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macbookちゃんが病気になった。 起動ボタンを押すと、グレーの顔に「?」のマークを出したまま、うんともすんとも言わなくなってしまう。 Win機だと、「…error」などとよくわからないアルファベットが黒い画面にたくさん出てきて、「何よ? わたしの間違いだっていうの? けんか売ってるんじゃないでしょうね? きーっ!」となるのだけど。 「?」と言われると、こちらも拍子抜けして、突然動かなくなったmacちゃんが心配で気の毒になってくる。 Macというのはつまり、そういうふうにつくられた機械だ。 さっそく、銀座りんご病院の予約を取り、診察を受けさせる。りんご病院のお兄さんが、macの親玉みたいなでかいPCをmacbookちゃんにつなぎ、いろいろ試してくれる。「がんばれ、がんばれよう」と心のなかで祈るわたし。けれどmacbookちゃんの顔には「?」と通行止めのマーク(○の中に斜線が引いてあるあれです)が交互にうかぶだけ。「すぐに入院、手術が必要ですね」とお兄さん。今まで覚えたこと、みんな忘れてしまうんだそうだ。ぐすん。あの写真もあの音楽もあの文章も、みんな忘れてしまうのね、macbookちゃん。仕方がない。バックアップをとっていなかったわたしが悪いのよ。写真が消えても、わたしの心には思い出がしっかりと残っているし、音楽はいつだって口ずさめるもの。帰り道、さっそくUSBメモリーを購入。これからはわたし、バックアップの鬼になります!喪失感を癒すため、アフタヌーンティールームに入る。ここにはいつでも確実に、一定ラインの癒やしがあるから。トマトスープ、ツナと野菜のサラダ、ケーキ。そして紅茶。隣の席で、身ぎれいな女性ふたりが、自分の恋人の「だめんず」ぶりについて語り合っている。本を読むふりをして、熱心に聞く。こんなにかわいらしく、すてきなお洒落をして仕事もがんばっている様子なのに、なぜそんな男に!お金まで!とおどろいて声をかけそうになるのを、ぐっとこらえる。今夜からしばらく、macbookちゃんのいない夜がつづきます。わざと蛍光灯の明かりを消して、白熱灯とろうそくだけで過ごす夜のように、この時間を心しずかに楽しもう。
2007.01.31
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青木玉「幸田文の箪笥の引き出し」読了。玉さんは、幸田文の娘さんなのです。そして文さんは、文豪幸田露伴先生のお嬢さま。この本には、文さんの着物まわりあれこれが、愛情のこもった娘のまなざしで豊かに描かれています。文さんが露伴先生を描いた「父・こんなこと」も、切々としたおやこの情が伝わってくる名著だけれど、玉さんの筆には、お母さんとは少し違うふくよかさがある。母娘では時代が違うのはもちろんですが、何よりも題材が「きもの」ですからね。着物は単なる衣装ではなく、華麗で豊饒な日本の文化です。日常的に着物を身につけていた時代の女性には「矜持」という言葉が似合う。どんなときも、揺るがない「芯」が体の中心にあって、その芯を帯でぎゅっと中心に保ちながら生活していたように思われる。もちろん、わたしは年に数えるほどしか着物を着ないので、書物や人の話から推察するのだけれど。体の姿勢は心の姿勢に大きく影響するし、逆もまた然り。着物を着ると、気持ちの真ん中が凜と張りつめるのは、それが今の時代に珍しい衣装だから、というだけの理由ではないのだろうな。着物の魅力もさることながら、娘だからこそ垣間見ることのできた文さんの素顔も、この随筆集の読みどころ。「気っぷのいい」女性として知られる文さんの、かわいらしい一面や思いがけない繊細な一面も描かれていて、同じ女として何だか親しい気持ちになれる。一冊読み通せば、すぐに着物が着たくなること請け合いです。
2007.01.31
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かなしいときは、月を見上げる。ああ、満ちてゆく。月とひびきあい、呼びあう。わたしのこのからだ。自分を責めることに意味はない。すべてのできごとには、もともと、プラスもマイナスもなく、ニュートラルなのだ。ただ、できごとが存在するだけ。そこに意味を与えるのは、わたしたちのこころ。同じ経験から、ある人は負のエネルギーを受けとり、別の人は前に進む力を得る。両方をいっぺんに受けとることも、ある。欲しいものは受けとり、いらないものは空にお返しすればいい。ただ、それだけのこと。それだけのこと、なんだけどなあ。
2007.01.30
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梅のおむすびを3つ握って出社。働く、はたらく。自分が役に立っていると感じられるのは、幸せ。仕事の合間にデスクでおにぎりにかじりついていたら「うわあ、うまそうなおにぎりだなあ。でっかいねえ!」と上司に驚かれる。白いごはんはパワーの源です。夜。きのことベーコンの和風パスタを作って食べながら、辻信一と三砂ちづるの対談集「だきしめて スローラブ ゆるやかにしなやかに男と女の愛と性」を読む。 三砂先生の議論は時に野性的すぎて受け入れられないこともあるけれど、「子供を産んで育てることは、本来気持ちよくて楽しいんだよ」「女性の体には、外の世界と一体になるすごいしくみが備わっているんだよ」という基本的な主張は好き。 わたしはまだ出産も子育ても経験したことがないけれど、大いに共感する。 辻先生は言わずと知れたスローライフの仕掛け人です。親と子が、体を触れ合わせることの大切さ。 愛する人と過ごす、「むだ」な時間がもたらす豊かさ。 ごはんを作り、食べ、片づけ、眠る。 一見同じことの繰り返しに見える毎日こそが愛。 それこそが人生。 わたしが最近もやもやと考えていたことがすっきり言葉になっていて、ページをめくるごとに確信が深まる。 手抜きでも、切って焼くだけでもいい。 ごはんを作り、食卓を整え、家族で食べよう。 どうでもいいことや大切なことを、毎日たくさん話そう。 暗くなったらさっさと寝て、朝は早く起きよう。 迷いがあるなら子供を産もう。 たくさんさわって、抱きしめて育てよう。 何もかも完璧にやらなくてもいい。 分刻みでがんばらなくてもいいじゃないか。 ごちゃごちゃと、雑に、風通しよく生きよう。 と、言葉にするならそういう感じ。 そういう家族を、わたしは作るんだ。
2007.01.29
