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(中沢佳子、中山岳)
「柏崎刈羽原発では細かいトラブルがいくつか発生している」
「原子炉施設の安全や核物質防護に影響を与えるものではない」
7日の原子力規制委員会。事務方の原子力規制庁からオンラインで参加した渡辺健一・柏崎刈羽原子力規制事務所長はそう語った。
些細なミスを話題にしたかのようだが、地元では今、大ごとが起きている。
「東電という会社が再稼働を担うことのできる会社なのか。他の会社があるのではと自問自答を始めた」
柏崎刈羽原発がある柏崎市の桜井雅浩市長は1日の定例会見でそう口にした。
桜井氏は2016年の市長選で再稼働を条件付きで認めると掲げ、経済界や自民党などの原発推進派を中心に支援を受けて初当選。20年の市長選も「条件付き容認」を唱えて再選した。柏崎市といえば再稼働を巡る同意権者。東電にとって軽んじられない存在だ。
前日の5月31日にも隣接する長岡市の磯田達伸市長が会見でこう述べた。
「現時点で(東電に原発を運転する事業者の)適格性はない」
「国は東電ではない発電の体制や仕組みを考えたほうがいいのでは」
同氏は初当選した16年市長選で再稼働に慎重な姿勢を取り、民進や社民の推薦を受けた。長岡市長は県内全市町村による「原子力安全対策に関する研究会」の代表幹事。発言は重い。
失格の烙印を押すような言葉が出るのも無理はない。同原発では20年、職員が他人のIDカードで中央制御室に入る不正が発生。今年1月には災害時の活動拠点になる免震重要棟でパソコンが出火し、4月にも作業服を洗濯する建屋の洗濯機付近で火災が起きた。
地元をあきれさせたのが5月の「事件」。社員が原発関連の内部資料を無断で持ち帰り、封筒に入れた資料を車の屋根に置いたまま走らせ、一部を紛失した。
2人の市長はこれらに触れ不信をあらわにしたが、似た発言は自民県連からも。前幹事長の桜井甚一氏は3月に「東電が事業主体として原発を動かすのは受け入れがたい」ときっぱり。現幹事長の岩村良一氏も5月、「東電の信頼が回復されたかというと低減している認識だ」と指弾した。
一連の発言を原発反対派はどう捉えるか。
柏崎市の星野幸彦市議は「再稼働を見据えた大事な時期に不祥事を続発する東電にいらだって、揺さぶりをかけた」と推し量る。
「東電は原発事故を起こした当事者なのに、今も不祥事を繰り返している。体質は変わっていない」
その一方でトラブルが絶えない今、批判した方が得策と考える政治家もいるとみており、国が再稼働をごり押しすれば批判を引っ込める可能性もあるとみる。
かたや東電はどう受け止めるのか。同社の広報担当者は、本社機能の移転や外部人材の登用などに取り組んでいるとし「改革を進めて安全な発電所を実現し、地域に信頼されるよう実績を積み上げる。地域の皆さまに取り組みを伝え、いただいた声を運営に生かす」と答えるにとどまった。
<デスクメモ>
原発稼働は東電以外で。どこまで本気の発言かとも思う。しっかりせいと辛口に背を押す意図はないか。ただ要職者が公然と語る様子を見ると不信は相当と推察される。3・11から10年余。変わらぬ「東電リスク」。原発自体の危うさともども根源的に、根気強く問い続けるべきだ。(榊)
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