2015/09/01
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 抗日戦勝記念式典は、いつから強化されたのか? 
=News Week、2015年8月28日(金)遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長) ; 大々的な式典を始めたのは江沢民だが、それには理由があった ※  前日投稿も参照

江沢民-1

 毛沢東時代には行われていなかった抗日戦勝記念式典は、いつから行われるようになったのか? 習近平政権を読み解くには、そのきっかけと推移を考察し、逆行する対日強硬論の根源を探らなければならない。 まず結論から言えば、大々的な式典という形で開催し始めたのは江沢民時代の1995年からである。 

大々的な式典は江沢民時代の1995年から始まった
 式典という形でなく、北京やその他の地方における地域性の座談会的なものは、80年代初頭から徐々に始まっている。 しかしそれも、江沢民が国家主席になるまでは、全国的な行事ではなく、また式典という形で行われたことはない。



 その夜、モスクワのクレムリン宮殿では、式典を祝賀するための晩餐会が開かれ、各国首脳が顔をそろえていた。 午前中に開かれた記念式典でスピーチをした首脳は、この晩餐会ではもうスピーチをしないことになっていたのだが、司会者がなぜか、アメリカのクリントン大統領やフランスのミッテラン大統領をはじめ、主たる国家の首脳を再び壇上に上がらせ、乾杯の音頭のための挨拶をさせ始めた。

江沢民-2

 舞台下の宴会場には、江沢民国家主席がいた。 しかしいつまでたっても江沢民の名前は呼ばれない。 見ればアジアから来た国家代表は江沢民だけではないか。 「欧米首脳にのみ舞台に上がらせて、中国人民を代表するこの私(江沢民)を舞台に上げないとは何ごとか!」  江沢民は乾杯を拒否してエリツィンの秘書を呼びつけ、自分にも祝杯の辞を述べさせろと要求したが、反応がないまま、舞台のマイクが下げられ、次の催しに入ろうとしていた。

 江沢民は怒った。 自分で直接エリツィンのもとに走って行き、「中国の代表として発言を求める」とエリツィンに迫った。エリツィンはすぐに同意し、江沢民は舞台に立った。あわてて元に戻されたマイクに向かって、江沢民は声高々と次のように語った。 
――私は中国政府と人民を代表して、すべての反ファシスト戦争勝利に貢献した国家と人民に熱烈なる祝賀を表するとともに、かつて中国人民による抗日戦争を支え援助してくれた全ての国家と人民に心からなる感謝と敬意を表したい。 この瞬間から、中国共産党の抗日戦争は「世界反ファシズム戦争」として位置づけられるようになった。

 そして同年9月3日、中国では盛大なる「抗日戦争勝利記念大会」が全国的な国家行事として開催され、おまけにこれを「世界反ファシスト戦争勝利記念大会」と位置付けるようになったのである。 人民大会堂におけるスピーチの中で、江沢民は次のように述べている。
――私がここで特に明らかにしなければならないのは、ソ連、アメリカ、イギリス等の反ファシズム同盟国家は、中国の抗戦に人力的にも物質的にも甚大な支持をしてくれたことだ。 したがって抗日戦争に勝利した紅旗の中には、こういった各国の友人たちの血の跡が刻まれている。=中国共産党にとって神聖であるはずの紅旗(赤旗)の紅い血の色の中に、アメリカの血が入っていると言ったのだ=

江沢民-3

愛国主義教育が反日教育に
 本来、1994年に江沢民が始めた愛国主義教育は、1989年の天安門事件を受けたものだ。 中国の若者が、改革開放によって開けられた窓から入ってくる欧米、特にアメリカの文化思想に触発されて、民主化を叫び始めた。 そのため「欧米の文化と思想だけが優れたものではなく、中国には中国伝統の文化と 中国特有の思想があるので、それを愛せよ」というのが、最初の「愛国主義教育」の出発点だった。

 それからというもの、全国に愛国主義教育基地をつぎつぎと建設し始め、膨大な数に上る「抗日戦争遺跡」を愛国主義教育の学習要領の中に組み込んで、その見学をすることを義務付けていったのである。 かくして「反日的思考」が若い世代の中に醸成(じょうせい)されていった。

 この若者たちはやがてインターネット空間の中で言論活動を行うようになり、中国政府への不満を「反日運動」の中で爆発させるに至る。 ネットユー ザーの数が6億を越える今では、逆に中国政府がネットユーザーにおもねるという現象をきたし、対日強硬策は後戻りできなくなっているのである。

江沢民には個人的な理由が......
 江沢民がトウ小平の指名を受けて中共中央総書記に就任したのは天安門事件後間もない1989年だが、国家主席に就任したのは1992年3月の全人代の承認後である。 上海から突然中央にやってきた「おのぼりさん」を、北京派閥たちは嫌った。 中でも北京市の書記をしていた陳希同は、自分が次期国家主席に指名されるべきだという願望を持っていたので、トウ小平に江沢民の出自をばらした。

 江沢民の実父は、日中戦争時代、日本の傀儡政権であった汪兆銘政権管轄下にあった「ジェスフィールド76号」(通称:76号)という特務機関の官吏だった。 だから金持ちの家で育っただけあって、江沢民はピアノも弾ければダンスもできる。 酒が入れば炭坑節だって歌い出す。



 そこでその封印をより強固にして、「自分がいかに反日であるか」を人民に植え付けるために、「反日」を声高に叫んだのである。 反日傾向に逆らう者は、逆に「売国奴」として罵倒される。 以来、自分が「売国奴」あるいは「売国政権」と罵倒されないようにするために、国家指導者の対日強硬路線は強化されていくばかりとなるのは流れ行く水の如。

江沢民-4

古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2015/09/01 07:22:59 AM
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