでもないのだが、均質な濃度と量をもって書き連ねてある。反面、文章化されているもの以上のものはなにもない、というようなちょっと高飛車な雰囲気がないわけでもない。

 ケン・ウィルバーの著書にはスピリットという単語がたくさんでてくる。、例 えば
「科学と宗教の統合」 などでは「スピリット」となっているものが、本書では「<霊>」と なって「スピリット」というルビが振られている。二冊が発行された時期には2年の隔たりがあるが、語源は同じものだろう。訳者によっては、雰囲気がだいぶ変わるものだ。

 私、私たち、それ、などのビック・スリーに関する部分は相変わらずだ。この本、1996年に英文で書かれ、翻訳も1996年に出ている。他書にくらべたら、異様な早さだといえなくもない。当時の日本の社会は麻原集団事件で右往左往していた時代だ。本書を出版する緊急性が、当時の担当者間にあったのかもしれない。

 P461以降の「インターネット」に触れたあたりはちょっと興味深い。96年といえば、いかなアメリカといえど、Win95が発売になって、まだインターネットの幕開けもほんの始まりの時代だったにすぎない。Linuxの成果も十分評価される前であり、Googleでさえ、まだその予兆さえ感じられない時代だ。

ネットとはたんに新しい技術--基盤(右下)なのです。ですから、それを使用する意識に対しては中立的なのです。すべて右側の道にある構造は、中立的で、価値から逃れています。コンピューター・テクノロジー(と情報化時代)が意味するものは技術基盤が世界中心的な視点、グローバルな意識を支えうる、ということであって、それを保証するものではまったくないのです。認識的な手段の発達は、いつも拡大する近くの本来の梯子を昇ろうとする熱意の先を越してしまうのです。ネットは可能性を提供しますが、実現の保証はしません。
 ネットがグローバルな意識と同じだと見ることができない理由はここにあります。道徳段階1の人三千万が自我中心的な道徳を拡大する手段を与えられたらどうなると思いますか。ナチスがネットを持って何かいいことがあるでしょうか。
P461

ネットはそれ自体では内面的な変容を保証するものではなく、たんに外面的な社会構造にすぎません。グローバルな意識への変容については、言わずもがなです。ネットはたんに独白的(単一論理的)構造です。そこに流れているのは、さまざまなタイプの内面です。しかしこうした内面の質については、問題はまったく別になるのです。このことはネット自体の構造では触れることさえできません。 p462

ほとんどの人々は、残念なことに、まだ前慣習的、習慣的な知覚様態にあり、自我中心、自民族中心的です。どんなシステム地図も、インターネットも自動的にこれを変えさせることはできない。内面的な変容を促進することはできないのです。むしろほとんどの場合、逆であって、退行または停止に力を貸してしまうのです。世界中心的な手段がそれ以前の段階の個人に提供された場合、そうした手段はたんにそれ以前の世界観を推進するために利用なし悪用されるだけです。ナチスがネットを持ったら狂気したでしょう。 p463

 ここにおける著者のネットの<統合性>に対する態度は、否定的だ。たしかにグローバルな知性や覚醒の統合には、ケン・ウィルバーのような研ぎ澄まされた感性と、実践される<善>によってこそ、可能であるといえるかもしれない。しかし、ここからすでに10年が経過した。著者がなんと言おうと、時代は<統合>の方へ動いている。ネット社会には、その必要とされる知性や覚醒が芽生えてきているのか。あるいは、ダークサイドにおちているのか。

 本書は、Q&Aスタイルをとっており、話し言葉口調と、ですます調で書かれているので、その内容はともかくとして、読みやすい一冊となっている。





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Last updated  2009.02.10 08:15:28
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