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米国では、連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)と呼ばれる制度で、酪農家に最低限支払われるべき加工原料乳価は連邦政府が決め、飲用乳価に上乗せすべき最低限の金額も2600の郡別に政府が設定しています。
2014年から「乳代-(マイナス)エサ代」に最低限確保すべき水準を示し、下回ると政府が補てんするという、コスト上昇に応じた仕組みを完備しました。生産コスト上昇時には価格を指標にした制度では所得を支えきれないため、14年農業法(18年農業法で拡充)で、全体の政策体系を「販売収入-産コスト」を支える体系に組み換えたものです。
具体的には、100ポンド(45・36キログラム)当たりの生乳販売収入と生乳100ポンドを生産するための飼料コストとの差額(マージン)が4ドルを下回った場合には、4ドルとの差額を基準生産量の90%について支払います。これが「酪農マージン保護計画」です。生乳Iキログラム当たり約9円で、100頭経営で約700万円の「最低所得保障」が得られるイメージです。
フランスでは酪農家の農業所得に対する補助金の割合が143%というデータがあります。 欧州では赤字の酪農経営に補助金が支給され、飼料代などの不足分を払った残りが所得になるため、所得に対する補助金の割合が100%を超えることは普通になっています。
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カナダでは酪農の指定団体にあたる州別MMB(ミルク・マーケティング・ボード)に酪農家が結集し、寡占的なメーカー・小売りに対する対抗力があります。MMBを経由しない生乳は流通できません。そうしないと法律違反で起訴されます。MMBとメーカーはバター・脱脂粉乳向けの政府支持乳価の変化分だけ、各用途の取引乳価を自動的に引き上げる慣行になっています。
米国もカナダもEU(欧州連合)も、設定された最低限の価格で政府が乳製品を買い上げ、国内外の援助に回す仕組みを維持し、生乳需給の最終調整弁を政府の役割と位置付けています。
欧米では、直接支払いの補助金と価格支持=政府買い入れの両方で酪農を支えています。 価格支持を廃止し、直接支払いも不十分なのは日本だけです。 日本の酪農は飼料価格高騰で1キロ生乳を搾るたびに30円もの赤字で離農・廃業が相次ぎ危機的状況です。「価格支持十直接支払い」政策を早急に導入すべきです。<すずき・のぶひろ 東京大学大学院教授>
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