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よく晴れた朝。クマと恵比寿へ行く。駅前のハーゲンダッツでアイスクリームを買い、動く歩道で食べながら移動する。一心にアイスクリームをなめるクマ。冬眠しなくていいの、クマなのに。と聞いた。クマは黙って、毛皮についたクリームをなめとっている。ガーデンプレイスの広場に、大きな犬や小さな犬、犬らしい犬や犬とは思えぬ犬などがたくさん集まって、毛玉のようにじゃれたり固まったりしている。近くのベンチに腰かけ、クマと一緒にしばらく犬たちを観察する。クマが整体を受けたいというので、整体院近くのアジアふうカフェに入り、本を読んで待つ。ヒーリングサロン兼、雑貨店兼、カフェのようなところ。さまざまにくふうを凝らした空間なのだが、ものが多く、お香の匂いも少しきつく、何となく落ち着かなくて、早々に出る。どちらかと言えばわたしは、何もない洞穴のような喫茶店が好き。クマのこぐ自転車で夕暮れのスーパーへ行き、片隅にあるスターバックスで別々の本を読む。クマは何を読むのか、と思いむくむくした手元をのぞき込んだら、ソムリエが書いたおもてなしの本だった。部屋に帰って、寄せ鍋をする。豚肉、鶏肉、きのこ、水菜、葛、とうふ、白菜、白ねぎなどをわたしが切る。切ったそばから、クマが特製のだし汁に入れて、煮る。乾杯をし、素焼きのビアマグで、ヱビスビールをごくりとのむ。「がるる」と鼻先を赤く染めたクマ。わたしは少し泣いた。食べるだけ食べると、クマはその場にひっくり返って寝てしまう。やはり冬は眠いのか。後片付けを終えてもクマが寝ているので、名著「お風呂の愉しみ」をめくりながら化粧水を手作りする。精製水にラベンダー精油を一滴、好みでホホバオイルやグリセリンを少々。スプレー容器に入れ、よく振って使う。少しやわらかめに作ったミツロウクリームを乳液代わりにすると、お風呂上がりの肌がぷるぷるに潤う。これは、いい。お風呂から上がると、クマが毛布をかぶっていよいよ本式に寝ていたので、柚子皮の砂糖煮をこしらえる。ゆでこぼしたゆず皮を三日月型に切り、奄美の黒砂糖でじわじわ煮詰める。糸をひくくらいになったら網の上でひと晩乾かし、翌朝ざらめをまぶす。甘いのにさっぱりしていて、口に入れると柚子の香りが口のなかいっぱいに広がる。うまい、うまい。それでもクマが寝ているので、いろいろな人に差し上げるミツロウクリームも作ってしまう。作り終えても、クマはごうごうといびきをかいて寝ている。とうとうあきらめて、わたしも寝る。クマがいると、毛糸の靴下をはかなくても足があたたかいので、冷え性のわたしはうれしい。
2007.01.28
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昼間、ぱたぱたと走り回ってはたらく。いそがしいそがし。半年前に比べ、体は忙しくても、心は忙しくならなくなった。これはもしかして、仕事に慣れたということではないの?帰宅して息をつく間もなく、買い出し、洗濯、掃除。今夜から、わが家にクマが遊びに来るのです。何しろクマなので、たくさんの買い出しが必要。パンとヨーグルト、オレンジジュース、それに忘れちゃいけないのはハチミツ!冬のクマには欠かせない。水回り、ぴかぴか。部屋をきれいに保ついちばんの方法は、人(やクマ)を家に呼ぶことであります。新幹線の改札で青木玉「幸田文の箪笥の引き出し」を読んでいたら、「ぐるる」と後ろから近づいてきたクマに肩をたたかれる。ひととおりあいさつをして、クマとふたり、改札の中にあるセルフサービスの喫茶店に入り、サンドイッチとコーヒーを食べる。クマの世界では、レディーファーストが常識。メスは入り口から遠い席に座らせ、注文した食べ物も大きな毛むくじゃらの手で全部運んでくれる。「おいしいね」とわたし。「ぐおー」とクマ。おうちに帰って、メイプルシロップのクッキーを食べようね。
2007.01.26
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銀座でhちゃんの誕生日祝い。 なかなか予約が取れないというこじんまりしたイタリアンのお店。hちゃんの誕生日なのに、彼女が見つけて予約してくれました。hちゃん、いつもありがとう。 おまかせコースをいただいたのですが、出てくるものすべて、一瞬言葉を失い数秒後に笑い出したくなるほど旨い。 料理が出てくると、おしゃべりも忘れて皿が空になるまで夢中で食べてしまう。 えー、食いしん坊のわたくし、家に帰って、着替えもせずにコースの内容を書き留めました。 以下、手帳から引用。 ・前菜 フォアグラのキャラメルソースがけ (ソースには赤ワインが入っている。ババロアのような食感) ・スープ ひよこ豆と海老のスープ (夢のように香ばしい香り) ・パン フォカッチャ (手でつかんでひとかけら取った瞬間、香りがふわっと立ち上る。うまい、うまい。毎日食べたい) ・パスタ 冬野菜のペペロンチーノ (ブロッコリーとかぶ、小松菜。さっぱりして食べやすい) ・リゾット 鮟鱇と大根 (あんこうってこんなに食べやすいのか!) ・メイン 牛ほほ肉の赤ワイン煮込み (ふわふわの食感。付け合わせの栗がおいしい) ・デザート チーズケーキ ミントティー (おなかがいっぱいになったhちゃんのデザートも半分もらって食べる。おそるべき冬の胃袋) ・ワインはキャンティ・クラシコ。 ああー思い出してもおなかが空いてくるなあ。 店員さんのあたたかくこまやかな接客もすばらしい。 時間を忘れ、自分の部屋にいるみたいにくつろいでしゃべる、しゃべる。 おいしい料理を作るには、ときどきおいしいものを食べないと、ね。
2007.01.25
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銀座で待ち合わせの時間つぶしに、喫茶店に入る。 同じビルの中の本屋さんには何度となく足を運んでいるけれど、喫茶店に入るのは初めて。 閉店まで40分くらいしかなかったので、「いいですか?」とたずねたら、「だいじょうぶですよ。7時閉店ですけれど、7時半くらいまで私はいますから」と品のいいご婦人が席に通してくれる。 わたしのほかに客は2組ほど。内装は清潔感のある白で、けれど浮ついた感じはなく、歴史を感じさせる静けさに満ちている。インテリアも音楽も椅子の座りごこちも窓からの眺めも、すばらしくわたし好み。 近くに座った上品な男女が、静かなトーンで文学談義などしている。 何気なく頼んだカフェオレも、思わずメニューを見直してしまうほど、おいしい。 最近流行りの「カフェ」ではなくて、由緒正しき「喫茶店」という感じだ。ここはいいなあ。 これからは銀座に来るたび通ってしまいそうだなあ、と思いながら、約束の時間が迫ってきたので、後ろ髪をひかれる思いで席を立つ。 店員のご婦人は「あら、まだだいじょうぶなのに」と遊びにきた知り合いを引き止めるように言う。 「本当はもっといたいんですけれど。約束の時間があって」とわたし。 「お仕事、してらっしゃるの?」 「はい」 「まあ、そうなの。がんばってね。実は、あなたが入ってこられたとき、とても素敵な方だから、ここで働いてもらえないかなあと思ったのよ。長く働いていた女性が、最近就職のために辞めてしまったの」 「そうだったんですか。ここ、初めて入ったんですけど、とても雰囲気のいいお店ですね」 「本当に、あなたのような方に働いてもらえたらと思ったのだけど。土日だけでも」 「ありがとうございます。また来ます」 「ええ、またいらしてね」 …ああ、どきどきした。 感じのいい喫茶店で店員にスカウトされるなんて、吉田篤弘の小説みたい! こんなことが、まさか自分の身の上に起こるとは! 嬉しくて、三越前の交差点を渡りながら、顔がにやけてしまう。 モデルにスカウトされるより(まあ、間違いなくありえないが)、絶世の美男子に求婚されるより、銀座のこじんまりした喫茶店の店員に誘われるのがわたしにはうれしい。 それは憧れている自分の姿に、かなり近いから。 何かすごい技術やサービスを提供するわけでなく、話をするのも注文のやりとりくらい。でも、運ばれてくるコーヒーは当たり前においしくて、お客さんがほっとできるあたたかさと自由な雰囲気がある。大切な人たちにそういう場所や空気を提供できる自分になりたいと、いつも思っているから。10年後、また訪れても、「ここで働きませんか?」と声をかけられるわたしでいたいなあ。
