
これだけおいしい地鶏の後のデザートとなると、あまりつまらんデザートは出せませんね!左手前のケーキがマスカルポーネチーズのムース。これは、イタリアのティラミスをフレンチ流の解釈でより上品でまろやかに表現してみました。軽くコニャックを使っているのがみそです。ケーキ1台作るのにマスカルポーネを125グラムと100ccの生クリームを八部立てにして合わせ、卵白1個分のメレンゲで空気を入れます。固めるためのゼラチンは板ゼラチンを5グラム、それを溶かすのに牛乳35ccと砂糖はたったの45グラムですからかなり甘みは軽くなっています。ティラミスはたいてい甘ったるい感じが多いですから、マスカルポーネのクリーミーさを前面に出したかったんです。
奥のパウンドケーキには、赤ワインでコンポートにして木イチゴのヴィネガー少しで風味をつけたフランス産の小粒サクランボ、グリオットが入っています。パウンドの生地はキャトル・カールQuatre quartsといって意味は1/4が4つです。つまり、バター、卵、砂糖、小麦粉が全部同割ということですね。あと、少しベーキングパウダーも入ります。フランスではおばあちゃんに習う最初のケーキ生地といわれていて、非常に基礎的なケーキ生地なんですがこれを本当に美味しく作るのは実は結構難しいんです。プロのケーキ屋さんでもたまにちゃんと出来てないのを見ますからね、、、。この生地は最初に室温に戻して柔らかくした無塩バターに粉糖を混ぜて、そこに卵を入れていくんですが卵とバターは水と油ですから、基本的には混ざりにくいんです。それを砂糖の力を借りて、しっかり乳化した状態で卵とバターを混ぜるのが肝要です。クッキーを焼いたらこちこちになってしまった経験を持っている方がいると思います。あれが最悪に分離した生地の最悪の結果です。パウンドケーキの場合分離した生地でもこちこちにはなりませんが、バターが透明になって下に沈んで、上はぱさぱさした感じなってしまいます。日本の場合、甘さを控えようとキャトル・カールの生地の砂糖を減らす人が多いのですが、砂糖を減らすと生地がまとまりにくくなるししっとり感も少なくなります。私はこの生地に関しては、フランスのレシピでいいと思っています。たしかに少し甘すぎかもしれませんが、ほかのデザートでバランスが取れるので大丈夫なんです。それに美味しいこーひーがありますからね!
赤い氷菓はフランス産木イチゴの濃厚ソルベです。私はシャーベットに全く水分を加えないのでかなりパンチがきいています。酸っぱいのが苦手な人はまれに食べられないこともあるくらいですから、、、。鶏の料理なのでメインのときはブルゴーニュ系のワインを飲んでいただきたいですから、その後味のこともあってブルゴーニュの赤ワイン果実味に通じる木イチゴやサクランボを使ったデザートにしました。
今回のデザートは軽くてまろやかなマスカルポーネチーズのムースとしっかり甘いパウンド生地に甘酸っぱいグリオット入りのケーキと濃厚で酸味がきいた木イチゴのソルベという組み合わせで強弱をつけてあります。もちろんあわせるこーひーは、さかもとこーひーサンク・オ・ピエのブレス鶏のコース専用ブレンドです。

今回もまたいい仕事してます!味わいの濃さやニュアンスが違う3種類のデザートに少しずつ表情を変えながら、心地よくデザートを上げてくれるこーひーです。特に一番コーヒーに合いそうにない木イチゴのソルベともまるで昔からの友人のように平然と語りあいますね。この辺のさかもとさんのブレンド能力にはいつも驚きます。
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