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2024.11.24
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カテゴリ: その他

 著者は、南山大学人文学部人類文化学科の和泉悠准教授。

 まず、パートⅠの「悪口はどうして悪いのか」という問いに対しては、
 「自分が上、標的が下、というメッセージが悪口の基本になる」としたうえで、
 次のように答えています。

  悪口には必ず比較がともない、誰かが誰かより劣っていると言うことだ、
  そして、悪口が悪いのは、人を同じランクの人間として扱わないことが悪いからだ(中略)
  人を傷つけるかどうかや、悪意があるかどうかは、あくまで悪口の中心ではなく、
  オプションのようなものになります。


次に、パートⅡの「どこからどこまでが悪口なのか」という問いに対しては、

  軽口や自虐、あだ名や批判、言語学的ことばの分類などについて考えました。
  たくさんの観点があるので、たったひとつの定義で何も考えずにすべて線引きができる、
  といった単純なものではないですが、(中略)
  結局、誰かをランクが下の存在として扱うかどうかが基準になり、
  乱暴なことばだからダメとか、丁寧だからアリではないのです。(p.102)

そして、パートⅢの「悪口はどうして面白いのか」という問いに対しては、

  悪口が楽しいのは、人をダシにして笑いを取るという
  人間のダークな本性とも関わっていましたが、
  それと同時に、悪口は権力者に立ち向かうひとつの武器だということも分かりました。
  また最後には、悪口はヴァーチャルな性質を持つからこそ、笑いに変えることも、


そして、おわりにの「悪口とのつき合い方」では、
悪口を言う側、悪口を言われる側、悪口を耳にする(目にする)第三者の
それぞれの観点から、どのようにすればよいかを考え、締めくくっています。

  悪口を言ってしまう人の心理は複雑でしょうが、本書の提案を踏まえると、
  むしろ同情を誘う、かわいそうな状況にある人だとも言えます。

  誰かを下げずにはいられないから悪口を言うわけです。
  はっきりと言語化できなくても、自分が下位にいるという意識を持ち、
  それに耐えられなくなっているのかもしれません。
  誰かのランキングを下げることにより、何とか自尊心を保ちたいのでしょうか。
  痛々しいものがあります。(p.143)

「誰かを下げずにはいられないから悪口を言うわけです」
その「下げずにはいられない」人が、何と多いことか……





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Last updated  2024.11.24 17:33:16 コメントを書く
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