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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.10.28
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 私がこれまでに読んだ精神医学関係の書物のなかで、
 精神医学の現状や今後の課題について、最も明確に示されていた一冊。
 著者は、 理化学研究所主任研究員の加藤先生

 一般読者向けに、コンパクトに要点を絞って記述されているが、
 内容は専門的で、一読ですぐに理解できるようなものではない。
 それでも、200頁余の紙幅を、17もの章に分けてくれているので、
 何とか最後まで読み切ることが出来た。



  現状ではゲノム研究が進み、脳科学研究がすすみ、
  精神疾患を克服するためのさまざまな条件は整ってきている。
  問題は、精神疾患を克服するために、それらをどのように組み合わせ、
  どのような道筋を辿ったらよいのかというビジョンがないことであると、
  問題提起をしてきた。
  そしてどのようにしたら精神疾患が解明できるのかという具体的なビジョンを提示した。
  さらに、そのビジョンを達成するには、様々な困難があるということも紹介した。
  それはゲノム研究における困難、脳組織研究における困難、
  基礎研究と臨床研究の間で行ったり来たりするコラボレーションの際の困難、
  動物に精神疾患があるのかどうかといった根本的な疑問をどうかわして動物モデルを作るか、
  倫理的な問題、臨床研究の推進の必要性などである。(中略)


  一つの道は、これまで述べた通り、
  様々な困難を克服して精神疾患を解明し、診断と治療法を開発する。
  そして脳の病気である精神疾患と、心の悩みをはっきりと区別し、
  それぞれに必要な対策を講じよう、と筆者が本の中で述べたような方向である。(中略)

  その中には、ブレインバンクの問題、研究倫理の問題など、

  精神医学の内部だけで、精神疾患を克服することができるものではない。
  精神医学が、これらの困難を乗り越え、精神疾患を解明し、本当の医学となっていくのか。
  あるいはこのまま中途半端な状態で終わってしまうのか。
  岐路に立たされている精神医学をどちらに向かわせるかは、社会が決めることかも知れない。
                                       (p.209)

様々な困難を克服して精神疾患を解明し、診断と治療法を開発する。
脳の病気である精神疾患と、心の悩みをはっきりと区別し、それぞれに必要な対策を講じる。
これこそ、症状の苦しみ、副作用の苦しみ、理解されない苦しみという、
精神疾患の三つの苦しみを抱える患者や家族の、最大の望みだろう。

海外の巨大な製薬会社が、向精神薬の開発から撤退するなか、
日本の製薬会社の踏ん張りにも期待したい。
また、生物心理社会モデルに留まり続けるのではなく、
画期的な生物学的原因が発見されることを、強く望む。





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Last updated  2014.10.28 12:15:00 コメントを書く


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