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その問に明治時代の1872年には「芸娼妓解放令」が出されたが、経営者たちは遊女の自己責任による商売に見せかけて「貸座敷」制度を作り、実態を変えなかった。さらに戦後には売春防止法が成立したが、「路上で勧誘する女性」の罰則を規定しただけで買春者には何の咎めもない制度に作り上げた。
その上、風営法と呼ばれる法律のもとに「性風俗関連特殊営業」としてソープなどの性的サービスが認可されている。性交類似行為という枠組みで、性売買をサービスとして正当化しているのは日本だけだという。
ようやく今年、法務省で改正を検討することになった。改正の方向は買春者(性搾取者)の有罪化であるが、すでにヒアリングの過程で法改正させまいとする抵抗が出てきている。それについては、本誌5月15日号の「風速計」に書いた。性搾取を経済的効果のみから見て、搾取を続けるべきだと言わんばかりの意見が提起されているのである。
それに抗して売春防止法を徹底的に改正させるために、私たちは何かできるか。まずは、検討会で何が起こっているかを知ることだ。
検討会後の記者会見では、記者たちが尽力してくれている。とりわけ光っているのは『しんぶん赤旗』の日隈広志記者の質問だ。問題を熟知した上で、問題の根本である人権について深く理解した質問を投げかけている。例えば以下の3点のような質問だ。
1、委員の意見の中で、女性に対する暴力であるとか、売る側を被害者とみなした意見はありましたか。
2、売春防止法が禁じる行為の範囲について広げる、風営法で合法とされている行為も含めて、売春防止法と風営法をあわせて禁止の範囲を広げることに関する意見はありましたか。
3、ヒアリングの方向とのことですが、より広い実態調査、性産業で行なわれていることだとか、実態調査を行なうことについては意見の中でありましたか。
◆赤旗記者の優れた質問
質問が指し示しているのは
「性売買は女性への暴力である」
「暴力なのだから、風営法が認可している性交類似行為にまで禁止の範囲を広げるべきではないのか」
「今のヒアリングでは本質的な問題に迫ることができない。性産業の実態調査をおこない実態から検討すべきではないのか」
と言っているのである。人権の真の意味を理解した見事な質問だ。
法改正をするには、性産業に関わる女性たちが被害者であるという認識が最も重要である。日隈記者は、「性産業での売る側の女性には、PTSD(心的外傷後ストレス)の発症の事例が多く見られる」という事実についても、検討会で意見が出たかどうかを聞いた。
フランスでの実態調査では、8割の女性にPTSDが見られるという調査結果があるそうだ。しかし検討会ではそのような意見は出なかったという。
記者会見でこの質問を投げかけたことで、「8割の女性にPTSDが見られる」という事実を私たちは知ることになった。 検討会での意見より、記者会見での記者の質問の方がはるかに正確で価値ある情報をもち、法改正の方向を明確に示している。 私は改めて、記者会見の可能性に目を見張った。
日隈記者はさらに「自分が受けた行為は被害だ、として性産業の問題性を告発されている当事者もいると思いますが、売る側で被害を訴えている女性たちの話を聞こうという意見は、委員から出ませんでしたか」と質問している。無論、出なかったという返答だが、当然聞くべき人々から聞いていないことがわかった。
売春防止法を徹底的に改正させ、性搾取の根絶を目指す法律にせねばならない。
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