2020/08/06
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トランプ最強の指南役、義理の息子クシュナーの頭の中  =中節=​
= NewsWeek_Column  2020年8月1日(土)  ビル・パウエル(本誌シニアライター)


本来なら連邦緊急事態管理庁(FEMA)が仕切るべき案件なのに、そこへ大学野球の2軍チームみたいな若造たちが乗り込んだことへの批判はある。しかし「クシュナー組」の介入で現場が混乱したという評価は、どうやら当たらないようだ。

指揮命令系統の乱れという話は大げさだし、それなりの人材も集まったようだ。クシュナーらが実業界で築いた人脈(もしかしたら金脈も)は、それなりに役立ったらしい。

例えばPCR検査の拡充策だ。数をこなせるドライブスルー方式の検査を広めるため、大手小売りチェーンのウォルマートやドラッグストアのCVSなどの民間企業から協力を引き出した。「クシュナーのチームと仕事するのに問題を感じたことは一度もない」と言ったのは、PCR検査の実施場所を調整した保健福祉省次官補で医師でもあるブレット・ジロワーだ。

3月13日にトランプがドライブスルー方式の検査を発表した時、失笑を買ったのは事実だ。あれは時期尚早だった。実施に必要な準備はまだ整っていなかったのだから。
しかしボーラーによると、今では3000カ所以上でドライブスルー方式の検査が行われ、その件数は1日60万件超。3月半ばの1日1万5000件とは比較にならない規模だ。ただし検査待ちの行列が長くなり、判定に時間がかかるので接触追跡は思うように進んでいない。

クシュナーの交渉手腕が発揮された面もある。例えば感染予防に不可欠な高機能マスクN95の調達だ。製造元の米企業3Mは上海工場で月産5000万枚という量産体制を敷いていたが、その工場は当時、上海市当局の管理下に置かれていた。



そこでクシュナーは崔天凱(ツォイ・ティエンカイ)駐米中国大使に電話して「いろんな事情はあるだろうが、(米企業である)3M社の上海工場からマスクを買えないというのでは(アメリカの世論が)納得しない」と告げた。すると12時間後には輸出の許可が下りたという。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策顧問を務めるデボラ・バークスは、人工呼吸器の調達でクシュナーと緊密に協力した。人工呼吸器が足りないので助かる患者も助からないという悲鳴が、ニューヨーク州のアンドルー・クオモ知事などから上がっていた時期のことだ。

ある高官によれば、当時は5月1日までに追加で13万台の人工呼吸器が必要だとする試算もあった。だが疾病対策センター(CDC)にある戦略的国家備蓄は1万2000~1万3000台にすぎなかった。
そこでクシュナーはトランプに話して国防生産法の発動を促す一方、各地の州知事に電話をして「無駄をなくす」ように求めたという。「州内に何台あり、どれだけ使われているかを聞いた。全く知らない知事もいた」

クシュナーによると、クオモ知事とは良好な関係を築けた。国中にいっぺんに人工呼吸器を配るのは無意味だとクオモは言い、クシュナーもそれに賛同した。まずは事態の深刻な都市や州に優先して配置し、落ち着いたら別な地方へ回せばいい。
結局、連邦政府はクオモ=クシュナー路線で動き、最悪の事態は回避された。この点ではクオモも、クシュナーの手腕を評価している。

こうしてクシュナー組が奮闘しているうちに季節は夏となり、そろそろ最悪の時期は脱したかに見えた。ところがトランプが経済活動の再開を急いだせいでテキサスやフロリダ、アリゾナなどで感染が激増した。医療現場では再びPPEの不足が目立ってきた。

例えば、テキサス州フォートワースにある小児科病院の医師キャスリン・マンダルは、ひと月ぶりで防護手袋を1箱注文できたけれど価格は以前の5倍だったと訴えている。



本来なら、今の時期にはこれくらい患者が増えても間に合うだけの供給体制ができていたはずだと、クシュナーは言う。しかし経済活動の再開を急ぎ過ぎたせいで想定外の感染者が増えた。クシュナーの努力も水の泡だ。この夏はトランプ再選を確実にするために全力を挙げるつもりだったが、今はそうもいかない。

中東和平の調停
イスラエルとパレスチナの紛争を解決するために誠実な努力をしていると、クシュナーは言う。パレスチナ側の頑迷な姿勢ばかり際立たせることで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(クシュナー家とは旧知の仲だ)にヨルダン川西岸で好き放題にやらせるつもりではないと。「批判は承知している」と彼は言う。でも「難しい問題に挑むのは好きだ。厄介なことこそ、やりがいがある」

実際、クシュナーは持ち前のひたむきな姿勢で問題に取り組んでいる。過去の経緯を勉強し、専門家や交渉経験者の話に耳を傾けている。彼に相談を持ち掛けられた人たちも、総じて彼の誠意を認めている。ただしこれまでの交渉の努力を否定したがる点は気にしている。

「前任者たちの多くは希望を与えることが目標だと言うが、それでは交渉にならない」とクシュナーは言う。「私の目標は交渉をまとめ、これに終止符を打つことだ」

つまり、従来の道をたどって失敗を繰り返すのは嫌だということ。そこでワシントン中近東政策研究所のロバート・サットロフ所長が「今までとは違う道で失敗したいのか」と切り返すと、クシュナーは苦笑したそうだ。 ・・・・・・明日に続く



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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