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2023年06月29日
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テーマ: ニュース(96881)
カテゴリ: ニュース
岸田政権が今月閣議決定した「こども未来戦略方針」の内容がどのようなもので、当事者である若者世代はどのように受け止めたか、専門の学者はどう見てるか、15日の毎日新聞は次のように報道している;



【横田愛】


◆「家計は男性」「自治体結婚マッチング」 - 生きづらさとズレ

 「『こども未来戦略方針』案からは、この国で結婚し、子どもを産み育てることに対し若い世代が不安を感じ、諦めざるを得ない状況にあるとの現状認識、そして解決への積極性がまだまだ感じられません」

 政府が戦略方針の素案を公表した1日の夜、28歳で最年少委員の桜井彩乃さんは、ツイッターにこう投稿した。

 桜井さんは、ジェンダー課題の学びの場を提供する任意団体GENCOURAGE(ジェンカレ)代表。SNS(ネット交流サービス)で若者の声を集め、政策提言を重ねており、内閣府の男女共同参画推進連携会議の議員も務める。

 4月に発足した戦略会議は、委員19人のうち20代は桜井さん含めて2人。経団連や連合のトップらが居並ぶ中で、リアルな「若者の声」を伝えようと苦心してきたが、発言時間は毎回2分程度と極めて短く、何より議論の方向性に懸念を持っていた。

 6月9日、日本記者クラブで記者会見に臨んだ桜井さんは、穏やかながらきっぱりとした口調でこう言い切った。「『出生数80万人割れ』がいろいろ取り上げられましたが、若い世代から見て驚きはない。こんな社会だったら、まあ減少するよね、結婚できないよね、産めないよね、と」

 そして、こんなエピソードを紹介した。

 首相官邸で開かれる同会議には毎回、ジェンカレに参加する大学生らを関係者として帯同している。 会議後、官邸を出た彼らが肩を落とし口にしたのは「日本から出て行きたいです」との言葉だった――。

 何が、彼らを絶望させたのか。

 会議で桜井さんは、「子育て支援の充実と同時に、結婚や妊娠以前の10代、20代が効果を実感できる政策が、より必要だ」と訴えてきた。特に、 若い世代の男女双方とも「根強い性別役割分担意識こそ、少子化の根本原因」と考えている と繰り返し説明。育児・家事の負担が偏る女性だけでなく、地方や中小企業での育休の取りづらさや長時間労働など「男性も悩んでいる」と語ってきた。

 他の委員からも、男性育休の重要性や「男女が共に働き、共に子育てしていく」環境整備が必要と、同調する声は上がった。

 一方で、若者の所得向上策の議論の中で 家計は男性が支えるものとも取れる発言が出たり、戦略方針に自治体による結婚のマッチング支援の重要性が記載されたりと、20代の感覚からすると首をひねることも散見された。 少子化対策を「労働力確保のため」との文脈で語る議論にも、違和感が募った。

 自分たちが日々感じている生きづらさや閉塞(へいそく)感と、提示される解決策の「ずれ」――。それらが「日本から出て行きたい」との一言に凝縮されたとも言える。

 桜井さんが考える、足りないものとは何か。

 社会の隅々に潜む性別役割分担意識の解消や、「結婚する・しない」「産む・産まない」を含めた多様性の尊重は大前提だとする。その上で、 「奨学金という名の借金」を背負って社会に出ているのに、その借金を返せるかどうかも分からない雇用形態や賃金で働かざるを得ないようでは、若者は将来に希望を持ちようがない と言う。

 そしてこうも語った。

 「(自分だけで)すべての若い人の声を代表することはできない。 若い世代がどんなことを本当に求めているのかを、国や自治体はしっかりとヒアリングした上で、政策を作るべきなんじゃないでしょうか」


