添乗員は見た![あんな事こんな事]

添乗員は見た![あんな事こんな事]

2010/07/09
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しょんぼり“ウゥ~~・・・逃げ場がない・・・どうしよう・・”
私が座っていたのは一番端っこで,まるでヤツにコーナーに追い込ま
れたように,肩身を狭くして窮屈そうにしていたのだった。
そうだ,“立てばいいンだ”。こんな事に気付くまでしばらくの時間を要
してしまった。人は追い詰められると,思いがけず思考が麻痺してしま
うものなンだと思い知らされながらも,こんな事で冷静でいられない自分
が,ますます情けなく思えた。

意を決して・・・,立ち上がる・・・。
ヤツのスニーカーを思いきり踏んづけて・・・。

した。

もうすぐ降りる私は,すぐ近くのドアの前に立ったが,怖くてヤツの
方を振り返る事さえ出来ない。
“あぁ゙~~私としたことが・・・。”今更ながらもどかしいのだ。

1つ手前の駅に着いたとき,ふと考えた。
私が降りると・・・ヤツはまた付いてくるのだろうか?
もしまた付いてきたら・・・,どうしよう・・・。
小さい駅だから駅員もすぐ側にいるはずだ。そうだ!交番も近い。

ヤツを捕まえて駅員に突き出すまで,どんなシナリオを描くべきだ
ろうか。それにしても荷物が多すぎる・・・,片手を空けるのだけ
で精一杯だ。
それを払いのける大事な右手に目を落とす。 
“・・・,キモイ!!”
直にヤツに触れる事を想像するだけで,ゾッとする。

何かないか・・・?と考えて,私の相棒の存在を思い出した。
バックから相棒の旗を取り出し,右手で力強く握った。


こんな風に,あれこれと考えを巡らせていたら,あっという間に
着いてしまったようだ。電車は駅を手前に減速し始めた。

本来ならば自分の降りる駅に着くまでの最後の一駅は,一番長く
感じたはずだろうに。
それが私は,この間があっという間に過ぎていたのである。
しかもホームに入り,ゆっくりゆっくり減速して停車するまで間,
勇気が沸き過ぎたのか? 

“もしヤツが私に付いて降りて来なかったら・・・”
と,思い始め,
“ヤツを懲らしめる機会を無くしてしまうは・・・納得いかない
 ・・・“などと,考えていた。

そして,“このままで済むと思うなよ!!”
と,ハッキリと声に出してつぶやいた。

電車は私に何かの合図を送るかのように,停車した。
           つづく





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最終更新日  2010/07/09 11:54:18 AM
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