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そういう場所にあった追悼碑の強制撤去は、県の行政権の濫用(らんよう)だと思います。裁判所の判断は、設置期間を更新しなかったのは違法ではない、ということ。碑をなくせとは言っていません。 こういう場合、話し合って良い代替案を探ろうとするのが健全な発想でしょう。 でも山本一太知事は、撤去ありきで突き進んだように見えます。
背景には、極端な主張をする保守系団体が、自治体や地方議会などに、しつように働きかけをしてきた現状があります。
「碑の前で行われた式典で、強制連行という発言があったのは政治的だ」と、県に苦情が寄せられたのは2012年。碑を管理する市民団体は不適切だったと認め、その後、慎重に対応してきました。街宣などで騒ぎ、県民に不安を与えたのは苦情を寄せた側です。
目的は、市民運動や住民運動を攻撃することでしょう。 暴力的な言葉を浴びれば恐怖を感じる。歴史をどう考えるか、根拠を示して丁寧に説明しても、聞く耳を持たないから徒労感だけが募る。そうした圧力により、考え、行動する市民をあきらめさせようとする。 非道なやり方です。
県は高額な碑の撤去費用を市民団体に請求する方針です。これも運動へのダメージになります。意図したかどうかは分かりませんが、今回の山本知事の判断は、市民運動を弱体化させる方向と合致しています。
そもそも、公園で政治的な発言を禁じること自体がおかしいと私は考えます。 公共のスペースは、公共の問題をみんなで考え、議論するためにあるはず。公園は自由にものを言える場であるべきです。
追悼碑の設計者は、生まれる前に父を戦争で亡くし、長く平和運動に取り組んできた人だそうです。何度も訪韓し、遺族の話や資料と向き合い、設計をしたと聞きます。建設に協力した人も大勢います。 県が壊したのは碑の台座だけではありません。心寄せた人々の思いと誠意を打ち砕いた。その罪深さを知るべきです。
(聞き手・山口宏子)
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<なかざわ・けい> 1959年生まれ。法政大学教授。著書に「楽隊のうさぎ」など。差別が背景にある出来事の痕跡を訪ね、記録している。
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