◆所得・雇用安定が重要

 今年2月、国会内で開かれた自民党議員の会合に緊張感が漂った。講師として招かれていたのは国立社会保障・人口問題研究所の鎌田健司氏(現・明治大専任講師)。人口学が専門で、国内外の研究成果に基づき経済的支援は「出生率改善の効果が見えづらい」と説明したところ、児童手当の大幅拡充を持論とする議員らがいらだちを見せた。

 「怒られてしまいましたが、『効果はあっても小さい』という研究結果は変わりません」。鎌田氏は困り顔で振り返る。鎌田氏が会合で説明した内容はこうだ。

 日本では、出生率の低下は(1)結婚行動の変化(2)夫婦が子どもを持つ行動の変化――に要因分解できる。2010年代までの出生率低下の分析では、要因の大部分は未婚化・晩婚化の影響との研究結果が出ている。

 鎌田氏は、未婚化が進む背景についても解説した。「未婚率が高い属性」が一目で分かるよう、統計データを基に男女の年代別や企業規模別、正規・非正規の別などで未婚率を色分けした図表を作成。30代、40代の非正規の男性で「未婚率80~100%」を意味する赤が際立つ。 「他の調査では、非正規から正規に変わった男性の結婚意欲が急激に跳ね上がったとの結果も出ている。就業の安定が非常に重要ということが示唆されます」 と指摘した。

こうした分析に一部の議員は不満顔だった。児童手当拡充は、有権者へのアピールのしやすさもあり与党内には推す声が根強い。

 政府が少子化の要因について的外れな分析をしてきたわけではない。「こども未来戦略方針」でも、「乗り越えるべき課題」の第一に、若者の「未婚化・晩婚化」を挙げ、男性は正規か非正規かで有配偶率の差が大きいと指摘。 「所得や雇用への不安等から、将来展望が描けない状況」にあるとして、所得の持続的な向上が必要と記した。

ところが具体策となると、今後3年の「加速化プラン」の筆頭に「児童手当の拡充」が挙げられ、予算規模で最大と見込むのも児童手当の拡充だ。 若者の所得向上は同方針から切り離して首相が掲げる「新しい資本主義」の実行計画の中で取り組むとしたが、非正規雇用への対応は従来の延長線で、実効性は不透明だ。

 鎌田氏は「政府も問題の所在は分かっているのだろうが、未婚化の要因に政策で手当てするのは難しいのだろう」と語る。その上で、 児童手当の拡充に巨額を投じるのであれば、政策効果の検証は必須だと指摘。「手当を増やすことで本当に出生率は上がるのか、検証するチャンスでもある。 きっちりデータを集めて効果を測定すべきだ」と強調する。


2023年6月15日 毎日新聞朝刊 13版 2ページ 「少子化対策 浮かぬ若者」から引用

 この記事を読むと、政策を審議する与党議員の「アタマの古さ」に愕然とする。「結婚しない若者」対策として自治体がマッチング・アプリを配布するというのは、問題の本質を見誤っており、家計を支えるのは「男の役割」などという昭和時代風の価値観が職場を支配しているから、男性社員が育児休暇を取りにくいという「実態」が分かっていない。しかも、専門の学者が「児童手当を増額しても、それで出生率が上がるとは限らない」と発言すると、「手当増額は、選挙のときに与党に有利な印象をもたらす」などと邪な「目的」を持っていた古参の議員が怒り出すなどという審議会の「実態」が分かってしまうと、こんな調子では有効な政策が打ち出せるわけがない、ということで合点がいきます。もともとこういう古い議員が、その昔には特定の分野にしか許可されなかった「非正規雇用」を、あらゆる分野に適用可能としたために、安定した雇用環境がなくなり、若年労働者の将来展望を「不安」だらけにしてしまった。これが若者が結婚を躊躇する一番の原因であって、ここを無視して「マッチングアプリ」などという馬鹿げたことを言ってるのでは、「出来ることなら、こんな国からは出て行きたい」と言いたくなるのもムリはないと思います。もう少しまともな人物を国会に送らないと、この先もろくなことはないという気がします。





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最終更新日  2023年06月29日 17時06分13秒


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