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・9、19、水
読者の方からあるサイトを紹介いただき、平井憲夫さんという方の記事を読んだ。
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html#page1、
読んだ長文は、21まである項の一つ目である。
読み終わって僕はしばらく動けなかった。
少なからずのショックを受けたのだ。

彼は1級プラント配管技能士として、原発内の現場で長く働いて来られた方だ。
「1997年1月逝去」とある。
内容から、彼がこの膨大な告白文を書いたのは亡くなる一年前ということが分かる。

話の内容から推察すると、彼は49歳か50歳で亡くなっている。
「私は原発反対運動家ではありません。
 二十年間、原子力発電所の現場で働いていた者です。原発については賛成だとか、危険だとか、安全だとかいろんな論争がありますが、私は「原発とはこういうものですよ」と、ほとんどの人が知らない原発の中のお話をします。そして、最後まで読んでいただくと、原発がみなさんが思っていらっしゃるようなものではなく、毎日、被曝者を生み、大変な差別をつくっているものでもあることがよく分かると思います」
という書き出しで綴っている。
設計者が原発の危険を訴える例はあるのだが、現場の作業員が本当の事情と悲惨な現場の嘘に対して重い口を開く例が皆無であると彼は言う。
机上と現場では大きなずれがある、机上で計算された安全は、現場では全く安全とは言えない事実を語る。
また、54機この国にある原発は、運転すれば空に向かって24時間放射能物質をばら撒く。
燃料棒を冷やした水は、恐ろしく高い放射能の値を含んだ熱湯となって、海に垂れ流される。
だから原発の周り半径100キロメートル内に住む人は一年中被曝するし、日本の周りぐるりと囲む海はすべて汚染されている。
例えすべての原発を止めても、核分裂し続ける使用済み核燃料は建物内に生き続けるし、処理する場所も方法もない。
原発を開始した時点で、すでに引導は渡されたということだ。

そして平井さんの警告は押し流され、2011年3月に結果が出た。
この国は狂人によって何処かに導かれている。
我々が知らされていない、もしくは故意に騙されて間違った知識を植えつけられてい
る現状に気付き、素人なりの勉強を始めなければならない。
平井さんの記事から、我々が身を寄せているこの船は明らかに破滅に向かっていることが分かるし、皆が知識を持つことがとても大事であることに気付く。


ーーーーー
[武器]
 正義は武器に似たものである。武器は金を出しさえすれば、敵にも味方にも買われ
るであろう。正義も理窟をつけさえすれば、敵にも味方にも買われるものである。古
来「正義の敵」と云う名は砲弾のように投げかわされた。しかし修辞につりこまれな
ければ、どちらがほんとうの「正義の敵」だか、滅多に判然したためしはない。
 日本人の労働者は単に日本人と生まれたが故に、パナマから退去を命ぜられた。こ
れは正義に反している。亜米利加は新聞紙の伝える通り、「正義の敵」と云わなけれ
ばならぬ。しかし支那人の労働者も単に支那人と生まれたが故に、千住から退去を命
ぜられた。これも正義に反している。日本は新聞紙の伝える通り、――いや、日本は
二千年来、常に「正義の味方」である。正義はまだ日本の利害と一度も矛盾はしなか
ったらしい。
 武器それ自身は恐れるに足りない。恐れるのは武人の技倆である。正義それ自身も
恐れるに足りない。恐れるのは煽動家の雄弁である。武后は人天を顧みず、冷然と正
義を蹂躙した。しかし李敬業の乱に当り、駱賓王の檄を読んだ時には色を失うことを
免れなかった。「一抔土未乾 六尺孤安在」の双句は天成のデマゴオクを待たない限
り、発し得ない名言だったからである。
 わたしは歴史を翻えす度に、遊就館を想うことを禁じ得ない。過去の廊下には薄暗
い中にさまざまの正義が陳列してある。青竜刀に似ているのは儒教の教える正義であ
ろう。騎士の槍に似ているのは基督教の教える正義であろう。此処に太い棍棒がある
。これは社会主義者の正義であろう。彼処に房のついた長剣がある。あれは国家主義
者の正義であろう。わたしはそう云う武器を見ながら、幾多の戦いを想像し、おのず
から心悸の高まることがある、しかしまだ幸か不幸か、わたし自身その武器の一つを
執りたいと思った記憶はない。

                              芥川龍之介





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最終更新日  2012.09.20 01:23:53
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