CAPTAINの航海日記

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2014.05.30
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テーマ: ザ大学(732)
東北地方の医学部誘致合戦。ついに宮城県政が、東北福祉大学の構想を引き継ぐ形で誘致を表明しました。この構想が現実のものになる可能性は、恐らくかなり高いだろうと考えます。
というか、これ、予定の行動だったと思います。このプランを描いたのはあくまでも宮城県政なのですが、最初から県政が前面に出てしまうと「東北地方のための医学部なのに医師の供給を宮城県に独占されてしまう」という反対の声が周辺各県から上がるのは火を見るより明らかだし、そもそも宮城県の村井知事自身が「民間でできることは民間で」という新自由主義的な思考の持ち主(仙台空港の民営化構想などに、その思考が反映されています)。だから、当初は東北福祉大学を前面に立てておくけれど文部科学省への申請締め切り直前の時点で財政上だの何らかの理由をつけて撤退させ、宮城県政が「仕方ないな~」的なスタンスで登場する…という田舎芝居を、関係者がこぞって演じたのではないかと推察します。考えてみたら、東北福祉大の萩野学長は元国会議員だし、そういう腹芸の心得も一応備わっていそうですしね。萩野学長は医学部誘致からの撤退に際して「(医学部新設は)一私大でできる話ではない」と述べたそうですが、この発言、ライバルの東北薬科大学と南東北病院への恫喝に聞こえなくもありませんね。
で、その誘致を予定している栗原市のキャンパス(栗原中央病院付近)の状況ですが、栗原市役所のある旧築館町の市街地の北、新興住宅地と田畑が混在している一角に位置しているので、新規の土地取得が比較的容易であり、東北薬科大学や南東北病院のようなキャンパスの「手狭感」は解消できるかと思います。病院の前を東西方向に走る市道栗原中央線は現在でこそ国道4号線と病院付近とを結ぶ短距離路線に留まっていますが、将来的には東側が東北新幹線のくりこま高原駅、西側が旧一迫町中心部まで延伸する計画を有し、全通時には1キロほど南を通っている市内の東西軸・国道398号線のバイパス的な役割を有する幹線道路へと発達する可能性があります。くりこま高原駅からは現時点でもバスで10分少々の距離にあり、新幹線との乗り継ぎが上手くいけば、授業内容がさほどハードではない下学年のうちならば仙台市内からでも通学することは可能かもしれません。また、旧築館町と仙台市とは高速バスでも1時間少々で結ばれているので、医学部への通学はもちろんのこと、仙台市内から栗原中央病院まで通院する人も、一定数現れるかもしれません。「栗原市に大病院を建設して採算が取れるのか」との疑問の声もあるようですが、杞憂に終わる可能性が高いと考えます。
ただ、その一方で、医学部誘致にあたって栗原中央病院を拡張する際、市内南部の旧瀬峰町にある県立循環器・呼吸器病センターを移転させる予定がある他、市内北西部の旧栗駒町文字(もんじ)地区では宮城県内における放射性廃棄物の最終処分場の建設計画があり、一部の住民からは医学部誘致とバーターで最終処分場も建設されるのではないかとの懸念の声が挙がっています。つまり、同じ栗原市内でも旧築館町は医学部特需で潤う可能性があるかもしれませんが、旧瀬峰町では病院が消え、旧栗駒町ではNIMBY施設を押しつけられ…という事態になれば、市内での格差が広がる恐れが多分にあります。栗原市は2005年に平成の大合併で誕生した新設市ですが、他の新設市でも見られる「市内での一極集中」が、栗原市では今後露骨な形で現れるかもしれません。佐藤市長(この方、村井知事と同じく関西出身だそうで…)のかじ取りにも、要注目です。
そう言えば、宮城県政が発表した医学部の定員が相場の100名より少ない「60名」だったことにも、少々驚きました。これが運営上の限界とも考えられますが、「東北地方6県に医師を10名ずつ供給する」という意味を込めているのかもしれませんし、更に妄想を飛躍させれば、道州制推進論者でもある村井知事には道州制施行後における「東北州立医科大学」構想もあるのでしょう。
だからこそ、医学部誘致を表明した南東北病院の主張は、大きな意味を持ちます。福島県が置かれている立場は決して「東北地方の6分の1」には留まらないと思うし、仮に栗原市に医学部設置が決まったとしても、福島県への優先的な医師供給を図るように働きかけて欲しいものです。もっとも、そのためには福島県の医師界において福島県立医大以外の出身者を働きやすくさせるなどの機構改革(というか、一種の学閥解体)が、必要になると思われますが…


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Last updated  2014.05.30 13:03:51
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