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事件を機に問題視された「政治とカネ」はその後数年にわたって、自民党に重くのしかかりました。 少数与党で船出した第2次石破茂政権も同じように、荒波にもまれ続けるのではないか。 世論調査からそんな思いにかられます。
石破首相は自民党派閥の裏金問題の実態解明を進めるべきだと思いますか――。衆院選直後の11月2、3日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、こう質問しました。「進めるべきだ」が73%と多く、「その必要はない」という回答は19%でした。
石破内閣の発足直後の10月1、2日の調査で同様に質問した際には「進めるべきだ」が75%、「その必要はない」が15%でした。このときから衆院選直後にかけて「その必要はない」という回答がわずかに増えてはいますが、「進めるべきだ」が7割を超す状況は変わっていません。
自民支持層でも実態解明を「進めるべきだ」という回答が、衆院選直後の調査で67%に上っています。
この結果に当然だという気がします。なぜなら衆院選の最中、石破首相は裏金問題を陳謝しこそすれ、実態解明については消極的な姿勢を崩さなかったからです。 世論は「みそぎがすんだ」などとは決して感じていないということでしょう。
衆院選直後の調査では、与党が過半数を割ったのは裏金問題の影響が大きいと思うかどうかも質問しました。「大きい」が82%を占め、「そうは思わない」という回答は12%でした。
「政治とカネ」が国政選挙を直撃した例としては、1989年夏の参院選があります。前年に発覚したリクルート事件に加え、89年4月に導入された消費税への反発などが加わり、自民党は大敗。非改選議席をあわせ過半数を割り込んだのです。
この参院選のあと最初の世論調査となった9月の面接調査では「与野党の議席逆転」について、「よかった」が69%に上り、「そうは思わない」(21%)を大きく上回りました。
くしくも今回衆院選での与党過半数割れについても、「よかった」という回答が64%、「よくなかった」が22%でした。調査方法が異なりますが、同じような回答割合です。
結局、自民党が国政選挙でリクルート事件の影を何とか脱したのは、90年2月の衆院選でした。「クリーン」を売りにした海部俊樹首相のもとで安定多数を確保しました。「政治とカネ」に起因する不信を選挙でぬぐうには、相応の時間がかかります。その前、89年4月には事件で厳しい追及にあった竹下登首相が退陣表明を余儀なくされました。当初予算成立を見届けるような引き際でした。
今回の裏金問題の主な舞台となった安倍派事務局長の公判では、いったんやめることになったパーティー収入の還流が再開された経緯をめぐり、幹部議員の説明と食い違う場面もありました。
開会中の臨時国会から、野党側はこうした点を追及するはずです。 政策活動費の廃止など政治資金規正法の再改正にこぎつけたとしても、裏金問題の実態解明抜きでは、世論の納得は得にくいと思います。
(磯田和昭)
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世論調査を通じて得られた、有権者の政策や社会的争点についての意見や態度を深掘りします。最新の調査方法や過去の興味深い調査の紹介、選挙の出口調査の分析も。数字をタテヨコに読み解きながら、世論調査の面白さをお伝えします。
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