このような問題意識は、すでに現実のものとなっています。このような「トロッコ問題」に関する思考実験によって得られる知見は、例えば自動運転技術を社会実装する際のアルゴリズム──走行中に障害物に衝突しそうになった時にどのような行動をとるべきか──を決定する際の一つの基準を与えるものとして議論されるようになっています。また、MITの研究グループが、こういった自動運転車の思考実験をインターネットを通じて不特定多数の人々を対象に実施したところ、事故によって犠牲になってもよい対象を選ぶ際に「人数」「信号を無視したかどうか」「年齢」「性別」「社会的地位」などの基準のうちどれを重視するかは、地域によって大きな違いがあるという結果も得られています(Edmond et al.,2018)。