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・10、6、土
夏目漱石の「吾輩は猫である」にようやく手を付けている。
今丁度真ん中ぐらいまで読み進んだが、読む前から感じていたように、猫を主人公にして人間社会を論じさせるなど、余りにも月並みである。
だがその月並みがおそらく誰にも真似できないほど巧みで、かつ退屈させない。
猫の目からみた世界であるから、ほんの限られた範囲の話である。
登場人物が家を出てしまえば、ほとんどその行き先を追って描写することはできない。
おそらく初めから家の中だけで繰り広げられる様々な会話や持ち込まれる説明だけに限って話を書くつもりだったのだ。
だからこそ猫の視線でなくてはならなかった。
半ばまでの内容のほとんどが主人を訪問して来る人々の嘘話やむちゃくちゃな哲学や理論によって構成されていて、人の会話の中でしか広い世界に出て行くことはできない。

この辺についてはもっと読み進んでから述べたいと思う。

漱石の後の時代を担う作家たちが口を揃えて彼を崇拝している。
もちろん芥川龍之介にしてもそうだ。
中野重治も言っている「漱石が巨人なら、私などは洟垂れ小僧だ」と。
どの明治の文豪も素晴らしい作品を生み出しているが、ただ漱石だけに感じるものは、テンポの良さ、理屈の巧みさ、知識の豊富さ、独特なひょうきんさであろう。
そして舞台が東京下町の中流階級、すなわち現代の我々と同じ世界であり、それがとってもほっこりさせられ居心地の良い感情を引き起こす。
電車の中で何度も噴出すような文章を、よくまあ江戸の封建時代崩壊後から間もなくに書けたものだ。
近代文学の扉を開いた人であり、ほとんどの人がある意味ではその扉をくぐれずにいるのだろう。
しかし中学生にこれを読んで感想を言えと言っても、表面の漫画的な文章の裏に据えてある問題を読み取ることは無理だろう。
ならいっそ年を取るまで読まずにいる方が、子供の時に無理やり食べさせられて拒否感が取れないピーマンみたいにならずに済む。
後半を読んで、また新たに感想を述べたいと思う。





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最終更新日  2012.10.12 22:00:47
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