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自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑の底が見えない。松野博一官房長官を皮切りに浮上した問題は、一気に他の安倍派幹部5人に拡大した。どこまで波及するか読めず、窮地に立たされる岸田文雄首相は師走の閣僚交代を迫られる事態に。もう政権浮揚は困難ではないか-。自民を中心に諦めに似た声が出始めた。=1面参照
▽数の力
「ご心配をおかけしている。検察の捜査結果が出たら丁寧に説明したい」。9日、高松市のホテル。萩生田光一政調会長は講演で、政治資金問題に関し語った。自身に持ち上がった裏金疑惑には触れず、会合は約1時間半で終わった。
パーティー券の販売ノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)する安倍派の「政治とカネ」問題。政治資金収支報告書に記載しない裏金化を指摘される派閥幹部は松野、萩生田両氏、高木毅国対委員長、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長の実力者「5人組」に、塩谷立座長を加えた計6人に広がった。
衆参議員99人が所属する最大派閥の安倍派。9月の内閣改造・党役員人事では、数の力をバックに5人組全員が続投し、総務相に鈴木淳司氏、農相に宮下一郎氏を送り込んだ。「来年の党総裁再選を見据え、首相は安倍派を優遇せざるを得なかった」。閣僚経験者は振り返る。
▽泥 舟
だが「裏金疑惑の闇」(自民若手)が深まるにつれ、安倍派を重んじた人事が一転して政権の足かせとなりつつある。
うつろな目つきで「私の政冶団体については精査して適切に対応したい」と繰り返すだけの松野氏をはじめ、記者会見などの機会が多い5人組は正面からの説明を避け続ける。 他派閥の中堅は「説明責任を果たさない姿をさらすのは、政権にマイナスでしかない。要職から全員外さないと、政権が持たない」と憤る。
安倍派への厳しい意見が屆きつつあるのか、首相は松野氏を事実上更迭する方向で検討に入った。政権内では、年内にも内閣改造・党役員人事を実施する案が浮上する。
とはいえ岸田政権は、既に報道各社の世論調査で最低水準の内閣支持率に沈み、裏金疑惑の展開次第では、さらなる低下もあり得る。官邸筋は『人事で立て直しを急ぐ狙いは分かるか、泥舟に乗ってくれる人がどれだけいるだろうか』と懸念を隠さない。
▽言及せず
政治とカネを巡り、自民は「黒歴史」を繰り返してきた。1988年に発覚したリクルート事件では、宮沢喜一蔵相が辞任に追い込まれ、89年の竹下内閣退陣に発展した。 頂点に達した国民の政治不信は自民に向かい、93年衆院選で非自民8党派連立の細川政権を誕生させた。
日本歯科医師連盟(日歯連)から旧橋本派(現茂木派)への1億円献金隠し事件では、派閥の会長代理だった村岡兼造元官房長官が2004年に在宅起訴された。当時を知る重鎮は「底なしの闇だった。今回、岸田首相が対応を誤れば政権は瓦解しかねない」と警告する。険しい状況か続く首相。この日訪れた長崎市の「国際賢人会議」では、核兵器のない世界への決意を示したものの、政治とカネに言及する場面はなく、夜には麻生太郎副総裁と公邸で会った。松野氏も60歳の誕生日を迎えた皇后さまの祝賀行事に出席したが、記者の前で言葉を発する機会はなかった。
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