2020/02/14
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「史上最も腐敗した米大統領」という汚名 =後節=
= WEDGE Infinity  2020年2月10日 斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


「史上最も腐敗した大統領」の具体的中身
 前述のニューヨーク・タイムズ紙社説は、「史上最も腐敗した大統領」の具体的中身にまでは触れなかったが、これまでの米主要各紙の報道などを通じ、以下のような疑惑が指摘されてきた:

① 脱税行為
 歴代大統領が行ってきた毎年の確定申告内容の公表を拒否し続ける一方、「Chicago Unit Acquisition LLC」という名の会社に5000万ドル(約55億円)のローンがあるとしてきたが、この会社はトランプ氏本人が100%所有していたことが判明。ニューヨーク州税務当局はこのローンを理由に脱税してきた疑いがあるとして税務関連書類の提出を求めてきたが、提出を拒否し続けている。

② 公職法違反
 ニューヨークに本社を置く不動産取引会社「トランプ・オーガニゼーション」のCEO(最高経営責任者)を務めてきたが、大統領就任後も、執行権を長男に移譲する一方、オーナーとしてかかわり続けている。ホワイトハウス入りしてからは、ロシア、中東諸国、アフリカ諸国などの首脳一行が会見求めワシントン滞在の際、同社が保有する「トランプ・インターナショナル・ホテル」を利用する場合が多く、ホテル収益の向上に寄与してきた。フロリダに自ら所有するゴルフ保養地にも大統領として公費で頻繁に投宿してきただけでなく、諸外国首脳との首脳会談開催場所としても利用。

③ セックス・スキャンダルともみ消し
 大統領就任前までのセクハラ、強制わいせつなど女性たちからの訴えが今なお続いており、一部報道によると、1970年代以降の事案に関連し、最低25人が大統領相手に係争中。自らはこれらの訴えに対し「事実無根」を主張する一方、数人の元ポルノ女優に対し、十数万ドルの「口止め料」支払いが発覚しており、もみ消し資金の出所をめぐる刑事訴訟事件にも発展している。

④ 政権私物化
 長女イバンカ、娘婿ジャレッド・クシュナー両氏をそれぞれ「大統領顧問=Advisor to the President」、「大統領上級顧問=Senior Advisor to the President」に登用、ホワイトハウス機密情報アクセスを制限するためのシークレットサービスによる厳密な「セキュリティ・クリアランス」を経ることなく、国家安全保障会議(NSC)への参加なども許可。ワシントン・ポストなどの有力紙は、二人がそれぞれ個人で事業も展開しており、置かれた地位と知りえた情報を私物化する懸念を指摘している。



 そしてこれらの疑惑に加え今回全米の耳目を集めたのが、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判だった。上院での最終評決に先立つ下院本会議では「大統領権限濫用」「議会妨害」の「二つの深刻な犯罪行為」が弾劾の対象とされた。裁判の結果について、米マスコミの大半は「無罪とはいえ、大統領の一連の行為は断じて正当化されたわけではない」(ワシントン・ポスト紙)、「下院は引き続きウクライナ疑惑を徹底究明すべきだ」(ロサンゼルス・タイムズ紙)、「上下両院は大統領非難決議を採択すべきだ」(シカゴ・トリビューン紙)など、引き続き厳しい論調を掲げている。

 折しも、「トランプ無罪」の評決が出された前日の去る3日には、民主党の大統領候補を選ぶ全米最初の党員集会がアイオワ州で行われ、最年少で最もクリーンなイメージを強みとするブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)が1位に躍り出、一躍脚光を浴び始めた。
 果たして11月の大統領選本戦では、「史上最年少で清廉潔白な民主党候補」VS「史上最も腐敗した現職大統領」の一騎打ちとなるのかどうか―。(終わり)

トランプに無罪評決を下した弾劾裁判のトンデモ論法__パックン__ = NewsWeek_Column_2020年02月11日、 Superpower Satire (USA)パックンの風刺画コラム: ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

時々、自分とつながりのある人の愚行で自分も恥ずかしくなることがあるよね。同じ事務所の人が不倫騒動を起こしたとき、同じ党の人がヤジを飛ばしたとき、同じ国の人があの大統領を選んだときなど。 この間、僕と同じ大学の人があの大統領の弾劾裁判で発言したが、実に恥ずかしくなった。ハーバード大学の元教授アラン・ダーショウィッツは超有名なすご腕弁護士。



殺人事件でアメフト選手のO・J・シンプソン、未成年性的暴行事件で大富豪のジェフリー・エプスタイン、レイプ事件でハリウッド・プロデューサーのハービー・ワインスティーンなどの弁護を務めてきたが、今まで気にならなかった。

でも今回は、おそらくシンプソン、エプスタイン、ワインスティーンでさえ恥ずかしくなったはず。選挙に有利な情報を求めてウクライナ政府に圧力をかけた、つまり国益より自己利益優先の権力乱用をした疑いのあるドナルド・トランプ大統領。

その弁護人のダーショウィッツは弾劾裁判で、「当選することが国益につながる」と解釈し、「大統領が国益とする当選のために行うことは、弾劾に値する『取引』にはなり得ない」と弁解した。 はなはだしい愚論だ。確かに、「大統領の自己利益=国益」と考えれば、選挙に勝つためなら何でもOKだろう。でも、この発想は民主主義ではなく独裁国家のものだ(後日、ダーショウィッツはそういう意味ではないと主張。よかった!)。 

ここで思い出されるのは、風刺画でおなじみのポーズを取っているリチャード・ニクソン元大統領の発言(彼も弁護士出身だ)。大統領として2期目を狙う1972年の選挙戦中、有利な情報を求め、手下が民主党の選挙本部に空き巣に入ったウォーターゲート事件でニクソンは弾劾されそうになった。

トランプと同じ動機で、訴追条項も同じ権力乱用や司法妨害だったが、弾劾決議寸前に辞職した。しかし、その数年後のインタビューで、彼は弾劾の根拠をこう否定した。When the President does it, it's not illegal.(大統領がやるときは、違法ではない) 

こんな暴論が当時も今も通じるはずはない。と思いきや、上院で支配権を握る与党・共和党が「ダーショウィッツ論法」で証人を召喚せず、新しい証拠も要求せず、あっさり無罪だと片付けた。こんないかさま裁判こそ恥ずかしくなる。でも、共和党議員はきっと国益を優先しているつもりだろう。彼らも「自己利益=国益」と考えているから。
<2020年2月18日号掲載>



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/02/14 05:50:08 AM
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