2007.01.25
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待ちに待った、おおはたさんのCD発売日!仕事が終わるのを待ちかねて、銀座HMVにはしる。ジャケットはまるで写真集のようで、歌詞は1曲ごとに、きれいな写真のついたカードに記されている。眺めているだけでしあわせ。夕食後、部屋を片づけアロマオイルを焚いて、さっそくプレイヤーにのせる。音楽は仕事中以外ほとんど一日聴いているけれど、CDを聴くためだけに、きちんと時間をつくるのはとてもひさしぶり。たった5曲のミニアルバムだけれど、どの曲にもそれぞれ違った輝きと色があって、まるで宝石箱。草月ホールのライブで聴いて以来、ずっと聴きたかった「クレア」、なんとストリングスがかかっている!おおはたさんにストリングス!!びっくり。控えめでやわらかいアレンジなのでちっとも違和感はないのだけれど、いつかライブで、ギター一本の「クレア」を聴くのも楽しみだな。そして、案の定めそめそ泣く。だって、おおはたさん。あなたの歌うクレアは、わたしの中にいる小さな女の子と、あまりにも似ているんだもの。「スロートレイン#2」も大好き。歌詞をずっと唱えていると、恥ずかしいことも悲しいことも傷つくことも、どんなことがあってもわたしはだいじょうぶ、守られているって思える。一日の仕事で疲れたからだに、音楽がどんどんどんどんしみこんでくる。砂漠にオアシス。ひび割れにニベア。ひとり暮しの夜におおはたさん。だ。次のアルバムは5月23日。夏のはじまり。そのころ、わたしはどんな景色を見ているのかな。
2007.01.24
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はい、本日のおべんとうです。 慌てて詰めたわりには色がきれいにできたので、食べる前に思わず写真撮っちゃいました。 上段、右から。 タンドリーチキン。 付け合わせのにんじん・きゅうり塩もみ。 刻みねぎ入り卵焼き。 下段は、きんぴらとゆかりをのせたごはん。 タンドリーチキンは、ヨーグルト、カレー粉、すりおろしにんにく、レモン汁、はちみつ、塩、ローリエにつけ込み、焦げ目をつけてからじっくり蒸し焼きにしたもの。 お弁当は、おなかにも心にも効く栄養剤。午後もばりばり働くのです。
2007.01.23
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憂うつな気分はつづく。しかし、午前中にかかってきた何でもない事務的な電話で、突然かちりと憂うつスイッチが切れ、体の奥の方から少しずつ元気がわいてくる。今月号も痒いところに手が届く特集いっぱいのクウネルを読み、昨日実家で分けてもらったおかずを詰めたお弁当を食べて充電。午後はもりもりと仕事をこなす。よし、わたしはだいじょうぶだ。六本木ヒルズの「生活の木」へ行き、足りなくなっていた基材を補充。いつものスイートアーモンド、ホホバオイルに加え、月見草オイルも買ってみた。来月のPMSにはこれでマッサージをためそう。ついでに青山ブックセンターにも寄る。ずっとがまんしていた高山なおみさんの「記憶のスパイス」、とうとう買ってしまった。青山ブックセンターは、本好きの「本欲」に火をつける場所だ。帰宅して、買っておいた柚子でジャムを作る。焦がしたことは一度もないし、煮ているあいだにちょっとシャワーだけ浴びちゃおう…と思ったのが運のつき、お風呂から出たら、底の方が黒く焦げてしまった。考えてみれば、当たり前。ジャム作りに焦りと油断は禁物なのです。…と今書きながら思ったけれど、「焦げる」という字は「焦る」という字と同じだものね。焦げていないところをそっと掬いとってびんに移す。絞り汁、はちみつと混ぜてお湯を注いだらおいしい柚子茶ができたので、まあいいとしよう。これから、ジャムを煮るのは時間のある週末にしよう。時間と手間をゆっくりかけて煮るのが贅沢なんだから。何ごとも、焦らずできるときにやる。
2007.01.22
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平松洋子「買えない味」読む。向田邦子の系譜に連なるうまいものエッセイ。磁器と陶器。冷やごはんのうまさ。まな板の呼吸。鉄瓶の味わい。文章は少し癖があるけれど、勢いとリズムがある。活きのいい魚のように、言葉がぴちぴち踊っている。つい手に取っては1ページ、また1ページと読みすすめるうち、だんだん心地よくなる。長年の懸案が解決するさまを「17年前、釣瓶落としの夕暮れであった」とあらわした一文が印象的。「釣瓶落とし」は「ししおどし」と書き換えても楽しいな。あのかーんと甲高い音が、腑に落ちる瞬間の雰囲気をよく表す気がする。何と言っても、台所仕事欲を刺激する文章たち。日々の台所仕事は、女性に与えられた創造的な特権のひとつなんだと感じさせる。料理をする気力のわかない日など、この本をめくったら腹に力が入りそうだ。
2007.01.21
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何となく晩ごはんを食べそこねて深夜、平松洋子さんの「買えない味」を読んでいたら、料理が作りたくて居ても立ってもいられなくなり、台所に立って包丁を握る。トマトの赤。セロリの緑。卵の黄色。頭が冴えているせいか、はっとするほど美しい。セロリとじゃこ、卵のチャーハン。火が通ったチャーハンをフライパンの中でドーナツ型にして、穴の部分にしょう油を流し入れる。少し焦げたところで、香ばしい香りごとごはんにからめて、出来上がり。トマトと牛ひき肉のみそ汁も作って、一緒に食べる。一口食べたらほっとため息。思いついてチャーハンに梅を添えたら、味が引き締まっておいしかった。料理は自分を中心に引き戻す作業だな。
2007.01.21
