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2026年05月26日
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テーマ: 本日の1冊(3713)
カテゴリ: 読書
高世仁・NK917著「拉致」(旬報社刊)について、ジャーナリストの斎藤貴男氏は、次のような書評を書いている;




 故・安倍晋三氏の言葉だ。第2次政権の船出直後の2013年2月、ワシントンの戦略国際問題研究所での演説。

 「強い日本を取り戻します。世界により一層の善を為すため-」。だが拉致問題は今日に至るも進展していない。ストックホルム合意(北朝鮮の再調査と日本の一部制裁解除のバーター)も事実上崩壊した。

必ず救い出すと誓った割には、政府の動きは奇怪に過ぎた。 北朝鮮の悪質さとは異なるが、「善」とも乖離した人事や演出、情報操作。前記の自己アピールを記憶していた評者は、本書で初めて事の実態を理解できたように思う。

 著者も書いている。「北朝鮮の脅威を背景に強硬路線を取ることは、自らの政治路線の正当性を示す有効な手段となり」、「拉致問題は柔軟な解決を探る外交課題から、政治的正当性を支える資源へと性格を変えていった」。



 この記述に辿り着くのは、ただし下巻の結び近くだ。そこまでの間に読者は、あまりに不気味で根深い拉致問題のほぼ全容を知ることになる。横田めぐみさんの人生と「遺骨」の深層、日朝交渉の裏側、拉致の手口、前史、そもそもの目的、実行犯らの実像・・・。

 著者の拉致取材歴は約30年にも及んでいる。余人には入手不能の極秘文書が活かされているのも本書の魅力だ。

 後の大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫が、拉致被害者李恩恵こと田口八重子さんに初めて会った際、こう考えた。「わが民族の分断に重大な責任のある日本人が、統一のために一人くらい犠牲になることは甘受すべきだ」。

 彼女だけの感覚ではないだろう。そう思わせてしまったら最後、ツケを払わされるのは市井の人間だ。現在の日本もまた、米国の尻馬にばかり乗っていたら、新たな"北朝鮮"を世界中に生み出すことになりかねない。

<高世仁 ジャーナリスト。NK917 ジャーナリストによる匿名ユニット>


2026年5月9日 東京新聞朝刊 13ページ 「政治的アピールの手段に」から引用

 70年代から80年代にかけて、朝鮮民主主義人民共和国の人間が日本人を日本から、そして欧州旅行中の日本人をも拉致して同国へ連行した事件が発生し、一部被害者は小泉純一郎氏が首相だったときに、日朝国交正常化交渉のために訪朝した際に、共和国側は「拉致事件」があったことを認め、最高指導者である金正日氏が謝罪したのであったが、その後の日本政府側の対応にミスがあったために、被害者の生存確認などが不十分のままで、要するに未解決のまま今日に至っている。日本側のミスというのは、主として安倍信三がワケもなく共和国を「悪者扱い」し、先方の面子をつぶすような言動を繰り返したために、共和国側も「これ以上、誠意を見せるつもりで努力してみても、良い結果には至らないであろう」と判断した可能性が高い。それを、分かりやすく言えば「(日本の政治家が)強硬路線を取ることが、自らの政治的正当性を示す有効な手段となる」という、日本社会がそういう歪んだ構造の社会であったことが、大きな要因となって、いまだに「未解決」になっている。こんな風に書いても、それはほんの上辺の話であって、真の原因を突き止めるには、上の記事が紹介している「拉致」上巻・下巻を読むことである。





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最終更新日  2026年05月26日 01時00分05秒


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