CAPTAINの航海日記

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2012.09.14
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数日前に こちらの日記
平行線をたどる議論の中で「イオンモール伊達とイオン福島店が共存できないと考える理由を5つ以上、箇条書きで述べて下さい。」というご意見を頂戴しましたので、このスペースを拝借して、持論を述べたいと思います。

◎理由その1 伊達市や福島市を包含する商圏の狭小さ
どの商業施設にも当てはまることですが、出店にあたってどの程度の来客が見込まれるのか、いわゆる商圏人口の分析は、必要不可欠な作業です。イオンモールの出店状況について軽く確認してみたところ、地方圏においては概ね20万人台半ばから50万人程度の商圏人口を想定して出店を決めているようです。
ちなみに、イオンモール伊達の出店に伴い想定される商圏は、いわゆる信達地方(福島都市圏、市外局番024(5)の地域)の枠内に留まります。この区域の推計人口は今年8月1日現在で385,175人であり、この範囲内から満遍なく集客できるのならば、イオンモール出店は一応可能ではあります。
が、信達地方には、既にイオン福島店が進出しています。施設面積2万平米を超えるこの店舗を維持運営させていくためには、15万人以上の商圏人口が必要になると考えられます。従って、イオンモール伊達とイオン福島店が併存した場合オーバーストア状態となり、少なくともイオンにとって旨みのある状況にはなり得ません。
加えて、信達地方は、人口減少が著しい地域でもあります。昨年3月1日現在の推計人口が396,059人でしたから、わずか1年5ヶ月の間に1万人以上も減少しています。もっともこれは原発事故の影響によるところが大きいので今後はもう少しペースが鈍るでしょうが、それでも年率1%(4,000人弱)程度の減少は避けられないと思われます。
オーバーストアの上に年々縮小するパイ…これが、両店が併存できないと考える第一の理由です。

◎理由その2 イオンは店舗のスクラップアンドビルドが得意
前エントリでも書きましたが、2006年にイオンモール盛岡南がオープンするのと相前後して5キロほど離れた所にあるサティが閉店し、イオンモール内へと実質的に移転するという出来事がありました。イオンは、このような店舗のスクラップ&ビルドを積極的に行う企業として知られています。

新店舗開店の前後の違いはあれども、開店から数年までの期間に既存店舗が閉店してしまうケースは、この他にも数えきれないぐらいあります。イオンモール伊達が開店した場合、先に述べた商圏人口の縮小を考えると、イオン福島店もまたその対象になる可能性が高いと、私は考えます。

◎理由その3 周辺諸地域にあるイオンの存在
しかし、福島都市圏と同じく商圏人口の縮小に悩みながらも複数のイオンモールやSCを維持している都市圏も、存在します。
その代表例が、秋田都市圏。人口規模は福島都市圏と同程度ですが、市南部の御所野地区にイオンモール秋田、市中心部の楢山地区にイオン秋田中央店(旧サティ)、更に市北部の土崎地区にイオンを核店舗とした土崎ショッピングセンターが所在します。
このうち土崎ショッピングセンターについては施設面積8千平米程度の小規模店舗なので地元の需要で運営を維持できるものと思われますが、それを除いてもイオンモール秋田とイオン秋田中央店が共存しているのだから、驚かされます。
そこでちょっと調べてみたのですが、どうやら両店の間で顧客ターゲットの住み分け戦略を行っているのが共存の背景にあるようです。つまり、イオンモール秋田は買回品を中心とした品揃えでほぼ秋田県全県からの集客を目指し(一時期モール内に中三百貨店が入居していたことからも、その傾向は伺えます)、イオン秋田中央店は最寄品を中心とした品揃えで秋田市内の顧客を確実にゲットしていくという手法。
ただし、この手法は、イオンモール秋田から100キロ圏内にイオンモールが存在しないからこそ取り得る選択です(最も近くにある盛岡や三川のイオンモールでも100キロを超えます)。福島都市圏に目を転じると、100キロ圏内に名取、山形南と既にイオンモールが二ヶ所進出している他、郡山市のフェスタも肩書こそイオンモールではないものの施設面積的には他のイオンモールと遜色ない規模を誇っているため、イオンモール伊達が秋田のような戦略をとったとしても、広域的な集客は期待できません。
つまり、周辺諸地域にあるイオンの存在が、イオンモール伊達進出のネックになっていると、考えることができるのです。