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竹橋の東京国立近代美術館へ。都路華香展。つじかこう。という日本画家は知らなかったのだけれど、達磨大師のポスターを街で見かけて、そのあわあわしたひょうきんな筆が気になって仕方なくなってしまったのです。お向かいの柳宗理展や、常設展は大入り満員なのに、都路華香展は人も少なくて見やすい。あたたかみのある線で描かれた、埴輪を焼く古代人。ひれを振る音まで聞こえるような、屏風の鯉。研究しつくされた波の描写。水辺であそぶ子どもら。淡い色彩で繊細に描かれた桜。順番に見てゆくうち、だんだんふしぎな感じがしてくる。これは本当に、ひとりの画家の展覧会なんだろうか。筆のはこびも、圧も、勢いも、そして色づかいも構図も、絵によってまちまち。けれど、そのひとつひとつがすごく、愉しい。このひとは心の底から絵が好きで、絵を描くことが楽しくて仕方がなく、そのときどきの制約はあったにせよ、心を解き放って描いたのだろうな。年表を見たら、9歳のとき、有名な画の先生に師事した、とある。9歳からプロとして描きつづけていれば、それはもう、描くことが生きることにぐいぐい食い込んで、境目がふやけるほどだったろう。柳宗理展。入ってすぐの棚に置かれていた白磁の器のうつくしさよ。目のさめる思い、とはこういう心持ちを指すのか。真に洗練されたデザインは、時を経ても表情が変わるだけで、古びるということがないのだなあ。それにしても、国立美術館に大まじめな顔で皿やフォークや使い込まれた鍋が並び、「作品に手を触れないでください」なんて書いてあるのは愉快。人の手に馴染み、使われて味が出てくるものは、見れば見るほどしみじみいとしさがわいてくる。バタフライ・スツール。白くかがやくティーポット。お湯が早くわくやかん。見るもの全部、手に取ってみたくなる。欲しくなる。ぐっとがまん。いまは最小限の限られた食器しか持っていないけれど、いつか広い家に住んで、台所には水屋箪笥を置いて、味わいのある食器をたくさん集めよう。と固く心に決める。美術館の外に出たら、皇居周りの緑が霧雨に濡れていた。
2007.01.20
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洗濯して窓を開け、掃除機をかけてローズマリーとベルガモットのオイルをたいたら、部屋がわたしに「ありがとう」と言って、やさしく抱きしめてくれた。今日は雨。だいぶ前に買って、古くなってしまったハーブの詰め合わせを使い、靴用香り袋をつくる。ブーツの季節ですからね。靴箱もハーブの香りになって、しあわせ。ひさしぶりのヨーガ教室。太陽礼拝が気持ちよすぎて、夢見ごこち。最近は毎朝、起床と同時に太陽礼拝を3回、ゆっくりやっている。繰り返せば繰り返すほど、そのすごさがわかる。この短い動きの中に、全身をバランスよく動かして、呼吸を整えるためのエッセンスが集約されている。一瞬もむだがなく、完結している。同じ動作なのに、その日の体調によって、効くところがまるでちがうのも新鮮。朝いちばん、体と会話する時間を確保する、という感じだ。それからかんぬきのポーズ。これ、大好きなんだよね。肩甲骨の間がぐーっと広がったり、縮んだりして、肩こりが嘘みたいに楽になる。瞑想の時間が終わり、立ち上がってみてびっくり。景色の見え方が全然ちがうではないの。目の前が明るく、空気が凜と張りつめてみえる。ゆるみの真ん中にぱりっとのりのきいた緊張がある。この心地よさ!これはつまり、こちらの心の状態が明るく、緊張と弛緩のバランスが取れたということですね。疲れていても、週1度は来られるようにしたいなあ。教室を出たところで先生に会い、「うわあー、帽子かわいい!」とペンギンのキャスケットをほめられた。うれし。
2007.01.20
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新月。朝から情緒不安定。いろいろなことが重なり、ショックなこともあり、トイレの個室にこもってめそめそ泣く。小学生のときから、泣き場所は女子トイレ。それからおふろ。女は人前で涙を見せちゃあいけないよ。火星の方にも、よくない甘えかたをしてしまう。いけない、いけない。わたしの孤独は、わたしだけのもの。わたしの幸せをつくるのは、わたし自身。わかっているのに、大きな波がくると、すぐに忘れてしまう。こういうときは、オレンジ色のノートを出して、「してもらったこと」と「好きなところ」をひとつずつ書きだしていく。こんなことも、あんなこともしてくれた。ああ、そうだ。こんないいところもあった。一行書くたびに、だんだん気持ちがやさしくなっていくのがわかる。わたしがあなたを幸せにする、という気持ち、忘れていたのはわたしのほうだ。これから月が満ちてゆく半月は、そのことを毎日たしかめながら暮らそう。
2007.01.19
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気温のせいか、雨のせいか、月のお客さまのせいか、心に棲みついた不安が消えない。不安は強いが、いつも2日目にやってくる下腹部の痛みがない。「生理さん、ありがとう」って心のなかでつぶやくと、痛みがすうっと消えることを発見した。それにしても、ちょっとしたことで、すぐ泣きそうになる。傘をさして駅からの道を歩いているとき、雨の線が綺麗すぎて泣いてしまい、泣きながら雪の日に生まれた女の子の物語を思いついた。この時期はしんどいけど、感受性が強くなっているので、何か新しいことを思いつくのに向いている。部屋に帰って、白い紙を広げ、猛然と書き始める。ごはんも食べず、夜中までずっと書く。手首も肩も痛いが、エネルギーの流れがスムーズになった感じ。わたしは、生きるために書くのだなあ。これは「食べるため」という意味ではなく、文字どおりの意味で生き延びるため。お弁当はから揚げ、じゃこの卵焼き、きんぴら、梅干し、おみそしる、みかん。ハーブティーはレディースマントル、マリーゴールド、カモミールローマン。
2007.01.18
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お弁当。きのうのちくわきんぴら、ほうれん草おひたし、なすのはさみ揚げ、ゆかりごはん。年明けにおじゃました仙台の先生から、礼状のお返事をいただく。若草色のきれいな封筒と便箋を選んで、きれいな文字で心のこもった言葉がつづられている。うれしいので、会社に持っていってお昼休みに読み返す。ああ、うれしい。手紙って、いいな。年が明けてから、ヨガ教室に行っていないので、体のあちこちがいろいろ滞っている。PMSのせいもあって、心には不安が巣食っている。こんなときはおうちヨガ。DVDはたくさん持っているのだけど、平日の夜は三浦徒志郎先生のゆったりヨガにかぎる。Yoginiの別冊に付録で付いていた。フランキンセンスを焚いて、照明を落とし、ゆっくり時間をかけて集中を深めながら身体をほぐしていく。喉のチャクラの詰まりがとれて、時間の流れかたが変わる。時間の質も変わる。身体の動き、身体の中の声だけにぐっと集中する時間はとても大切。先生にいただいたお手紙がすごくうれしかったので、少し遠くにいる友達にとりとめのない手紙を書いてみた。もらうと、書きたくなる。つながる幸せ。
2007.01.17
