2021/01/24
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中国のウイグル「虐殺」阻止、バイデンへの期待が高まる理由  =後節=​
= NewsWeek_Column 2021年1月19日 デービッド・ブレナン(本誌「バイデンvs中国」特集より)


人権問題を政治利用した男
中国当局は「再教育施設」と称して新疆ウイグル自治区に収容施設を次々に建設。100万人を超えるウイグル人を収監してきた。一方で、中国当局はウイグル人の住宅や墓地、モスクを次々に取り壊し、自治区の中国化を進めている。こうした動きは「文化的ジェノサイド(集団虐殺)」とも呼ばれる。

中国は少数民族弾圧を一貫して否定。再教育施設を建てたのはテロ対策のためであり、過激思想に染まった若いウイグル人に職業訓練を受けさせ社会復帰させることが目的だと強弁している。
中国全土でテロ攻撃を行い、多数の死者を出してきた分離独立派やイスラム過激派を抑えるには、こうした対策が必要だ、というのだ。しかし批判派に言わせれば、テロ被害に対して収容施設の規模はあまりに大きく、どう見てもその実態は「強制収容所」だ。

中国を目の敵にするトランプ政権はウイグル人弾圧を声高に非難してきた。マイク・ポンペオ国務長官は中国当局の弾圧を「世紀の汚点」と呼び、マイク・ペンス副大統領は抑圧された人々と連帯すると宣言。ドナルド・トランプ大統領も超党派の議員の圧倒的な支持を得て可決された「ウイグル人権政策法」に署名し、中国政府の人権侵害には制裁措置を取る方針を打ち出した。

ただ、その本気度には疑問符が付く。トランプの国家安全保障担当補佐官だったジョン・ボルトンは退任後に出した暴露本で、トランプは習に収容施設をどんどん建てるよう勧めたと書いている。
人権問題を政治利用しかねないトランプと違って、バイデンなら一貫性ある明確な姿勢を取れると、アーウィンは期待する。

「強制労働防止法案」を支持?
それでも中国に関わる課題は多く、バイデンはそれらの兼ね合いを取らなくてはならない。例えば、気候変動対策で中国と協力するためには貿易合意で譲歩せざるを得ないかもしれない。
バイデンの戦略は未知数だが、中国は利用できるものは何でも利用しようとするはずだ。外交には駆け引きは付き物だが、人権問題は他の課題と切り離して原則を貫いてほしいと、アーウィンは言う。

次期政権の本気度を測る指標として、イリハムはいくつかの具体的な措置を挙げる。第1は「ウイグル人権政策法」が義務付けているように自治区の人権状況を調査して議会に報告するかどうか。
第2に、既に下院で可決され、上院での成立を待つ「ウイグル強制労働防止法案」を支持するかどうかだ。ナイキやコカ・コーラなどの大企業がこの法案に反対しロビー活動を繰り広げている。

一方で、イリハムが高く評価するのは、米税関・国境取締局が中国国有の開発事業体で準軍事組織である「新疆生産建設兵団」からの輸入を一時停止したことだ。ウイグル人の強制労働で生産された疑いのある製品の輸入を止めたことは「重要な一歩」であり、「バイデン政権もこれを優先課題に据えてほしい」と、イリハムは訴える。

トランプ政権発足時より今のほうが、ウイグル人弾圧に対する国際社会の怒りは高まっている。だが、中国のような豊かな超大国に改善を迫るのは困難だ。中国の資金力と戦略的な重要性から、イスラム教徒が多数を占める国々ですら、宗教的な同胞への弾圧に口出しできないでいる。

それでも国際社会が一丸となって中国に圧力をかければ、「大きな変化が起きる」と、イリハムはみる。バイデンがその旗振り役を務めれば、ウイグル人の期待にしっかり応えたことになる。 <2021年1月26日号「バイデンvs中国」特集より>



​日本を挑発し続ける中国「狼の乳」世代は被害者史観で戦う​
= NewsWeek_Column_2021年01月07日、 ユーラシアウォッチ 楊海英・本誌コラムニスト(静岡大学教授、日本名は大野旭)
戦う狼」こと「戦狼」外交官のトップ、中国の王毅(ワン・イー)外相。昨年、来日した彼が発した尖閣諸島をめぐる挑発的な言動は、日本に深刻なインパクトを与えた。その際に国内外のメディアが使った「戦狼」だが、多くの日本国民と世界の良識ある人々は、その精神の由来について不思議に思っているに違いない。

戦狼とは中国特有の「狼の乳」、つまり極端な中国中心の民族主義的思想、それも階級闘争論に依拠した暴力革命肯定論と、被害者史観に基づく教育を受けて育ったゆがんだ民族主義者を指す。

最も早く「狼の乳」の表現で現代中国のゆがんだ歴史観を批判したのは、中山大学(広東省)の袁偉時(ユアン・ウエイシー)教授である。袁の主張と論点は以下のとおりだ。アヘン戦争以降の西洋列強による清国侵略も決して外国だけが悪かったわけではない。清朝臣民による挑発と、役人の無能ぶりについても分析しなければならない。西洋列強だけが「不平等条約」で搾取し、「文明国」中国を停滞させたのではない、との観点である。

こうした見解は、世界の歴史学界の認識と一致するが、中国では決して許される思想ではない。近代に入って西洋が中国を搾取し続けたので、有史以来ずっと先進国だった地位が失われたとする中国の公的史観と対立しているからである。

加えて日中戦争だ。全国の人民をリードして「抗日」戦争を勝ち取ったのは「偉大な中国共産党」であり、蒋介石率いる国民政府軍は奥地の四川省に逃げ込んだ無能な集団だったというのが、中国政府の歴史観である。日本軍と死活の戦いを繰り返していたのは国民政府軍で、共産党系のゲリラ部隊も当時は国民政府軍の一部として編成されていた史実は無視されている。

以上のような歴史観を総括すると、中国は長らく世界の先進国であり続けたが、西洋列強と日本によってその進歩と発展が阻害された。被害者の中国はこれから大国になるにつれて復讐に打って出て、再び世界各国を臣従させ、中国中心の朝貢体制を構築しなければならない。これが、「狼の乳」を飲んだ世代の思想である。

そして、典型的な「狼の乳」世代の代表格が王である。彼は文化大革命最中の1969年に16歳で黒竜江省の農村部に下放され、生産建設兵団という屯田兵団の一員となった。文革が勃発した時は14歳で、78年に大学に入るまでまともな教育を受けていなかった。彼の世代は「工農兵大学生」と称され、学力よりも共産党への忠誠が優先された者だけが進学できた時代である。

王だけでなく、陝西省北部の黄土高原に下放されていた習近平(シー・チンピン)国家主席も例外ではない。王も習もその下放先で農村部の極貧生活を体験したし、大人になってからは自国と世界との大差についても認識したことだろう。問題は、自国と世界との巨大な差異と発展程度の違いを、冷静に客観的に分析するのではなく、落ちこぼれた責任は中国以外にある、との被害者史観で武装したことである。

中国の停滞を知れば知るほど、「搾取」し、「侵略」した外国に対する憎しみが一層増して「狼の乳」の濃度も上がる。だから彼らは戦い続ける。「尖閣は中国の領土で、日本の偽装漁船が敏感な海域に入ってきている」と主客転倒の挑発も、「戦狼」思想の発露にすぎない。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2021/01/24 05:50:05 AM
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