◎理由その4 はびこる地元企業
山形県の話に戻りますが、ここはイオン(ジャスコ)が早くから進出していた一方で、かつてはダイエーもまた、積極的に進出していました。山形交通や庄内交通といった地元のバス会社とタッグを組んで、山形市、酒田市、鶴岡市といった規模の大きな都市はもちろんのこと、尾花沢市、長井市、高畠町といった小都市にまで出店していたのです。
ところが、ダイエーの経営不振により、これらの店舗は2005年までにすべて閉店することとなります。
そこにつけ入ったのが、イオンと言えなくもないでしょう。山形県内のイオンは一見オーバーストアのように見えなくもありませんが、ダイエー撤退というニッチがもたらしたものという見方は、できると思います。加えて言えば、地元スーパーのヤマザワがほぼ食料品と医薬品(同社の創業部門)に特化しているため衣料品や日用品では競合しないという環境も、イオンにはプラスに働いているかもしれません。
逆に福島県を見ると、ヨークベニマルやダイユーエイトといった地元企業が、かなり元気です。衣料品にはやや弱いですが食料品や日用品には絶対的な強みを見せていますし、ヨークタウンやエイトタウンといった他のカテゴリーキラーとタッグを組んでオープンモール型のショッピングセンターを展開してもいます(ただし、福島都市圏にはエイトタウンはありません)。また、他県から転居した私から見ると、住民からの地元びいきも、非常に強いものがあるように感じられます。「イオンモール伊達出店促進協議会」さんも、「伊達にイオンモールができてもヨークベニマル伊達店はつぶれない」旨の発言をされていましたし(笑)


◎理由その5 「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」の存在
結局のところ、イオンモール伊達の進出計画が進展しないのは、この条例の存在がネックになっているからでしょう(笑)
ただし、この条例、不可解な部分もあって、伊達や湯川村のイオンモール計画にはNO!を出すくせに、同じく店舗面積6,000平米を超えている地元出資のメガステージ須賀川は特段の問題もなくOKが出ていたりします。この施設もまた既存の商店街を壊滅に追い込んでいるのにこの違いはいったい何なんだろう?と、疑問を商業施設の出店事情に詳しい方にぶつけたら「根回しの問題じゃないか?」といった回答を頂戴したのですが、個人的には、福島県民の「地元企業びいき」が県政にも蔓延しているのではないか? と首をかしげざるを得ません。
他県資本、中央資本の排斥とも言えるこの状況が続く限り、イオンモール伊達の誘致は非常に難しいものと言えるでしょう。
私は、この条例は、悪法以外の何物でもないと考えます。大型店の出店が半ば理不尽な形で規制され、「買いたいものが買えない⇒購買力の県外(特に仙台都市圏)への流出」という悪循環に繋がっています。その一方で、ヨークベニマル、ダイユーエイト、メガステージ(アクティブワン)といった「地元の大企業」は何事もなく新規出店を続けており、条例が当初目指していた「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」とは正反対の状況が進行し、新たなシャッター通りが生まれつつもあります。本当に商店街を活かしたいのであれば、小規模なカテゴリーキラーの進出も、厳しい規制をかけるべきだと思います。
イオンモール伊達の誘致運動は、そんな福島県の閉塞的な商業状況を打破する突破口になり得るし、私も応援します。ですが、これまでに述べた背景から、代わりにイオン福島店を諦めざるを得ないだろうと考えています。正直、ジレンマです…


長くなって、大変申し訳ありませんでした。





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Last updated  2012.09.15 06:37:05 コメント(4) | コメントを書く
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