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2019年03月30日
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Claas Relotius のジャーナリストとしての最後の年、2018 年 3 ⽉に『Die letzte Zeugin』が掲載された。あるアメリカ⼈⼥性についての極めて興味深いストーリーだ。法律により死刑執⾏には⼀般市⺠の⽴会が定められており、彼⼥は自らその役割を務めている。彼⼥は死刑に賛成しており、この役割を通じて国家の役に⽴つことが義務だと考えている。さらに Relotius は彼⼥にドラマチックな個⼈的な体験を付け加えて、彼⼥の所作を細部まで伝えている。Relotius は彼⼥に同⾏したと主張する。ストーリ全体を通して彼は彼⼥のそばにピッタリと付き添っているようだ。この様⼦はすでに記事冒頭部分に⾒られる。彼⼥が Missouri 州 Joblin の⾃宅を出る場⾯である。

「(彼⼥は) ⾒知らぬ男の死を⾒届けるのだ。彼⼥はドアをしっかりと閉め、カギを三度回し、そして⼈気のない道を歩いて、停留所へと向かった。彼⼥は、Texas 州 Huntsville ⾏き Greyhound バスの乗⾞券を 141 ドルで購⼊した。往復切符だ」

あっというまに感情移⼊させるような⼈物描写であり、なかなかの書きっぷりだ。この記者は明らかに多くの時間を登場⼈物と共有にしたかのようにみえる。またよくあることだが、彼⼥は本名が新聞に出ることを望まなかった。その気持ちは理解できる。そこで Relotius は彼⼥に Gayle Gladdis という名を与えた。

「彼⼥は前⽅右側の席に座った。バスの⻑旅で彼⼥はよく気分が悪くなるという」

または:
「Gladdis は深く息を吸い込み、握った両⼿を膝に押し付けると、指の関節が⽩く浮き上がった」

または:

「ブラウスと⼗字架のネックレスを⾝に着けた彼⼥は、聖書のページをめくった。頻繁に読むらしく、聖書の表紙は⻩⾊くなり、ページにはしわが寄っている。彼⼥はレビ記第 24 章を開いた。そこには次のように書かれていた『かりそめにも⼈を打ち殺す者は、必ず殺される』」

まったく完璧である。ただ、そこに事実はない。どれもこれもウソだ。Claas Relotius はアメリカで刑場に⾏く⼥性に同⾏などしていない。⼀緒にバスにも乗っていないし、レビ記だって読んでいない。彼は 40,273 ⽂字を使って捏造記事を書いたのだ。2018 年第 10 号の 5 ページと 1 段分、58 ページから 63 ページまで。捏造記者の間でも、これは⼤記録だと⾔われるだろう。



⾏き詰まり、先に進めなくなり、そしてストーリーが思い浮かばなくなると、話を捏造しはじめるのだと Relotius は⾔う。そして彼は虚偽を含む⽂章を書き、それをそのまま活かした。彼⾃⾝も⾃分のやっていることが⽩々しくて⾺⿅げているように感じることがあり、執筆中の⾃分⾃⾝に語りかけたという。

「おい。お前、正気か︖絶対逃げ切れないぞ︕」

Relotius と話して受ける印象は、彼の世界が崩れ落ちてから、⾃分⾃⾝をメタファーで表現する術を探しているような感じだ。しかし彼はまだそれを⾒つけていないようだ。

この数年間、彼は捏造記事を書いて楽しんでいたのだろうか。 巧みな記事の出だし、美しく描写された場⾯、描かれた細部のすべてがすっかり偽物であっても、彼はそれを喜んでいたのか。⽊曜⽇にこの質問をしたとき、彼は⾸を横に振った。Relotius は⾔う。捏造記事を書く⾃分⾃⾝に対して不快感を感じていた。申し訳ないと思うし、やってしまったことすべてをとても恥じている。そして彼の周囲に対してやってしまったことに、やっと気が付いたと。Claas Relotius は⾔う。何かが上⼿くいかないし、それをどうにかしなければならないと。

「私は病んでいる。助けが必要なのです」

さらに彼は 『Ein Kinderspiel』を書いた。これは彼の最後の仕事となった。3 週間前の⽉曜⽇、12 ⽉3 ⽇にこの記事は、2018 年ドイツ報道記者賞の最優秀賞を獲得した。2018 年 6 ⽉ 23 ⽇発⾏の SPIEGEL に掲載されたこの記事では、シリアの Daraa 市内で壁に反アサド的描写の落書きをした若者について書かれており、⼤衆抗議運動勃発の原因がこの落書きにある可能性を⽰唆している。ただし残念ながら、多くの Relotius のでっち上げと同様に、これも捏造記事にほかならない。何が事実で何が幻想なのかを切り分けることは難しい。Relotius が⼀体誰に何度会いどの程度密接な関係になれたのか、どのようにして通訳、翻訳がなされたのか、そして携帯電話での通信は技術的に可能であったのか - これらの 質問に対して答えることも難しい。

Relotius は羞恥⼼からか、細部について話したがらなかった。携帯電話のカメラを⼿に廃墟の街を巡った事実はないと、彼は認めた。また、テキストをドラマのように演出した (地の⽂で説明すべき部分が偽のインタビューに置き換えられている) ことを認めた。聞き取り記録や登場⼈物の⾔葉が取材成果としては乏しかったため、Relotius はインタビューを捏造したり、ごく少ないインタビューの記録からでっち上げたりしていたのだ。⽊曜⽇に彼は記事の捏造箇所を明かしたが、特定箇所ではなくパラグラフを⼤雑把に指し⽰しただけだった。

出典: SPIEGEL ONLINE





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最終更新日  2019年03月30日 10時41分54秒
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