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Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2011.12.11
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カテゴリ: 教育・子育て

 そのいずれもが、全くのハズレ無し。
 中でも、 『日本人のしつけは衰退したか』 は、とても印象に残る一冊でした。
 そして、本著も伊藤教授との共著でありながら、期待に違わぬ出来映え。

 このブログに、まとめの記事を書き始めたのですが、
 ついつい長くなってしまったので、それについては一旦途中で終了。
 新たに、別の記事として、今回その続きを書くことにしました。
 ということで、前の記事は こちら

第6章 解決策の問題点 では、教育問題の解決手段について考えていきます。
それは、頭痛がするとき、どのような解決策が考えられるかについて、
「頭痛薬を飲む」「仕事を休んで寝る」「気合を入れてがんばる」
「大学病院に行って、精密検査を受ける」「大根の葉っぱを足の裏に貼る」の他、
「頭を切り落とす」を例にして、進められます。

  狭い特定の目的にだけ注目していると、
  しばしば、このように誤った手段が提案されることがあります。
  過激な手段の有効性だけに関心が向いて、全体が見えなくなってしまうんですね。(p.176)

次に、教育については、ある手段が、教育を受ける側の人たちに、
どの程度の効果をもたらしたのかを確認することは、とても難しいことだと述べます。
それは、相手と状況次第で、うまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。


  教育の分野では、「あらかじめ目標となる数値目標を決めて、
  それが達成されたかどうかを示す」といったやり方は、
  ある問題に対する不適切な「解決策」となることが多いのです。(p.181)

さらに、それらに関連して述べられる、教育についての捉え方で、興味深かったのは、

  現実の学校教育に対する不信が広がっている背景には、

  教育万能主義がひそんでいるのではないか、と私は指摘したことがあります。
  世の中の多くの人が教育の力を過信してしまってるがゆえに、
  現実の教育がひどい状態に映ってしまう結果になっているのではないか、
  ということです。(p.188)

という部分と、

  大胆な改革論が暴論になりやすいのは、
  教育行政がどういう仕組みになっているのか、学校現場がどういう論理で動いているのか、
  子どもたちの実情がどうなっているのかといった、
  事実認識のレベルでの十分な知識が本当は必要なのに、
  自分の経験による思いつきの議論だけになりがちだからです。(p.196)

という部分です。
現代日本を生きる人たちは、ほぼ100%に近い割合で、学校教育を経験してきているので、
誰もが学校教育について、自分には経験も知識もあると思っているのですが、
実は、それは個人的な経験や、自分が得た情報によるものなので、かなり偏っています。

続いて、第7章 教育問題は「心の問題」か? については、次の一言で事足りるでしょう。

  心の問題はあくまで「きっかけ」です。
  社会現象としての教育問題を根本から解決・改善していくためには、
  社会的要因を視野に入れ、
  問題を生じさせる社会の制度や仕組みの次元に手を入れていくことが欠かせません。
  社会の現状をよく理解し、社会の仕組みを理解することが、
  個々の問題のケースをより大きな視点でとらえ、改善していくときの足場になります。(P.230)

そして最後の、第8章 教育問題にどう向き合えばよいのか で、
最も衝撃的だったのは、次の一文。

  また、歴史的に見れば、いまのように不登校が増える前、
  一九六〇年代から七〇年代という時代は、
  多くの子どもが学校を休まずに通っていた例外的で特異な時代だった、
  という見方もできます。(p.241)

本著では、不登校について触れている部分が、所々ありましたが、
この一文には、最も目から鱗が落ちる思いであり、
自分自身も「素朴な経験主義」に陥っていたと、改めて気付かされました。





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Last updated  2011.12.11 17:07:30 コメントを書く
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