「ダライ・ラマの密教入門」
秘密の時輪タントラ潅頂を公開する
ダライ・ラマ(14世) /石浜裕美子 1995/12 光文社 単行本 283p 原書 Kalachakra Tantra Rite of Initiation For the Stage of Generation 1985 1989
Vol.2 No.295 ★
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「ダライ・ラマの仏教入門」 も素晴らしい本だったが、この本もまた突出している一冊と言える。この二冊はほぼ同時に、あの忌まわしい 事件 の起きた1995年に、緊急出版のような形で公開されている。特にこの「密教入門」のほうは、カーラチャクラ・タントラという、チベット密教の「最大」の秘法ともいうべきものの公開だ。「吉祥秘密集会成就法清浄瑜伽次第」が「最奥」だとして、現代において、チベット密教、あるいは「生きた仏教」の秘法の「最大」「最奥」がおしげもなく公開されているのである。
カーラチャクラは密教のなかではめずらしく、イニシエーションを受けるものに対して制限を設けていないのです。そのため、私は世界じゅうをまわってこのカーラチャクラのイニシエーションを授けてきました。会場には何万もの人々が集い、聴衆のなかには非仏教徒すら数多く交じっています。
なぜ、カーラチャクラの法では、このようにたくさんの人々にイニシエーションを授けることが許されているのでしょうか。これは私の意見なのですが、このタントラが特定の個人にではなく、シャンバラという不可視の聖地、シャンバラの人々と関係していることに理由があるのだと思います。他のタントラは個人から個人に受け継がれてきたものです。しかし「カーラチャクラ・タントラ」の教えはシャンバラの王によって記録され、シャンバラに住む人々によて、過去、現在、未来を通じて維持されているのです。
このカーラチャクラのイニシエーションを受けたものは、完全に目ざめたものではなかったとしても、この儀礼を通じてシャンバラとの関係が生まれ、未来にシャンバラが私たちの世界と交流するときに、ある種の効果を生むことになるのです。
この本、ですます調なので、すんなり読めてしまう。書かれていることは、順序を追っていけば、すべて分かる。しかし、ひとつひとつのシンボルや動作の意味を理解しようとすれば、どんなに時間がかかっても、かけ過ぎ、ということがないほどに、幾重もの、深い意味がありそうだ。
それにしても、今回のFreeTibetムーブメントを見ていて思うことは、世界中にで行われてきた、カーラチャクラ・イニシエーションによって、シャンバラとの縁が作られた人々が地上へと湧きあがってきたのではないか、ということ。無数の人々が、チベット密教の説くところの世界観に共鳴しはじめている。
ふと思う。 田中公明は 「活仏たちのチベット」
のなかで、深い敬愛を込めて「チベット密教は、チベットにおける最大の産業である」、と捉えている。なかなか面白い視点だなぁ、と思った。もし、12~3世紀ごろから始まったモンゴル帝国とチベット密教の関係が、大施主と帰依処のようなものだったとして、すでにモンゴル帝国なきあと、現在、チベット密教の大施主は、世界中に散らばっているシャンバラからの住人達になっているのではないか、ということ。その人々が法を護り、法は人々に祝福とインスピレーションを与える。すくなくとも、当ブログでは、そのような現象におおいに関心があり、独自に「アガータ」という造語をもって、イメージのすり合わせをしているところだ。
カーラチャクラの技法については、むやみやたらに外部へと持ち出さないほうがいいだろう。とにかく、このようなものがあるのだ、ということが確認できれば、まずは第一歩は歩みだした、ということになる。
私は、ここに書いてある、数えきれないほどの戒律や作法を読みながら、先日も読んだ 「マイトレーヤ」
を思い出した。
彼(ラマ・カルマパ16世)は、私たちがどうやって入門するのか、私たちが特に通過しなければならないものがあるかどうか、私にたずねました。私は言いました。
「難しいことはなにもありません。私たちはただ、ありがまま受け入れられるだけです。私たちはなんでもすることができるし、現状のままでもさしつかえなく生きることができます。私たちはなにものからも離れる必要はありません。私たちはなんでも好きなものを食べ、なんでも好きなことをすることができます。バグワンがネオ・サニヤシンたちに求めることはただ規則的に瞑想すること、瞑想キャンプに参加すること・・・・そのようなことだけです。」
私は聖下に言いました。バクワンはもっと多くの人々がこのような方法で助けを得ることができると感じ、すべての霊的精神的目標は瞑想を実践することによって、時が熟せばおのずと達成されると感じている、と。すると聖下は言いました。
「あなたはじつに幸運だ。ここチベットでは、われわれは入門する者たちに対して、すべてにわたって非常に厳しい」。
p65 「マイトレーヤ」
そして、 「ア・カップ・オブ・ティー 」 のなかにあるOshoの十戒を思い出した。
Love
あなたはわたしの「十戒」を教えてくれと言った
これはたいへん難しい
わたしはいかなる種類の戒律にも反対だからだ
それでも、ほんの余興のつもりで次のようにまとめてみた
1、内部から来るもの以外どんな命令にも従うべからず
2、唯一の神は生そのものである
3、真理は内にある、それを他のどこかに探すべからず
4、愛は祈りである
5、空(くう)は真理への扉である
それは手段であり、目的であり、達成できる
6、生はいまここにある
7、完全に目覚めて生きよ
8、泳がず、浮かび漂うべし
9、一瞬ごとに死に、一瞬ごとに新生すべし
10、探求をやめよ、在るところのものは在る
立ち止り、そして見よ
「ア・カップ・オブ・ティー」
p135
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