2020/03/30
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【 虎子/ココの誇顧/ココ; 彷徨癖者・如水が愛犬のココ(ボクサー犬)の悲嘆・感嘆 / 03月30日 】
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「中国ウイルス」作戦を思いついたトランプ大統領は天才?!
= NewsWeek_Column_2020年03月27日、 パックンのちょっとマジメな話 パックン(パトリック・ハーラン)


ドナルド・トランプ米大統領は天才だ。
学力テストの点数や学校の成績などの客観的な証拠に基づいて言っているわけではない。それらはトランプが顧問弁護士を通じ司法的な措置を武器に、出身高校や大学、SAT(大学進学適性試験)の運営会社などを脅して公開しないようにしている。点数がよすぎて、自慢したくないから控えているだけかもしれないけどね。謙虚だから、トランプは。

ハハハ! 冗談だ。トランプは謙虚さのひとかけらもない。何度も「大学を主席で卒業した」と大声で自慢しているし。
そういったトランプの自己評価を僕がうのみにしているわけでも、もちろんない。主席で卒業したというのもウソだし、「おれはとても安定した天才だ」と豪語しているが、その言い方自体がバカっぽい。

それでも、彼は一種の天才だと思う。浮気性のビリオネアなのに、キリスト教徒や低所得者のハートをつかむ天才。無数の不祥事を生き抜く天才。真実をフェイクニュースと言いながら、真顔で誤報を発する天才。などなど、限られた範囲では別格の能力を見せている。

最近だと、コロナウイルス対策に関するトランプの奇才ぶりに僕は感心している。いや、医療や保険制度の強化とか、緊急体制での行政運営といった話ではない。もちろん、世界のリーダーとしての活動でもない。それらにおいては最悪の仕事ぶりだ。天才的なのは国内の世論操作だ。特に、「コロナウイルス」を「中国ウイルス」とかたくなに呼び続ける作戦。これは「相対性理論」や「万有引力」などと並ぶぐらいのひらめきと思われる。

でも、アメリカ国内で中国系アメリカ人が暴力を振るわれることも報じられているし、差別とされるような言い方をなんで使うのか? 会見で記者にそう聞かれたトランプは「ウイルスは中国から来たからだ」ときっぱり。シンプルな回答だが、これは発症地だけではなく、パンデミック(世界的流行)の原因が中国にあるという、責任所在の主張でもある。これがポイントだ。

確かに、初期段階での中国の対応は大問題だった。政府がウイルスの存在を知ってから、動くまでが遅かった。最初は情報を隠したし、公開を始めてからも楽観的過ぎて、非現実的な見解を流していた。動いても対応自体が甘かった。結果、病床や医療品の確保も、医療従事者や機関の増強も、感染者の隔離や自治体のロックダウン(封鎖)も、世界との連携も、何もかも遅れた。



これらはどれも感染拡大の原因になり、どれも間違いなく政府の責任だ。そして、これらがトランプの許せないところ。余談だが、日本語って紛らわしくて便利だね。

「これらがトランプの許せないところ」という一文は「トランプは中国のこれらが許せない」という解釈ができるし、もちろんそれは正しい。同時に「アメリカ国民はトランプのこれらが許せない」という風にも読めるし、これも正しい。

中国政府の失敗は有名だが、上記の太字部分はすべて、トランプ政権にも言えること。実はコロナウイルスの発症に関して、中国の保健機関から米疾病対策センター(CDC)に最初に連絡があったのは1月3日とされる。まだ中国における感染者が数十人で、死亡者が確認されていない早い段階だ。しかし、それからの数週間、脅威度が増しても、米政府内の専門家が警鐘を鳴らしていても、トランプはその情報に耳を塞いでいたという。

この時期、政府職員が武漢から呼び戻されたことなどから、政府内で警戒レベルが高まっていたことが分かる。それでもトランプは動かないし、国民に対しては楽観的な見込みを示す。2月18日の「ウイルスは4月までに消えるはず」という迷言が一番分かりやすいが、実際に消えそうなのはウイルスではなく、国民の安心、NBAのプレーオフ、数百万人の雇用、数兆ドル分の金融資産などなどだ(ちなみに、トランプと同じ最新の機密情報を握っていた上院情報特別委員長のリチャード・バー議員は、2月13日に持ち株を売却しているから安心だけどね、彼だけは)。

大勢のアメリカ人が命を落とす。その何倍もの人が甚大な経済損失を食らう。こんなことになったのは中国政府の責任もあるかもしれないが、それよりもアメリカ人への直接的な責任を持つのはトランプ自身であろう。

トランプの天才ぶりが怖い
しかし、その事実をうまく忘れさせるのが「中国ウイルス作戦」。実は、トランプのツイッターを見ると分かるが、3月半ばまでは彼もコロナウイルスと呼んでいた。それが国内の感染拡大が深刻化してきた3月後半には中国ウイルスという呼び名で徹底している。3月19日の演説の台本も手書きでcorona virusをChinese virusに書き直している。偶然じゃない。天才の判断だ。だって、国民が感じる恐怖を怒りに代える。しかも、怒りの矛先を外に向ける。二度おいしい作戦だ!


保守系メディアも歩調を合わせて作戦を応援している。例えば、「ウイルスに国籍はない。差別や誤解につながるためWHO(世界保健機関)も2015年から感染症に地名をつけない方針を発表している。われわれも専門家と同じくコロナウイルスやCOVID-19と呼ぶようにしよう」と、反論する中道メディアや野党の政治家に対しても怒りをあおる。国民が団結しないといけないところで、ささいな「呼び方批判」でトランプ・バッシングに走っている! という調子で。

これもうまい論調だ。FOXニュースの司会者であるショーン・ハニティが、中国ウイルスの予防策や周知活動が一刻を争うなか、左派メディアは呼び方にばかり集中して時間を無駄にしている! と猛批判しているのを見て、僕も一瞬、納得しそうになった。そのあと、ハニティも予防策や周知活動をそっちのけに、「呼び方批判批判」に長い時間を費やしたけど。

さらに、大統領に有利なのは「中国ウイルス作戦」に中国が反発すること。中国がトランプを非難するのは「ジョー・バイデン元副大統領を応援している証し」として、大統領選挙の対戦相手となりそうな人物を攻撃する材料に使える。アメリカ人は外国による選挙介入は絶対許せないからね! (本来はこれ、笑うポイントではないはずだよね。2016年のロシアによる大統領選挙介入は国民として超残念だが、ボケが一つ増えるから、芸人としてはラッキー!)

大統領にとっておいしすぎる、中国ウイルス作戦は世論操作に有効だが、こんな時に使ってはいけない黒の術だ。「パンデミック」は古代ギリシア語で「全ての人」という意味だが、誰もが感染しうるだけではなく、地球上の全員が力を合わせて止めないといけないもの。そんな意味も込められていると、僕は思う。自己利益のために、大事な戦いにおける協力相手となる国に喧嘩を売ってはならないのだ。感染症も一種の天災でとても恐ろしいが、トランプが見せている一種の天才も十分怖い。

★ちなみに、このコラムを書き終えた瞬間、トランプは中国ウイルスという言い方を控えると発表した。空気を読めないな~。でも、撤回するのは遅いが、大事な方向転換だ。僕も合わせて撤回しよう。やはり、トランプは天才ではない。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/03/30 05:40:05 AM
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