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ハチミツクリームをつくる。食べ物ではなく、体の乾燥した部分や髪の傷んだ部分につけるクリームです。ハチミツとオリーブオイル、ネロリとカモミールローマンの精油でつくってみた。つけると一瞬、ハチミツが手についてしまったときの、あの引っかかる感じがあるけれど、それは10分くらいで消え、あとにはすべすべのお肌とさらさらの髪が!残ります。ネロリとカモミールローマンのコンビがつくりだす、とびきりやさしい甘い香りで、女性らしい気持ちにしてくれます。ミツロウクリームみたいに持ち歩くことはできないけど、3分で作れるので家でふだん使いするにはぴったり。クリーム容器に指を入れると、ハチミツの感触がふわっとやわらかくて、少しあたたかいのです。指先を、ハチミツのクッションで休ませているみたい。
2007.01.16
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冬が深まり、ぐっと寒くなってくると、ハナレグミなしでは暮らせなくなる。てぶくろやハラマキ(!)と同じくらい、手放せない。中毒性のあるあたたかさ。「家族の風景」、「明日へゆけ」、それに装幀家の有山達也さんのお誕生日を祝った「Happy Birthday」も大好き。去年までは、永積タカシさんが「ハナレグミ」になってからの音楽を聴いていたのだけど、今年はそれに、SUPER BUTTER DOGの「ラ」を追加してみた。うわあ、かっこいい。こんなびりびりするようなファンクをやってたのね、タカシさんは。「コミュニケーション・ブレイクダンス」が大好き。いつだったか、まだ武田真治がホスト役だったころのNHKのトップランナーに、タカシさんが出ていたことがあった。「なぜファンクから正反対にも見える音楽へ?」と武田真治に聞かれて、詳しくは覚えていないんだけど、「歌いたい歌をうたっていたら、しぜんに」というようなことを、心から満足した顔で答えていた。わたしは確か泊まり勤務で会社にいたのだけど、そのタカシさんのシアワセそうな顔を見ていたら、何かのスイッチがこわれたみたいに涙がだらだら流れ落ちてきて、びっくりしたっけ。「サヨナラColor」、何度聞いてもいいなあ。明日は、今日よりも少しだけ背すじを伸ばして歩こうって勇気が出る感じ。「ラ」を何度も聴きながら、ちくわとごぼう、にんじんのきんぴらをつくる。また一週間、がんばろう。
2007.01.15
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今年最初のカウンセリング。年末からの出来事についてひとつずつ振り返る。ぎりぎりのところで、ぐっと踏みとどまって自分を守ったり。長いスパンで、余裕を持って人との関係を考えたり。変わったわねえ。カウンセラーさんが、しみじみと。わたしの考えかた。行動。人との距離のとりかた。変わったのかな。じぶんではよく、わからない。変わった、というより、自分にとって自然にかたちにだんだん戻してきた、という感じかな。最後にカウンセラーさんが、今朝読んだ詩のことを話してくれた。わたしは、あなたの期待に応えるために生きているわけじゃない。あなたも、わたしの期待に応えるために生きているわけじゃない。分かり合えないこともたくさんある。それでも、わたしとあなたが一緒にいることの奇跡。…というような内容だったんだって。しばらくの間、ふたりで黙って、詩のことばをじっと噛みしめる。待ってもらう時間も、大切なカウンセリング。少し先の未来のこと、そろそろ考えはじめる時期なのかもしれない。
2007.01.15
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友達、青豆ちゃんが来てくれるので、お昼からカフェ・ビスケット開店。 本日の香りはマンダリンとメリッサ。 料理はかぶと鶏肉のあっさりスープに焼き野菜マリネ(4色のピーマン、なす、ミニトマト)くるみパンに昨夜煮たりんごジャム。そろそろいい具合につかってきた梅酒を薄めの水割りにして昼間っから! デザートは、青豆ちゃんが持ってきてくれたアンジェリーナのプチモンブランと、ハイビスカスベースの酸っぱいハーブティー。 おなかが落ち着いたところで、近所のコーヒーがおいしい喫茶店へ。 ふたりでコーヒーを一口ずつ飲んだ瞬間、大きなため息が出て、体と心がふっとゆるむ。 シンプルなコーヒー一杯でため息をつかせるって、プロにしかできない仕事だと思う。 今後の人生の展開について、わくわくしながらたくさん話し合う。 こうやって大好きなひととお茶を飲みながら話しているとき、わたしはいちばん頭が冴えて、いろんな新しいことや楽しいことを思いつくみたいだ。 舌が回らなくなるくらい夢中で話して、本当に楽しかった。 最近のわたしは、長い旅をしてふるさとに帰ってきたような感じで生きている。 いろいろな物事を見聞きして、たくさんの人に出会って、お土産もたくさん手に入れて、それでもやっぱりわたしはわたしだ、ということに気がついて、ふたたびふるさとの土を踏んだ青年のような気持ち。 ふるさとの景色は前と変わっていないのだけれど、わたしがだいぶ変化したので、同じはずの景色がまるで違って見える。 これから先は、もう、どこにいても誰と一緒でも、このふるさとを離れることはないだろうと思う。 ちょっと時間のかかる通過儀礼だったのだな、きっと。 大切なものはみんな、最初からここにあった。 それが大切だということをわかるために、冒険が必要だったんだろう。 だから本当に、すべてはいま、ここから始まる。 ああ、わくわくするなあ! 閉店後、ネトルとジンジャーのハーブティーで体をあたためてゆっくり眠る。明日からまた、がんばろう。
2007.01.14
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お風呂にも入らずベッドに倒れ、お昼まで夢もみないで眠った。黒猫さんが荷物をくわえてたずねてきたので、ようやくむくむくと起き出す。ほぼ日に注文していた、うさぎ印の毛糸のぱんつ。薄手なのにあったかそう。これをはいて眠ったらしあわせだろうなあ。考えるだけで口もとがにやけてしまう。お風呂をわかして、昼間っから入る。ローズマリーとユーカリのお目覚めブレンド。少し固くなってしまった食パンを、牛乳にひたしてフレンチトーストに。ハチミツをたっぷり、シナモンで香りをつけて食べる。おいしい、おいしい。お腹がいっぱいになったら、また眠ってしまった。年末にやっぱりほぼ日で買った夕焼け色のブランケット、大きさもあたたかさも、お昼寝にぴったりなのだ。(いま思いついたけど、ブランケット、おうちヨガのときヨガマット代わりに使えるかも!)正月休みを長くもらったから、少し緊張して会社に通っていて、けっこう疲れていたみたい。日暮れ前にがんばって起きあがり、窓を開け、掃除機のごみ袋にティートゥリーの精油を落として掃除する。こうすると、部屋中に爽やかな香りが広がるのですよ。ティートゥリーには除菌効果もあるので、一石二鳥。洗濯機も回し、届いたばかりの毛糸のぱんつをしっかり履いて(ジーパンの下にも履けました。これ、本当にあったかくて安らぐ。おなかをあたためるって、女の人の心をやさしくする)、スーパーへ買い出し。明日は友達が遊びに来るので、ふだんよりちょっと多め。カートを上手に使って、ほとんど荷物を持ち上げることなく自転車のかごに移し替える技も、すっかり上手になった。いい主婦になれるかしら。夕食は簡単に、かぶの葉とハムのパスタ。チーズや生クリームは入れず、かぶの葉を山もりにして、あっさりと食べる。恋人のお母さんにいただいたりんご、まだ冷蔵庫に眠っていたので、一部を小さく刻んでシナモンスティックと一緒に煮る。今回は、最近手に入れたレミパンを使って煮てみました。透き通る直前に砂糖を入れる。早くても、遅くてもいけない。早いとコンポートになっちゃうし、遅いとシロップになってしまう。わたしはりんごの形が残った、アップルパイの中身みたいに歯応えのあるジャムが好きなので、お砂糖は控えめに。おととしはハチミツだけで煮たんだけど、これもなかなかおいしかった。今年もおいしくできたので、明日来てくれる友達と、りんごをくれたお母さんの息子にもおすそわけしよう。あとは焼き野菜のマリネとかぶスープを仕込んで、本日の仕事はおしまい。明日、楽しみだな。
