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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.03.01
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『健全な肉体に狂気は宿る』 を読んで、興味を持った春日さん。
 今回は、内田教授との対談ではなく、お一人の手による一冊。
 精神科医の方らしく、実例がたいへん豊富。
 「こんな人もいるんだなぁ。」と、驚かされることの連続でした。

 でも、思った以上に、読み進めるのには力を要しました。
 これは、なぜでしょう?
 文章が、特段カチカチに堅いわけでもなく、
 用いられている言葉も、専門用語のオンパレードでは決してないのに……。


理解がスムーズに進んでいかない、何か原因があるのでしょう。
「自虐志向」でもなく、「破滅願望」でもない、何か……。
理解しようとしても、理解しきれない部分があることに対する割り切れ無さでしょうか?

   ***

  待つということは、自分の力だけでは律しきれない状況を甘んじて受け入れることである。
  したがって、待ち続けることによって、
  遅かれ早かれ人は不安や焦燥あるいは怒りに駆られていく。
  不吉な創造や妄想が、次第に頭の中へと渦巻いていく。
  精神的なタフさ(あるいは脳天気さ)が、待つことには要求される。(p.42)

この部分は、説得力十分で、私の胸にドーンと響いてきました。
これに続く文章もスゴイです。


  あるいは人間万事塞翁が馬であるとか、
  運命のバランス・シートはプラス・マイナスゼロを指向するといった発想を抱いていたりすると、
  それがマイナス思考と結びついたとき、
  我々は不幸や悲劇の到来を待ちつつ暮らしているといった考えに取り憑かれることがある。
  (中略)

  癌や卒中や痴呆や交通事故へ向けての順番待ちの列に立っているともいえるし、
  破局や失敗や絶望を迎え入れるべく
  ロシアン・ルーレットを毎日試み続けていると見ることだって出来るのである。

「死を待ちつつ日々を生きている」というのは、昔から、私自身の中に強くある感覚です。
これって、心気症(ヒポコンデリー)っていうこと?
ひょっとして、他の人って、こんな風に感じることはあまり無いのですか?
まぁ、昔から、ちょっと心配性の方かな、とは思ってましたが……。

  わたしが精神科医として沢山の人たちと接しているうちに気づいたことがあって、
  それは人間にとって精神のアキレス腱は
  所詮「こだわり・プライド・被害者意識」の三つに過ぎないというまことにシンプルな事実である。(p.67)

これも、納得。
「こだわり」や「プライド」が全くなければ、困ったもんですが、
過剰にあると、もっと困ったことになるのは、とってもよく分かります。
特に「被害者意識」は。

  放火に限らず、世間に迷惑をかけようとかけまいと、
  とにかく彼らは自身の言動にはすべて責任を持たねばならないのである。
  たとえトラウマがあっただとか劣悪な家庭環境で育っただとか言っても、
  世間を大手を振って渡っていく以上は自分に責任を負わねばならない。
  多少の変わり者であろうと変人であろうと、それがその人物そのものなのだから。
  したがって、もし彼らが犯罪を犯して精神鑑定にかけられても、基本的には有罪である。
  エキセントリックであることは自由だとしても、
  だから何をしようと許されるわけではないのである。(p.171)

これも全く同感。
最近、本来責任を負わねばならない立場側からの主張が、過度に大事にされ、
その流れに乗って、「こちらこそが被害者だ!」と、叫ぶ人たちが多すぎる。
人権問題を扱うときのバランス感覚というものが、少しおかしくなっている気がします。





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Last updated  2009.03.01 15:01:48 コメントを書く
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