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ヘイトスピーチ規制を含む人権条例に関する答申について検討している相模原市人権施策審議会が24日、開かれた。 不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)に罰則規定を盛り込むことを7月の審議会で決定したが、市作成の資料には「罰則を付すか否かは決着していない」と記載されており、委員らが軌道修正する事態となった。
7月の審議会では、不当な差別的言動と悪質な犯罪扇動を規制するため、答申に罰則規定を盛り込むことを全会一致で決めた。その上で、罰則の適用は2~3年程度凍結することがあり得るとしていた。
しかし、 市がこの日「確認したい事項」として示した資料には「罰則を付すか否かの判断は決着せず、市長が判断するという共通認識でいいか」と記されていた。
この点について、法政大教授の金子匡良委員は 「審議会で一致した見解と違う。市長が『罰則をつけない』と判断する余地はない。市長に判断を任せるのは、罰則のレベルと凍結を付けるか否かだ」 と強調した。
神奈川人権センター副理事長の工藤定次副会長も「罰則を付すことは全会一致で決まった共通認識だ。事務局の認識はかなり違う」と苦言を呈した。
市の資料には「(規制対象や罰則の強度について)多様な意見があり、一本化して答申することが困難だった」「規制に当たっては慎重に検討を進めるべきだ」といった記載もあったが、この点についても委員らから批判が相次いだ。
金子委員は「市の資料には『審議会で(規制に)慎重な意見があった』という文章がそこかしこにあるが、市長に『審議会はそう考えているのか』と予断を与えることになるのでよくない」と指摘。工藤副会長も 「ヘイトスピーチに関する議論は昨年5月から始まり、いろいろ審議した結果、罰則規定を設ける案で決まった。市には、いままでの審議の経過をきちんと認識してほしい」 と市の姿勢を疑問視した。
(松島佳子)
◆視点◆ 市の本気度を問う
答申案の通りヘイトスピーチに罰則を科す条例が相模原市で実現すれば川崎市に続くものになる。審議会では当初規制に慎重な意見もあったが、市内でヘイト行為が激化したことを受け「罰則を設ける」で一本化をみた。韓国籍の審議会委員まで標的にする加害の悪質さ、平穏な日常を奪われる被害の深刻さを目の当たりにしての結論だけに説得力がある。
やまないヘイトデモ・街宣に川崎市は「教育や啓発での対応は限界がある」との覚悟を示し、罰則の導入に踏み切った。どうすれば差別を防げるかに知恵を絞り、マイノリティーの人権擁護と表現の自由の保障を両立するために編み出されたのが「川崎方式」だった。勧告、命令と段階を踏み、第三者機関に意見聴取するなどの工夫の数々は、ヘイトスピーチによる迫害から市民を何とかして守ろうという本気の証しだ。
答申案では、障害者19人が虐殺されるというヘイトクライム「津久井やまゆり園事件」が起きた自治体として、障害者への差別的言動も規制対象に含めることでも一致をみている。罰則規定の「凍結条項」や「人権委員会」の設置も含めて川崎方式を応用、進化させた「相模原方式」といえるものだ。そこにはやはり人権を発展させることを責務と任じ、意見を戦わせてきた委員の積極的な姿勢が投影されている。
実際の議論をねじ曲げて「規制は慎重に検討すべきである」「罰則については意見が割れている」ことにしようとしたこの日の市人権・男女共同参画課の資料はその対極にあるものとして、それだけで批判に値する。 規制をしない逃げ道をつくるためだとしたら、答申という「お膳立て」をひっくり返してでも人権を後退させ、再びのヘイトクライムを招くつもりなのかと問いたださねばならなくなる。
(石橋学)
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