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「ねぇ、花火、見たくない?」 眠っている彼の顔を覗き込んで囁いてみた。「どうしたの?またいきなりだね(笑)」 起きてたんだぁ。勝手なことは分かっているけれど、私の問いかけに答えるために少しけだるそうに目を開けた彼の顔よりも、目を閉じて眠っている顔をずっと見ていたいと思う。。。「うん。花火がみたいなぁって。駄目?」 彼の腕の中に体を潜りこませて聞いてみた。「いいよ。一緒に花火見に行こうね」 この角度から見える彼の顔が、一番、愛しいと思う・・・彼もこの角度の私の顔を愛しいと思ってくれているんだろうか。。。「約束だよ。ここから2人で一緒に、花火、見ようね♪」再びまどろんでいる彼の瞳にキスをした。これってありがとうのキスかなぁ。好きだよ、愛してるよのキスかなぁ。。。こういうキスももちろん好きなんだけど、なぜか私は、ごめんねのキスが一番好きかもしれない・・・「すっごい人だね。さすがに。人混み大丈夫?私、ちょっと苦手かも。ごめんね。私が見たいって言ったくせに・・・」こんなに人が多いとは思わなくて、こんな風に歩きにくい靴を履いてきて彼の背中を見失わないように追いかけるのに必死だね。足が痛い。。。これじゃあ、花火が始まってものんびり見ることも出来ないかも・・・「歩けなくなったら、おんぶしてあげるからね」振り向いて1歩遅れた私に手を差し出しながら、彼が言った。「本当に?こんなに人が多くて恥ずかしいよ。それに、私、案外重いよ(笑)」どうしてこんな時に素直に「ありがとう」が言えないんだろう。。。好きになるとどんどん素直じゃなくなってしまう。好きになりかけの頃は、素直にモノが言えるのに・・・悪い癖だね。。。「大丈夫だから・・・はぐれないようにしっかりつかまって」 私のクドクドした言葉を遮るようにぎゅっと繋いでくれた手が、すごく暖かくて大きいね。「うん。ごめんね・・・」 にっこり微笑んでくれた彼の唇に思いっきり背伸びをして、そっとキスをした。ごめんねのキスだね。「花火、すごく綺麗だね。屋形船から見てる人もいるね。あそこからだとどんな風に見えるのかな?よく見えるのかなぁ?」「来年は、あそこから一緒に見ようね」と、彼が言った。来年もずっと一緒にいようねって言ってもらったみたいで、ドキドキするよ。昔ね・・・って、私と出会う前の私の知らない彼の過去の話を聞くのも楽しいけれど、私と一緒の未来の話をされるのも好きかもしれない。。。強く握り返した私の手に、そんな想いが詰まっているようで1人で照れて俯いてしまう。指を絡めるように繋ぎなおした彼には、きっと私の考えていることなんて全部お見通しなんだろうなぁ・・・こんな風にぎゅっと強く手をつないでぴったりと体を密着させて、話すたびに吐息がかかりそうな人混みも、彼と一緒なら好きかもしれない・・・「あのね。好きだよ。大好きだよ。。。今日はずっとずっと一緒にいようね」
2004年06月13日