2007.01.13
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昔一緒に働いていた先輩がひさしぶりに東京へ来ると知らせてくれたので、ごはんを食べる。あの2年あまりは死ぬほど辛かったけど、こうして今もわたしを覚えていてくれて、連絡をくれるひとがいる。あんなにしんどかったことが、たった2、3年で笑い話になる。しがらみは消え、きびしい仕事を通じて築いた信頼だけが後に残り、あのころは話せなかったことを、いくらでも、いつまででも楽しく話せる。人生のしくみって、すてき。本当によくできている。帰り道で、「はじめての文学」、ばななさんの巻を買い、ベッドの中で一気に読む。「キッチン」、やっぱりいいなあ。文章は、今のばななさんの方が母性があって好きだけれど。わたしはひとりで引っ越しをするたび、「引っ越しはパワーだ」というあの有名な一節を思い浮かべながら引っ越しをがんばってきたし、仕事で疲れて料理をするのが面倒な夜は、「キッチン」の続編「満月」で、みかげが料理を作って作って作りまくるシーンを思い浮かべてがんばった。おかげで無精者のわたしはいま、引っ越しも料理も相当好きだ。小説と一緒に生きるって、きっと、そういうシンプルなことでいいんだな。あとがきでばななさんが「私は(中略)小説の世界では言葉で魔法を使います」と書いていて、その覚悟の深さに心がしんとした。
2007.01.12
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昨夜、図書館で借りてきた行正り香さんの「ものがたりのある一皿」を読んでいたら、シンプルなのり弁が出てきました。曲げわっぱのお弁当箱に、しゃけと黄色い卵焼きと共に詰められたのり弁。お弁当を持って通学していた中学生、高校生のとき、母がよく作ってくれたなあ。写真を眺めているだけで、お腹がぐーっと音を立てます。で、さっそく、今朝は二段のり弁を作りました。炊きたてごはんの上に、おしょう油をしみこませたかつおぶし。その上にあぶった焼きのり。さらにごはん、かつおぶし、焼きのり。友達の青豆ちゃんが作った梅干しをのせて、完成。おかずはシンプルに、卵焼きと鶏の唐揚げ、ほうれん草のおひたし。お昼まで待ちきれずに、早弁してしまいそう!お弁当を持ってゆくと、ゆっくり食べてもお昼休みが少し余るので、喫茶店に入って、アロマテラピーの勉強をしてみました。問題を解いて、答え合わせ。30分足らずだけれど、時間制限があると逆に集中できて、いいかもしれない。午後の仕事に向けて、気分転換にもなる。家に帰って、お昼に間違えたところを勉強する。そして翌日のお昼に、もう一度解いてみる。というふうに。あんまり無理をすると疲れちゃうけど、お弁当も、勉強も、楽しめる範囲で、少しずつ。全力で駆け抜けるより、周りの景色を楽しみながらゆっくり走るのが、今年のきぶん。
2007.01.11
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ひとり暮らしでさほど大食漢ではないわたしが、かぶをひと束買うと、1週間、さまざまに工夫しながらかぶを食べつづけることになる。かぶはわりと傷みやすいですからね。何よりも葉っぱの量がすごいですし。1日目。かぶの炒めもの2日目。かぶのみそ汁とかぶの葉の卵焼き3日目。かぶの葉とハムの炒めもの4日目。かぶのエスニックふうスープ5日目。かぶの葉とベーコンのパスタ6日目。かぶの葉とクレソンのおしたしという具合。ときにはこれに、かぶの浅漬けゆず風味。が加わることも。ああ、でも、かぶ大好き。毎日食べてるのに全然飽きない。前世はかぶだったのかも。というわけで、今夜もわしわしとかぶを咀嚼し、実家の母と長電話。大人になるって、大切な人を大切だって世界中に向かって堂々と言えるようになることかもしれない。なんて、話しながらふと思う。
2007.01.10
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仕事はじめ。ひさしぶりの労働に体がびっくりして、偏頭痛を起こす。会社の先輩と、お寿司を食べに行く約束をしていたのだけれど、涙をのんで丁重にお断りした。帰宅してすぐ、こめかみラベンダーと、カモミール&ラベンダーのハーブティーで痛みをやわらげる。予約していた本を受け取りに、図書館へ自転車を走らせたら、祝日の振り替えでお休み。行正り香さんと平松洋子さんと堀井和子さんの本、楽しみにしていたのにな。最近は、料理の本が多様化していて、ただいろんな料理の作り方を並べるだけじゃない、料理研究家の個性を出した写真集やエッセイ集、絵本のような楽しい本がたくさんある。わたしはそれらの本を読んだり眺めたりするのが、本当に大好き。心から落ち着く。食いしん坊なのと、料理を作ることも好きなので、おいしそうな料理のヒントを見つけて嬉しくなるというのもあるけど、それだけじゃない。料理って、かならず、ちょっと先の自分自身をふくめた誰かのためにするものだから。誰かを笑顔にしたいとシンプルに願い、そのための何かをこつこつやっているとき、人は誰にもじゃまされない、最高に幸せな気持ちを味わえるんだと思う。少なくともわたしはそう。子どもはお母さんの作るごはんから愛情を吸収して大きくなる。同じように、自分自身の体と心も、自分のごはんでいたわることができる。ひとり暮らしをして、発見したことのひとつ。というわけで、スーパーの新鮮野菜コーナーで、みっちり太ったおいしそうなかぶを買い込む。わが草庵はシンクがこびとサイズなので、泥を落とすのが少し面倒なのだけれど、この季節のかぶのおいしさは、多少の手間には変えられない。今夜は、かぶと豚肉の炒めもの。日経ウーマンに載っていた、平松洋子さんのレシピ。かぶを炒めるなんて珍しいので、試してみる。厚めに切ったかぶの表面が少し透き通ってきたかな、というところでぱっと火を止めたら、かぶがジューシーでとてもみずみずしい。豚の脂と、かぶはとっても相性がいいみたい。今度はもう少し脂の多い肉で試してみよう。旅のお礼状を書いたり、年賀状にお返事をしたり、頼まれていたクリームを作ったりして、あっという間に夜がふける。たまっている用事をちょっとずつ片づけながら、今週いっぱいかけてだんだんエンジンをあたためていこう。---気づいたら、10万アクセスを超えておりました。「絵のない美術館」から「本読みのひとりごと」に引っ越して、もうすぐ丸4年になります。これまで読んでくださったすべての皆さまに、心から感謝します。ありがとうございました。今年も、のんびり書きつないでゆきたいと思っています。よろしくお願いします。
