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「あれ、どうしたの? 落ちたんだよね試験」
「うん、オレ社長と友だちだからさ。仕事を手伝ってくれって」
「でも、落ちたんだよね正規の試験には」
「あれはオレの不徳の致すところだけどさ。勝負は時の運だから」
時の運じゃねーし。筆記でも面接でも落ちたのだ。実力がないと判断されただけである。だが彼はシレツと社長室に出入りし、「参与」の名刺を持ち歩き、相応の報酬も支払われるという。
この種のズル、割り込み、裏口入学的人事が横行すると、社員の士気は下がる。「あーあ、もうやってられねえや。落ちた奴を使う会社って何だよ。帰ろう帰ろう」となってもおかしくない。
先の衆院選で落選し、比例復活もできなかった石原伸晃氏が岸田首相の一存で内閣官房参与に任命された。会社の人事ならまだいいが、彼は公職選挙法に基づく国政選挙で、東京8区の有権者に退場を命じられたのである。 たとえ法的に問題がなく国会議員ほどの権限はなくても、落選直後に政策に関与するポストに就くのは、選挙制度に対する冒涜に近い。
「不徳の致すところ」というならば、失職した石原前議員はハローワークに行くといい。師走の風の冷たさを身をもって知るのがあなたのためだよ。
(文芸評論家)
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