幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Jan 26, 2012
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カテゴリ: シェフの雑記帳

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 銃刀法違反の押収物ではありません。(笑)私の愛用の庖丁です。この他にも10丁くらいあります。庖丁は、フランス語でクトーと言います。

弟子のブログ

 上から3番目は、フィレナイフとかソールナイフと言われるもので、これも薄刃でよくしなります。舌平目や平目を卸すのに適していますが、他の魚にも使えます。出刃庖丁のように一気にスパッと卸すのではなくて、骨から身をはがすような、刃の弾力を利用して、骨にそって剥がしていく感じですね。これも15年物です。

 一番大きいのが、牛刀。文字通り肉切り包丁です。これは受注生産品で、特別サイズ。尺二寸ですから約40cm弱でした。もう20年以上使っているので、今は37cmくらいに減っていますが、、、カッパ橋の老舗の庖丁屋の鍔屋さんのものです。今作ってもらうと、5~6万はするようです。たしか当時は、¥45000くらいだったかと思います。鍔屋さんは、通常の業務で、庖丁が大きく刃こぼれしたり、折れた場合はいつでも新品に取り換えてくれるという、プライドが高いお店ですが、あいにく通常業務では、折れたりしません。(笑)これだけの刃渡りがあると、和牛のサーロインなど、かなり大きな肉の塊でも、すっぱり綺麗に切れて助かります。それから特大の西瓜もいくらでもかかってきなさいという感じ。スパスパ切れます。玉ねぎのみじん切りなら、1個30秒もかかりません。ただとにかくでかいですから、家庭用はもちろん、初心者にはむきませんけどね、、。

 一番下のが、洋出刃です。これはほぼ魚卸し専用ですね。これも20年物です。よく砥ぐので、最初の大きさの3/4くらいになってしまいました。出刃の場合は、洋包丁でも片刃に刃付けしてあります。魚を一気にスッパリ卸すのにむいてます。

 庖丁の手入れは、当然砥ぐわけですが、どうも、多くの人が砥ぎすぎるんですね。要は切れ味が復活すればいいわけですから、プロ用のきちんと刃の付いたナイフなら刃先のほんの百分の数ミリ程度砥げば、切れるようになるはずなんです。そこを通り越して、刃がまくれるほど砥いで、いったん切れなくなるほど砥ぎこんで、刃をつけ直すような砥ぎ方をする人が多いんですね。そんな砥ぎ方をしていたら、庖丁がすぐに痩せて使えなくなってしまいます。大事な道具なのにもったいないですよね。私の場合は、理にかなった砥ぎ方をしているので、20年以上も使えるんです。砥ぎすぎる人は、早いと3年くらいでダメにしちゃいます。そういう人は、休憩時間などに包丁一本を1時間くらいかけて砥ぎまくってますね。(笑)私は一番大きい牛刀でも2~3分しか砥ぎません。

 料理するのにいろんなものを切りますが、庖丁の一番の強敵が実はパン、特にバゲットなんです。意外かもしれませんが、バゲットの皮のところ、クラストと言いますが、、、あれがすぐに包丁の刃をつぶしてしまいます。特に薄刃のぺティナイフなんかで、バゲットを切ってしまうと、もう完熟トマトの皮なんかとても切れません。砥ぎ直しです。だから私はパン専用に小さめの牛刀を一本あてがっていて、他のナイフでは絶対にパンを切りません。そのほうが衛生面でも安心ですからね!

 ちなみに刃物で物が切れるという事。実は科学的には完全に解明されていないそうです。つまり分子原子のレベルで、切るという事のメカニズムがまったく分かってないらしいのです。究明したら、ノーベル賞ものなんだそうです。不思議なもんですね、、、。






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Last updated  Jan 26, 2012 08:38:52 AM


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