2007.01.09
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朝寝ぼうしてカーテンを開けたら、一面の雪、雪、雪。びゅうびゅうと吹雪いている。雪国生まれなので、雪のたいへんさは知っているけれど、それでも雪は好き。空から降りてくる無数の白い結晶が、風に乗ってくるくるダンスするのを見ていると、心が世界に向かって開いてゆくような、明るい気持ちになる。お昼に間に合わせるため、顔を洗うより先に、豚の角煮を作りはじめる。たっぷりのネギと一緒に、紹興酒で煮るとおいしいって雑誌(なんとTarzan!)に書いてあったので、ぴんと元気のいい雪国のネギをどっさり敷き詰めた上に豚肉を載せ、しょう油と紹興酒と水だけでぐつぐつ煮てみる。しばらく経つと、甘じょっぱい素晴らしい香りが、台所から居間に流れてきた。鍋のそばに炊きたてごはんの丼を持っていけば、匂いだけでごはんが食べられそう。そういう落語、ありますよね。「うなぎ屋」でしたっけ。最後にゆで卵を入れて10分くらい煮込んだら、出来上がり。卵も、いい具合に色づいて、うすく味がしみています。お肉を箸でふわっと離して、ごはんと一緒に夢中で食べる。わたしは角煮、苦手なのに、おいしく食べられた。今度はもっとたくさん作って、冷凍できるかどうか試してみよう。停電の影響で、東京ゆきの新幹線は15分遅れ。15分だけ得した気分。改札の外には、別れを惜しむ人たちがたくさん集まっている。雪ん子舞うホームに入ってくる新幹線がとてもきれいなので、写真を撮ろうと思ったけれど、手を振るのに忙しくて撮り損ねる。雪も暗闇もない街に戻っても、この雪の白さと夜のあたたかい闇を忘れないように。車窓に両手をついて、何度も、繰り返し、まぶたでシャッターを切る。
2007.01.08
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仙台市内観光。写真は、伊達政宗のお墓「瑞鳳殿」につづく石段。瑞鳳殿そのものも極彩色できれいだったけれど、わたしはこちらのさびしげな風情が好き。仙台は、買い物のしやすい街。休日でも、東京のようにひとでごった返していないし、お店がひとつの場所に集まっているから。バーゲンで、赤茶っぽいツイードのキャスケットを手に入れる。この間、友達にキャスケットが似合うと言われて嬉しかったので。試着していたら、火星の方が「ペンギン、ペンギン」というので何かと思ったら、ちっちゃなペンギンのブローチが横についていたのでした。かわいい。目深にかぶって、後ろをたるませるといいって店員さんが教えてくれたので、その通りにしてみる。お洒落というより、何か別の動物のようだ。「はむ…」と後ろで火星の方がつぶやいている。火星でもハチクロは人気なのか?アフタヌーンティーで休憩。わたしはレターセット、火星の方は手触りのいいバクのぬいぐるみを、知り合いの赤ちゃんのために買っていた。赤ちゃん、わるい夢をバクに食べてもらって、夢見がよくなるといいね。年の初めだし。お茶をのみながら、今年の目標を決めてノートに書き出す。アロマテラピーインストラクターの資格をとること。将棋をおぼえること。小説を書くこと。貯金すること。ひとりで考えるより、誰かと話しながら決めると、目標って楽しい。わくわくする。どれくらい達成できるかな?暗くなるころ、仙台を出発。へとへとに疲れて帰り着き、生ラーメンをゆでて食べる。もやしのいためたのと、レトルトのチャーシューものせる。白いごはんもあたためて、競い合うように食べる。疲れたときのラーメンって、なぜこんなにおいしいんだろ。ふたりして、スープまで全部飲み干してしまった。明日はもう少しおいしいもの作るからね。ピンボケしちゃいました。だいぶ腕がにぶっているなあ。写真、撮らなくちゃ。
2007.01.07
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あさ。まだ日がのぼりきらないうちに、ひとっ風呂。しずかだな。川の流れるこころよい音。鳥の鳴く声。ぽかぽかとあたたまるからだ。温泉でおなかをぺこぺこにして、朝ごはん。朝もちゃんとお部屋に運んでくれるのです。食後のコーヒーは、小ぶりの水筒に入っていた。冷めないように、という気持ちがあたたかい。宿を出るころ、冷たい雨がばさばさと降りだした。車で、近くの観光施設へ行く。ビール工場や雑貨屋さん、教会などがひっそりと集まっているところ。全体的に、店員さんは愛想がよくないけれど、アイスクリーム屋のおばちゃんはやさしい。トイレに行っているあいだ、食べかけの塩アイスを冷蔵庫に入れておいてくれた。アジアふうの雑貨やさんで、めずらしいホワイトオニキスのたまごを発見。手に取ったらすごく落ち着く感じがしたので、ひとつ買う。雑貨屋の兄ちゃんは「これ、会社帰りのサラリーマンが買っていくんですよ!」と言っていたが、こんな山奥、それも仕事がひけた後で、本当にサラリーマンが来るのだろうか。白いオニキスのたまごを買いに?福島を離れ、仙台へ。今夜は、恋人がむかしお世話になった先生の家へ泊めていただくのです。先生はきれいな銀髪に白ひげを生やし、熊のように体がたっぷりとしている。隣にいる小柄できれいな奥さんが、兎のように小さく見えるほど。初めてお会いするにもかかわらず、酒が一杯入った途端、体と頭の芯がかっかしてきて、またも夜中までべらべらしゃべるわたし。いやはや。先生はゆっくりゆっくり、噛みしめるように話すので、人より話しはじめるのに時間がかかるわたしも、安心して自分の思うことを言える。ふだん陽気な火星の方は、めずらしく言葉数少なに、神妙な顔で先生の話を聞いている。ほとんどしゃべらないのに、深くリラックスした様子のこのひとを、わたしは初めて見たかもしれない。ひとりの人間の中には、無数の表情が眠っているものだ。布団に入ったら、ぴゅうう、ぴゅううと風の鳴く声が聞こえた。ときどき、窓ガラスががたがた揺れるのも、あたたかい家の中にいればだいじょうぶ。わたしは守られている。そう言えば、いま読んでいる本に「女性は『セキュリティ』の感覚を欲している」というようなことが書いてあった。女は子どもを産み育てる性だから、安全や安心を求めるのは自然なことだ。頭でいろいろ考えることと違って、これは本能だもの。あれこれ思いをめぐらせながら、眠りに落ちる。…写真、上手に撮ったつもりだったのに、ちょっと曲がってしまったよ。
2007.01.06
