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2008.02.18

クラッシュ　もし自分がロサンゼルスに住んでいるならどうするだろうか考えさせられました。

(2)

テーマ：おすすめ映画(4100)

カテゴリ：映画鑑賞レビューか→こ

★★★★★ の映画
クラッシュ （2005／アメリカ）の登場人物について触れます。

　監督は、テレビ界で数々の賞を受賞した後、
　77回アカデミー賞作品賞受賞の「ミリオンダラー・ベイビー」で脚本、
　翌年映画監督デビュー作「クラッシュ」が、
　78回アカデミー賞作品賞に輝いたポール・ハギスです。

　真面目で人を愛する心を持っているが、
　上手に人間関係を築けず、母親との確執もある、
　どこか投げやりに見える黒人刑事 グラハム （ドン・チードル）が、

　相棒であり恋人のヒスパニック系リア（ジェニファー・エスポジート）
　が起こした自動車事故現場の近くで、
　黒人青年の死体を見つけるところから
　36時間前にさかのぼって物語りは始まります。

ドン・チードル

　病気の父親の看病疲れから、
　現在の境遇に不安と不満を感じ、
　苛立ちを黒人にぶつける白人警官 ライアン （マット・ディロン）。

　ライアンの偏見と差別に反発する人道的な
　相棒の白人警官 ハンセン （ライアン・フィリップ）。

　黒人のテレビディレクター キャメロン （テレンス・ハワード）は
　白人社会で妥協しながら出世した。
　妻 クリスティン （タンディ・ニュートン）が白人警官ライアンに
　理不尽な屈辱を受けるが、抵抗ができず、
　プライドを傷つけられ、妻にもなじられ、自暴自棄になる。

テレンス・ハワード

　黒人青年 アンソニー （リュダクリス）は差別に過剰に反応し、
　ヒップホップさえもが黒人差別だと論じる。
　差別は気にせず友好的で屈託無い ピーター （ラレンズ・テイト）を
　誘い二人で自動車強盗を繰り返す。

リュダクリス＆ラレンズ・テイト

　地方検事 リック （ブレンダン・フレイザー）は
　仕事柄世間体ばかり気にして、人種問題は出世に利用している。
　妻 ジーン （サンドラ・ブロック）は常に苛立ち、
　周りの人間に露骨に感情をぶつけ、差別と偏見に満ちている。

　ベルシャ系の小売店主 ファハド （ショーン・トーブ）は,
　アラブ系と勘違いされることに苛立ち、護身用の銃を買う。
　英語があまりわからない。

　ヒスパニック系の鍵屋 ダニエル （マイケル・ペーニャ）は
　愛する家族のために差別にも屈せず真面目に働いている。

　以上、陽まわりが感じた登場人物の人間像です。　
　これらの人々が車を媒体として繰り広げる群像劇です。

　心に残る登場人物はまだいます。
　ダニエルとファハドとの衝突で、
　それぞれの娘の存在が美しくファンタジーのようです。
　親を思う気持ちに心温まり、
　彼女たちの行動は心強く感動的でした。

　キャメロン夫妻の出来事は衝撃的ですが、
　夫婦のあり方を考えさせられました。

　白人警官の心のヒダは深く、
　アメリカ社会の暗を表現していて辛く悲しいです。

マット・ディロン

　善良な人間が、
　いつの間にか良心を見失い、
　偏見と差別意識を身につけてしまう悲しい大国。

　人は人を必要とする。

　愛し合い、憎しみ合い、殺し合い、助け合う。。。

　自分を見失わない心の強さを求められる。

　人間の持つあらゆる感情の中で、
　繋がり、交差し、連鎖する人間ドラマの傑作です。
　スリリングな展開に目が離せません。

　一枚の風景画の名作を見たとき、
　描かれていない周りの風景まで想像できるような、

　劇中の二日ほどの出来事は、
　登場人物の人生の断面で、
　それ以前の過去、これからの未来が見えるような
　奥行きのあるすばらしいストーリーです。　

　全編を通して流れる美しい音楽と、
　一筋の明るい兆しも垣間見える後半は、
　暗く重いテーマを人間味溢れる
　壮大な抒情詩に仕上げています。　　

陽まわりのおすすめ度 ★★★★★

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