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(砂本紅年)
「(多額の資金提供という)札束で頬をひっぱたくのが原発方式。結局、国と東電が札束方式のカードを切ったことが、県議会自民党の姿勢を変えた」
橘川氏は、柏崎刈羽原発の再稼働の地元同意が難航した最大の理由に、新潟県は東北電力の供給エリアであって、東京電力のエリアではないという「ねじれ現象」を挙げる。柏崎刈羽原発でつくった電力はすべて東京電力の供給エリアに送られ、地元メリットはほぼない。県議会が、自民党が多数を占めながらも、長く再稼働に賛成しなかった原因になったという。
ねじれ現象は原発事故時の避難計画にも影響する。計画は自治体が作成、原発を所有する会社が支援する枠組みだ。ただ新潟県の電力の需給状況など実態を熟知しているのは東北電力。県民には、いざという時の東京電力の支援能力に対する根強い不信感がある。昨年、新潟県の一部にも被害をもたらした能登半島地震が発生したことが、沈静化していた避難計画への疑念を再び思い起こさせた。
国は今年8月、原発とその周辺で重大事故が起きた際、避難道路の整備に充てる財政支援の対象地域を半径10キロ圈から30キロ圈に拡大した。10月には、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官が県議会で、原発周辺の避難道路の整備に必要な費用は全額国費で負担すると約束した。
「他の原発ではあり得ない非常に大きい、スペシャルな支援」と橘川氏。 東電が10月に明らかにした県へ10年間で1千億円の資金拠出についても「とんでもない額」と、 地元の不満や不安を押し返す「札束」の威力 について言及した。
橘川氏は、国での議論の在り方についても問題があるとする。エネ基を議論する経済産業省の会合は、委員構成が原発推進派に偏っていると指摘。多くの意見が「人工知能(AI)とデジタルトランスフォーメーション(DX)でデータセンターが増える。そうすると電力需要が増える。だから原発が必要だ」という単純な三段論法しかなく、原子力を巡る議論が深まらないという。
2018年の第5次エネ基から、日本は再生可能エネルギーの主力電源化を打ち出している。 「電源不足に対しても、まずは再エネについて議論するべきだが、会合ではいきなり原発に飛ぶ。電源というと原発しか浮かばない『原発脳』が支配しており、非常に時代遅れだ」
柏崎刈羽原発の再稼働は来年1月20日を軸に調整が進む。ただ花角知事が容認判断を下す前の9月に実施された県民意識調査では、現状で「再稼働の条件は整っているか」との質問に約6割が否定的だった。「新潟県民は反原発というより『反東京』。東電というよそ者が何か危ないものを作って、一部の地域には経済的な利益があるけれども県全体ではメリットがない、それでいいのか、という意識が根強い」と橘川氏。
花角知事は来年6月9日に任期満了を迎える。3選を目指し、再稼働反対派の立てる候補者との一騎打ちとなる可能性もある。「次の県知事選こそが、再稼働の民意を問う『真の正念場』。結果によっては原発が停止することもありうる」と強調した。
<きっかわ・たけお> 1951年、和歌山県生まれ。東京大経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。東京大教授、一橋大大学院教授、東京理科大大学院教授などを経て、2023年から現職。
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インタビューの詳細は、東京新聞デジタルで読むことができます。
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