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早起きしておにぎりをたくさん作り、車で出発。今日は、ひなびた温泉宿へ行くのです。「露天風呂つきの部屋に泊まりたい!」と酔っぱらったわたしが口ばしったのを恋人が覚えていて、内緒で宿をとっておいてくれたのです。 いやはや、そのことを知ったときは、さすがのわたしもちょっと泣きました。鬼の目にも涙というやつです。 お昼すぎ、公園でいったん車を止めてお弁当。おかかおにぎりにだし巻き卵、焼き色をつけたウィンナー、昨日の豚汁の残り野菜で作ったきんぴら、しば漬け、というありあわせ弁当ですが、青空の下で食べるとおいしいんだな、これが。最後にひとつ残ったおにぎりは、半分こして食べました。車を走らせること3時間。宿は、小ぢんまりしたやさしい雰囲気。広いお部屋に、渓流を見下ろせる源泉掛け流しの露天風呂がついてます。 掘りごたつまであります。 畳は床暖房になってます。こんなの初めて見たよ! 夕食には、ひな鶏の丸焼きと、まだ動いているイワナの活け造りがついてきました(写真、撮ったんだけど、二次元で見るとけっこうこわいのでのせません)。 山の中だから食事は期待していなかったのに、あたたかいものはあたたかく、魚は冷凍のお刺身じゃなく、名物の川魚をできるだけ新鮮に食べてもらおうという心遣いがうれしいですね(旅のレポーターふうに)。部屋のお風呂のほかにも、旅館の中にたくさん貸し切り温泉があるので、つごう6回、お風呂に入りました。 それにしても、いちいち浴衣の着崩れを直してバスタオルとあれこれをかき集めなくても、入りたい気分になったら隣の部屋がすぐ温泉。すばらしい。お風呂上がり用に、大きな水筒に入った冷水が用意されているのもうれしいサービス。ああ、贅沢なお正月だなあ。
2007.01.05
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ひさしぶりにひとりで過ごす一日。 ゆっくりごはんを作って食べ、カメラを抱えて近所の公園を散歩する。 今年はふだんの年より雪が少ないのだけれど、それでも一面雪が積もっている。 東京にときどき降る雪よりもうんと水分の少ない、さらさらした雪。 近くに保育園があるので、雪の野原には小さな足跡がたくさん。 その足跡の上にも、次に降った雪のヴェールがうっすら積もっている。 公園に隣接する林から、「ぱりぱり」「ばりばりばり」と雪解けの音が聞こえてくる。 排水溝を、雪解け水が軽やかな音を立てて流れている。 まだ固い梅のつぼみ。 分厚い雲の間から差す午後の光。 頬に触れてゆく空気の冷たさ。 この場所では、静寂も、暗闇も、混じり気なしの本物なので、木や草や動物の作り出す音や感触、においを、都会にいるときより数倍はっきりと感じることができる。 家に帰って、いつもよりていねいに野菜を刻み、料理をする。 自然の存在感が大きいせいか、にんじんのひとかけらもむだにしたくないような気持ち。 この家はキッチンが広いので、あせらずに作業ができてうれしい。 どんな場所にいても、こうやって料理をすると、凛と背すじが伸びて、気のめぐりがよくなる。 このあいだ友達に教わった秘密の方法でスープを煮たら、とてもおいしくできた。 そもそも、こちらのスーパーに並んでいる野菜は東京のそれより圧倒的に元気がいいし、お米だっていつまでも噛みしめていたいほどおいしいのだ。 好きな人たちと過ごす時間はかけがえがないけれど、日々を前向きに暮らすには、ひとりでゆったりと過ごす時間が欠かせない。 たっぷり充電したので、明日からまた、大切な人にやさしくできるように。
2007.01.04
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今日も雪は降らなかった。ぽかぽかいい天気です。ストーブの周りに椅子を並べて、おにぎりを食べながらみんなで箱根駅伝をみる。おにぎりが本当においしくて、続けざまにふたつ、むしゃむしゃ食べる。箱根駅伝、今まで何がそんなにいいのかよくわからなかったのだけど、昨日は実家で往路を、今日はこちらで復路をじっくり見たら、いろいろドラマがあることがわかって少し好きになる。順天堂がゴールテープを切るのを見届けて出発。山道で車に酔い、わがままを言いすぎて、温和な火星の方を怒らせてしまう。このひとを怒らせるなんてよっぽどだ。たいへんだ。怒られるのがめっぽう苦手なので、めそめそする。異星間対立。めそめそしたまま、東北で働いている学生時代からの友達と、ひさしぶりに会う。わたしは彼女が大好きなので、会っている間はとても元気が出て、楽しい気分。そして彼女に手を振った後、まためそめそする。めそめそしすぎて何だかおなかが空いたので、ごはんをたくさん炊いて、おみそしると漬け物でわしわし食べる。うまい、うまい。ごはんのおかげで、火星の方との緊張関係もゆるむ。明日はひとり、火星の方の部屋で留守番。おいしいごはんを炊いて、待っててあげようっと。
2007.01.03
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新幹線で、雪国へ。降りたら、待っていてくれた向こうのお母さんに「おかえり」と言われてちょっと泣きそうになる。そのまま初詣へ。今年は雪が少なくてあたたかい、とお母さんも息子も口を揃えるけれど、関東とこちらでは、「寒い」の種類が全然違うのだ。気温が低いのはもちろんなんだけどそれだけじゃなく、東北は潔く寒い感じがする。外に出るときは、油断なくしっかり防寒をして、家の中に入ったらがばっと脱げばいい。そういうの、わたしは嫌いじゃない。ピークを過ぎた参道は、人もさほど多くなく、暖色に灯ったちょうちんの間をゆるゆるとのぼる。「何か、この風情に合う歌はないの?」と聞かれて、こよいあうひとみなうつくしき。大好きな与謝野晶子の下の句を心のなかでつぶやく。けれど今は春じゃないし、こないだ来たとき夜桜を見て思いついたのも同じ歌だったから、知識の少ないのが恥ずかしくて黙っている。今年もがんばりますので見守ってください、と神さまにお願いし、おみくじを引く。小吉。小さなさいわい。仕事。将来の展望を踏まえた判断を。健康。健康診断を受けること。恋愛。相手の人柄は、あなたが思っている以上である。どうだった、と恋人の手元をのぞき込んだら、彼のも小吉だった。お互いに顔を見合わせる。相手の人柄は、思っている以上である。彼はおみくじを木の枝に結び、わたしはたたみ直して財布にしまう。参道を降りてきて、串にさしたもちを炭火の周りに刺して焼いたのを食べる。もちにほんのり甘みがあって、やわらかくておいしい。そうこうしているうちに、雨が降ってきた。慌てて車に乗り込む。お母さんのかばんにはいつもチロルチョコが入っていて、今日はきなこもち味。ひとつもらって食べる。家におじゃまして、実家の母に持たされたお土産を取り出す。かに。とば(鮭の薫製)。ローストビーフ(なぜ?)。それからハンドクリーム。喜んでいただいて、嬉しい気持ち。しゃぶしゃぶをたくさんいただく。途中で恋人の弟と、その友達が来る。弟の友達は、びっくりするほど松潤に似ている(わたしが酔っているからか?)。楽しくてつい酔っぱらってしまい、しゃべりすぎる。わたしの悪いくせ。最後に入れたうどんがものすごくおいしくて、ずるずるたくさん食べる。明日は雪、降るかな。
2007.01.02
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