
これはジビエ尽くしコースのメイン、Filet de Sanglier roti et foie gras chaudsauce Grand Venour対馬産イノシシのヒレ肉のロースト、フォアグラのソテー添えグランヴヌール・ソースです。ジビエは今のところまだ入荷がありますが、去年は2月15日頃で入荷が止まりました。3月頃まで入荷がある年もありますが、そろそろ入荷があやしくなってくるかもしれませんので、ご予約はお早めにどうぞ!
このコースとは別に、イノシシのもも肉の赤ワイン煮込みとか、エゾ鹿肉の煮込みの幅広パスタマファルデ添えなど、レギュラーコースでも選べるジビエメニューを来週からやります。今週末は金曜日と土曜日のディナーと日曜日は昼夜とも予約で満席です。よろしくお願いします。
少し前のさかもとこーひーのブログで、 私のブログのことが紹介されていたので、続きの話を少し書きたいと思います。経験10年くらいでは、まだ入り口に立ったに過ぎないということなんですが、、野球少年が甲子園で活躍して、ドラフトで球団入りしたくらいが、まあ経験10年くらいでしょう。プロとしてはやっと始まったばかりでしょ?そういうことを言いたかったんです。包丁使ったり、ある程度のレベルで味付けしたり物を焼いたりできるようになって何とか銭のとれる仕事ができるようになったにすぎないと思うんです。この段階ではまだ誰々の料理というほどのものではないんです。つまりそのくらいの人ならたくさんいるわけです。今の時代、食材などはネットなどを通じて何でも手に入りますし、家庭用の調理器具なども進歩していますから、家庭の主婦でもかなりのハイレベルでパンやケーキや料理などを作る人がいて、凡庸なプロではとてもかなわないくらいです。
ですから、プロの職人の側もより一層の努力と進歩がなければ生きていけない時代だと思います。特にレストランなどである程度高級志向でやる場合、むかしはインテリアや什器備品類などに金をかけたグランメゾンなどの威圧感でお金を取れた時代もありましたが、食文化もお客さまも成熟してきたので、そういう虚実でいえば、虚の部分で勝負できる時代ではなく、実の部分つまり料理そのもののクオリティーや人間味のあるカジュアルなサービスなどを売り物にしないと生きていけないでしょう。いわば原点的というか、、、本当に美味しいものをリラックスして気楽にに楽しむのが本来の楽しい外食の在り方だと思いますし、現にフランスのレストランの動向などを見ていても、確実にそういう方向に向かっています。要するに実力の時代なんです。
だから職人は、日々精進しないとだめです。技術だけではなく知識も必要ですし、新しい食材や調理法などにも敏感でないといけません。そのうえ専門バカになっても駄目です。たかだか10年やったくらいで安心していたら、その先のあなたの10年20年はありませんよと言いたいわけです。これは、私が30年近くやっていていつも感じている危機感です。
最近、息子が弟子入りしてきていろいろ料理を教えているんですが、教育というのは大変ですね。真剣勝負だと思います。
長年やってこその職人ですから、長年やっても体を壊さないように、立ち方、姿勢、包丁の持ち方、怪我をしないような添え手のしかた、火の取り扱いの注意、手を切らないようなグラスの拭き方などなど、まずは安全に関することはうるさく言っています。それから衛生面ですね。
後の仕事は、少しずつ遊ぶ感覚で覚えていけばいいと思っています。まずは仕事を好きなることが大事ですからね。教育に暴力だの体罰などは論外ですね。暴力では何も解決しませんし、指導者は嫌われるだけです。信頼関係や互いに尊重する気持ちがなければ指導も身に付かないでしょうね。親の背中を見て子は育つといいますが、ある意味それは真実だと思います。きちんとした仕事を見せ、きちんと生きているところを見せる。それがすべてじゃないでしょうか?
仕事の技術、上手に包丁を使ったり、肉や魚を美味しく焼き上げたりというようなことは、日々努力していればいつかは身につきます。料理人の場合、難しいのは味を覚えることだと思います。ポール・ボキューズ(フランス料理の伝説的シェフ)も、「料理人の腕の確かさは味の記憶の確かさにある」と言っています。その点、うちの息子の場合小さな時から私の料理を食べて育ってきたので、ちょっとは有利かもしれません。
あるとき、サンク・オ・ピエのガトー・ショコラが柔らかすぎてあまりに切りづらいので、レシピを少し変えて、ケーキ3台につき10グラムだけ小麦粉を増やしたことがありました。それを家族に食べさせると、皆が「これいつもと違って美味しくない!レシピ変えたの?」と言われました。ケーキ1台につき3.3グラムで10カットに切りますから、一切れ当たり0.33グラムです。普通は分からないと思うんですが、、、。まあ、うちはそんな家族ですから、私にとっては最も手ごわいお客でもあります。ちょっと手抜きすると食べてくれませんからね!
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